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うさ耳会長と、書き初め

 うちの学校には、一風変わった――。


「書けた?」

「まだです」


 うちの学校には、一風変わった生徒会長がいる。

 ある一点を除けば、非の打ち所のないほぼ完璧な人だと言っても過言ではない。

 文武両道、公明正大、容姿は十人並みだが、その並外れた内面の輝きは瞳から溢れ出している。


「書けた?」

「出来たら言いますから、うろちょろしないでください」


 ここまで美辞麗句を並べ立てても、結局のところ、会長はある一点において、誰にも真似の出来ない特徴を持っている。

それはこの俺の目の前にいる会長の頭の上で、ピンと高く立っている、白くてふわふわとしてて、時々ひくひくと動く二本の、耳だ。

しかも、ただの耳じゃない。

本物にしか見えないウサギの耳だ。


ある秋、唐突に会長の頭に生えたウサギの耳は、それまでは硬派と言われていた会長に、無限大の可愛さを付加してしまった。

おかげで、現在の会長の向かうところに敵となりそうなものはひとつもない。

そういう意味では、円滑に生徒会業務も続けられるし、文句があるはずもないのだが。


 手元に筆を手に取り、硯で墨をつける。

 そのまま、ひとつ息を吐き出し、俺は筆を持つ右手の着物の袂を左手で軽く押さえた。

 ふっと息を吐き、覚悟を決めて、一気にそれを描き出す。


 室内には俺と会長の二人がいるというのに、辺りには紙の上に筆を走らせる音しかしない。

 ものの一分もたたないうちに俺は筆を止め、最後にもう一度筆に墨をつけて、描いた一点にバツ印をつけた。


「できました」


 俺がいうと、すぐさま隣に会長が飛んできて、おれの手元を覗き込む。


「見事な墨絵ね」


 俺が描いたのは文字ではなく、物心ついたころには祖父から習っていた墨で描く絵だ。

 今の会長の姿を描いた上で、頭の上の愛らしいウサギ耳にバツ印をつけたのだ。


「でも、このバツはいただけないわー」

「別に俺は会長の姿絵を描いたわけじゃありませんから」


 今年こそ、会長にこのウサギ耳をとっていただく。

 ただし、会長が痛くない方法で。


「そう。頑張ってね」


 ウサギ耳を気に入っている会長は、件の耳をピンと立てて、楽しそうに、何故か嬉しそうに笑っていた。

書き初めというか、墨絵を使った抱負(何

ひそかに毎日更新を目論んで、いきなり撃沈(え

マイペースが一番ですね.


2011/01/03 授乳しながら足が痺れた日に

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