(完結) 後 編
お礼に暇だったので、あることをしてあげることにした。竜は、馬三十頭分ぐらいの大きさだ。シンプルな家、程の大きさで、ある。
竜の身体には『ホコリっぽい魔物』が十三、四体ぐらい住み憑いていた。街で昔、遊んだと、思うボウリングの玉より一回り大きい感じのサイズだ。
竜程の、パワーがあれば側にくっついているだけで強い力の、エネルギーの片鱗を受けることができる。それをこの魔物は糧にしている。まあ、たいてい大丈夫だが弱っていると身体を腐らせてきたりとかが、あるから注意だ。
「ソード、水加工」
水の精霊の加護で普通の剣を水多めに、覆った状態にした。
『ホコリっぽい魔物』は危機を感じたのか急激に戦闘モードだ。〈ホコリ縛り〉という攻撃をする。首にホコリを巻きつけて殺す。私のエッセンスがなくてです。
油断したら普通の大人でも、やられてしまう。…気を付けないと。数が多いのがキツい。うっかりすると竜の皮ふの、ちょっとした隙間へ入ってしまって隠れようとするから竜にまで軽くダメージを与えてしまう。
せっかくの、礼だ。ここは綺麗に倒してしまいたいところだ。
俺は竜の皮ふの隙間辺りに、すごくたくさんのやや細い、水柱を立てる。シャルツは心地良いのか嬉しそうに、笑う。
これには身体の自由を奪う水流の魔法も、かかっているので、敵の魔物にはダメージだ。そのまま、斬りさいた。
「グッギュアッグアー」この世に未練があるような、声を出す。
ほっておけば身体を腐らせたりとか、するから仕方ない。もっと、増えてしまうと困る。竜だから、本気出せば瞬殺だろうけど、きっと。
全部、倒した。
「どう、気持ちいいんじゃないかって思うけど?」
「ああ、面倒くさくてほっといたが。身体が過ごし良くて、すごくサッパリしている。こりゃあ、ありがとう」竜は喜んでくれた。
「ワシが人間と交流したいと言ったらギュルツ君が、君がここで暮らしている話をしてね。越して来て良かったよ」
「そう言ってくれると俺も、嬉しいよ。今度、できれば稽古をしてくれたら、助かるんだが?」
「構わないよ。…稽古。ギュルツ君も暇になると頼んできたな…」
やっぱギュルツさんて、すごく優秀な魔法使いだから、竜とも余裕を持って接することが、できているんだろうな。シュルツもそこで他の人のことも、気になったのだろう。もうちょっとしたら魔物倒しの仲間を紹介しよう。皆、最初は驚くだろうけど、一緒にトレーニングをしよう。レベルも上がって、ものすごくいい。
後、俺は東洋的な血も割と、混じっているので竜に『おにぎり』をあげた。シンプルに塩だけで作ったおにぎり。空気と一緒に食べて欲しい。
最初は困った顔をしていたが、しだいに顔を綻ばして「心が落ち着きますね」と、言った。気の合う、お隣さんだ。
さて、普通に最初の場面に戻ってしまうが、竜は人の目に見られる直前辺りの場所で、俺を降ろしてくれたのだった。
やっぱ人間と竜が交流をする習慣てのが、普通に無いからな。竜には昔からの、恐ろしいイメージがある。町の人と、仲良くするって厳しいな。…ちょっとの間は。
「あーあ、隣に住んでいる俺に、一度だって火なんて吐いたことが、無い竜だっていうのに」
終