修羅場(2)
その日から、優佳が俺の家に来る回数が増えた。休みの日でなくても仕事終わりにうちに来て、そこから一旦家に帰りそしてまた仕事に行くのだ。
寝る間も惜しんで来てくれるのはうれしいが、無理はさせられない。
俺は2、3回に抑えて、なるべく彼女を休ませるようにしていた。
そして昼間は由愛ちゃんと、そして夜は優佳と。
優佳が早くうちに来れるときはバッティングすることもあったが、その時はみんなで晩飯を食いに行ったりして幸せな時を過ごしていた。
「それにしても由愛ちゃん、芸能界にスカウトとかされないの?」
「されたことはあるよ。」
「芸能界とかって興味ないの?」
「うん。ママが芸能関係の会社勤めだから絶対反対されるし。」
「もったいないわね。これだけ可愛ければ大人気間違いなしなのに。」
仲良くなり始めた2人がいつ来てもいいように、俺は、2人に合い鍵を渡した。
そんなある日、俺は、仕事が昼に終わる優佳と、由愛ちゃんと久しぶりに3人で楽しむ約束をしていた。
由愛ちゃんは先に来て、優佳は遅れると連絡があったので2人で先に始めることにした。
「お兄ちゃん、大好き♡」
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ピンポーン♪ガチャ。
「おまたせ~。」と優佳は言うや否や、部屋に上がりながらさっと上着を脱ぎ捨て、下着姿で俺達が待つベッドに飛び込む。
「優佳、そんなに焦らなくてもいいから。」
「だってぇ~♡」
ピンポーン♪
またチャイムがなる。
あれ?誰だろう?もう来客予定も宅配便の予定もない。
新聞の勧誘かな?ビール券の一つでも持ってきたら考えてやるよ。
N〇Kの集金かな?うちTV無いって言ってんのにアパートに受信設備があるとか言ってパソコンモニターあるなら受信機つなげば見れるとか言って払えって言うんだぜ。めちゃくちゃだろ。
無視しよう。
そう思ったとき、
ドンドンドン
「優佳ちゃん、優佳ちゃん、出てきなさい。ここにいるのはわかってるのよ!!」
「あ、優佳、ドアのかぎ締めたた?」
「あっ。」
ガチャ。ドアが開く。
「ゆ、優佳ちゃん!何してるの!!」
「ま、響子さん!!」
「ま、ママ!?」
「え?ママ?」
「え?由愛?」
「えっと、あの人、私のママ。」
と、裸を隠そうと俺のベッドの毛布を優佳と奪い合いしている由愛ちゃん。
「由愛ちゃん、響子さんの娘さんなの?」
「うん。わたし、中野 由愛。で、ママが中野 響子」
またブラウザが光る。