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うさ耳会長と、ウェディング

※卒業後の夢

 木製のドアを軽くノックすると、室内からは「どうぞ」と軽い応答が返ってくる。

 俺は中学生みたいに高鳴る鼓動を押さえつけ、深く深く息を吸って、ゆっくりと吐き出す。


 なんでこのドアを開けるだけにこんなに緊張しているかというと、この向こうには俺の彼女がいるからだ。

 別に彼女が世界一可愛いのは当たり前で、それだけで緊張しているわけじゃない。

 だって、この向こうにいる彼女と俺は今日結婚するのだから。


 ドアの向こうには既に花嫁衣裳――ウェディングドレスに着替えた彼女がいて、たぶん俺が来るのを待っていてくれるはず。

 待たせて機嫌を損ねた彼女を見たい気もするけれど、やはり最高に綺麗な彼女の笑顔を一番に見たい。


 よし、と気合を入れなおして掴もうとしたドアの取っ手が、その位置をずらした。


「何してるの?」


 ドアの向こうから鈴鳴るような声が聞こえて、彼女が姿を現す前に、俺は慌てて部屋へと入った。

 いくらなんでも廊下なんて誰が来るかわからない場所に、今の彼女をさらすわけにはいかない。


「何?何?」


 肩を掴んで彼女を部屋に押し戻すと、目の前ではいつものように二本のぴんとたった、白くてふわふわした毛に覆われた細長い――ウサギの耳が目に入る。

 ヴェールはその下で静かに揺れて、普段よりいっそうウサギ耳と彼女は同化しているみたいだ。


 手が触れる肩は隔てる布もなく、しっとりとして滑らかな感触を伝えてくる。

 普段は露わにしない項もアップにした髪のおかげでよく見える。

 俺を振り返る彼女の笑顔を正面に収めるために、俺はゆっくりと手を動かし、彼女を百八十度回転させる。


 小さな風に煽られるようにウサギ耳が揺れ、彼女の胸元では小さな虹が光り輝く。

 細身で小さな彼女を飾るのは白のレースで出来た純白のウェディングドレスだ。

 回転にあわせて、ふわりと広がるドレスの裾を両手で摘んでいるのは、それだけ動きにくいということだろう。


 完全にこちらに向き直った彼女は小さく右に首を傾ける。

 普段の薄化粧よりは濃い目だが、控えめに引かれた赤いルージュは瑞々しい光を放っている。

 まるで俺に食べられるのを待っている白雪姫の林檎のように――。


「だめよ」


 急に口を抑えられて見下ろすと、少しだけウサギ耳を伏せた彼女が顔を赤らめて笑ってた。


「せっかくキミのために、綺麗にお化粧したのに落ちちゃう」


 一瞬、それもいいなと考えかけたが、こんなに幸せいっぱいの彼女の笑顔も曇らせるなどという暴挙、俺にはできない。

 大人しく、その耳元まで身体を屈め、囁く。


「じゃあ、式の後ならいいか?」


 俺の愛しいウサギ耳の彼女は、ぴんと耳を立たせてから、相好をふにゃりと崩して、俺だけに優しく微笑んだ。

 女性向け夢はよくかいたし、二次創作夢はよく書いたけど。

 自分の小説で、しかも男性向けドリームとか、ハードル高っ!


 ごっちさんのみ転載可です。

 名前はオリキャラから静葉くんをデフォルトにしました。

 何故かというと、和名キャラで、たぶん一番不幸だから!(え


 久々に書くドリームがまさか自分のオリジナルの二次になるとは思いませんでした。

 リクエストでいただいた冗談みたいな話を、書いてみました。

 やばいわ、私疲れてるのかな。

 何なんでしょうか、この激甘。

 書いててもやばいと思ったけど、読み直したら尋常でない甘さだ。

(2009/11/06)

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