10、答え合わせ
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メンヘラガールからキンダーガーデン・平家の過去を聞いた探偵たち。
彼女らはキンダーガーデン・平家、並びにアンダースクール・無名の捜索に動いていた。
私は神楽、メンヘラガールとともに行動していた。
「メンヘラガールは心当たりとかないの?」
「彼が行く場所は二つしかありません」
「まああの二つだけだよね」
メンヘラガールと神楽は既に分かっているようだった。
分かっていないのは私だけのようだ。
「わ、私も分かってるけど、一応確認のためせ~ので言おうか」
「先輩、嘘はすぐバレますよ」
「嘘じゃないもん。じゃあせ~ので言うからね。せ~の──」
「幼稚園」
「源氏の家」
「…………」
「やっぱ先輩何も言ってないでしょ」
「ギクッ……」
せめて二人が言った場所が同じであれば被せられたのに。
私が悔しがっているのに目も向けず、神楽はメンヘラガールに視線を向ける。
「あなたはどっちだと思うの?」
幼稚園と源氏の家。
どちらも二人にとって思い出深い場所だ。
この二つとも仇級都市にあり、どちらにキンダーが行くかは絞れない。
「源氏の家、その焼け跡に行くと思う」
メンヘラガールは思い詰めていた。
彼女なりに何か理由があったのだろう。
「じゃあ行こう」
目的地は源氏の家の焼け跡に決まった。神楽は地図を把握しており、彼女の先導のもと進む。
終始、メンヘラガールはうつ向いていた。
「大丈夫?」
神楽がメンヘラガールの肩にそっと手を置く。
「もしもタイムリープができるなら、私は平家星と最後まで一緒にいたのかな」
メンヘラガールは悩んでいた。
未だに自分がキンダーをどう思っているのか、分かっていない。
神楽は強くメンヘラガールの手を握り締める。
「過去に戻ったってやり直せるとは限らない。でもよ、後悔した今だからこそ、伝えられることもあるんじゃねえのか。その先の景色を楽しもうぜ」
神楽は男前に言った。
「私は、言わなきゃ。平家星に言わなきゃ。あの日のお礼を」
♡♡♡♡
源氏の家の焼け跡。
そこにキンダーガーデン・平家とアンダースクール・無名がいた。
二人はこれまで昔話をしていた。
馴れ初めから事件の日まで、記憶を呼び起こしていた。
「俺らは出会わなければ良かった。出会っていなければもっと違う人生を歩めたのかもしれない」
「かもしれない。でも、僕らは今を歩んでる。今更過去は変えられない」
「変えられない。頭のいいお前ならそう言うよな」
無名は皮肉を込めて言った。
「だからお前は分からないだろ。どうして俺が今の姿でここにいるのか」
「顔は整形すればどうとでもできる。だが年齢だけが分からない。どうしてお前が今の姿でここにいるのか」
「頭が良いお前だから奇跡を信じることはできない」
「奇跡なんてない。全てが科学的にできている。この世は完璧な電卓の上で成り立っている」
「そんな平に教えてあげるよ。俺はね──」
真実を聞いたキンダーガーデンは、まるで意識が時間跳躍でもしたかのように理解できなかった。
キンダーガーデンは刹那に過去を思い出す。
無名の父を殺した日、違和感が幾つもあった。
招待された部屋には刀が飾られていたが、一本分の空白があった。父が刀を一本持っていたが、それは常に帯刀している物だ。屋敷にいた者が皆刀を帯刀していることからそう推測できる。
そして父を殺した刃。背後から刀が突き刺さっていた。だがあの刀は無名が持ち上げられないほど重く、キンダーガーデンも当然軽々と持ち上げられない。
父を殺したのはキンダーガーデンでも無名でもない。
では誰か。
不思議に空いていた襖。何者かが部屋に入ってきた証拠だ。
無名の父は刀の達人。あれほどの状況でなければ殺せない。あの部屋に父がいるとあらかじめ分かっており、殺せる状況だと知っていた人物。
それはあの部屋にいた三人だけ。
では殺したのは誰か。
「俺は、タイムトラベラーだ」
お前だったのか。




