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走っていた。竜が追いかけてくる。
あっという間に、追いつかれた。
爪で肩から背中をガシッ。
宙へ浮いた。
「待って、地上に降ろしてよ」
「この方が早いぞ、とても」
そりゃあそうだが。皆、逃げちゃうだろ。
俺はアグデュウ・ザッチアルジュサクアイシュン。十八歳。将来、立派な勇者になりたくて町外れで取りあえず、ゆっくり修行をしていた。
そこに、この竜が引っ越してきた。竜は笑って来てくれた。
「こんにちは。今日、隣へ引っ越して来たシャルツ・ディグエルです。勇者になるため、頑張ってるんですよね。あなたのお爺さんの親友のギュルツ・フォンダ―君から話を聞いていました」
一瞬、戦闘態勢へと入りかけたが、リラックスな雰囲気で笑うことができた。
引っ越しの、お近づきにと【薬草と結構大きい、鳥タイプの食べることができる魔物を一体】をくれた。
中々、かなり礼儀を知っている竜だ。
続く