肝 キ
あたおかJKはどっちだ!?
足の裏から忍び込んでくるような悪寒。
体中の産毛が逆立ってくるのがわかる。
空気のちょっとした動きまでが鮮明に感じられて……。
しっかりと地面を踏みしめる勇気もなく、ふわふわするおぼつかない足取りで、ゆっくり歩き始める……。
突然、誰かが私の肩を叩いた。
「はーなちゃんっ、何してるの?」
振り向くと、クラスメイトのきらりが、明らかに作ったような心配顔であたしの顔を覗き込んできた。
きらりは中学校の頃からの腐れ縁……というか悪友?
あたしが親のすすめで私立の女子高に進学したら、きらりも同じ学校に進学していたというわけ。
後で中学の時の先生に聞いたんだけど、あたしがここを受けると知って、志望校を変えたらしい。そのせいで塾を二つ増やして家庭教師までつけたんだって。
「大丈夫? えーと、保健の先生呼んで来ようか?」
え、そんなにあたし顔色悪い? 全然元気なんだけど。
「え、ちょ、きらり、何で保健の先生なのよ?」
「だって、ずっと変なことぶつぶつ言ってるんだもん。暑さでおかしくなっちゃったのかなって」
きらりはあたりをはばからぬ声で言った。ちょ、人聞き悪い事大声で言わないでよ。
慌てて教室の中を見回してみる。放課後の教室にはもうあたし達しかいなかった。良かった。ほんと良かった。
「なんかそれってひどくない? 心配してる割には全然慌ててないし」
「そうかなぁ?」
あたしが少しふくれっ面できらりに言うと、きらりはきょとんとした表情で首を傾げた。
全く悪びれていない感じ。これもいつもの事だった。
あたしのためみたいな、あたしを心配して、みたいな感じで人聞きの悪い事を言う。自分は優しいいい子に見せてあたしを変な子みたいにする。きらりにはそういう所があるんだ。
でも、中学時代からずっとあたしにまとわりついてくるきらりを、あたしは何故か突き放すことができないでいた。
「でも、はなちゃん。何を一人でぶつぶつ言ってたの?」
あ、やっぱりその話、来るよね。あたしが冒頭で言ってた、あれ。
「あ、あぁ、あれね。
実は―……。
じゃじゃーん! 部活の勧誘広告の文句考えてたんだー!」
そうなのだ。部員の勧誘。高校生活は部活で決まる! そして部活ライフは部員で決まるのだ!
あたしは今、全ての才能と努力を、その部員勧誘に注ぎ込んでいるのだった!
「へぇ、そうなんだぁ」
きらりはあたりさわりのないテンションで言った。多分ね、興味は全くないんだろうけど。結局関わってくるんだろうなぁ。
あたしはあらためてこの中学時代からのクラスメイトを上から下まで眺めた。つやつやした長い黒髪をちょっと清楚系のお嬢様風に下ろし、制服もまじめ風の着こなし。メイクもナチュラル系でまとめている。
家柄のいいお嬢様。だけど気さくでちょっと天然なところもある。これがきらりを知るものが抱く彼女の印象だろう。
でもあたしは知っている。きらりは個人的に男性教師の所へ質問に行く時と、学校の行き帰りの時は、スカートを一回余計に折っている事を。
そして、ナチュラルに見せているメイクも、実は念入りに時間をかけて行っているという事も。だって中一で初めて出会った時とは目の大きさが全然違うもん。
「でもはなちゃん。新入生歓迎の時期は過ぎてるでしょ? それに……はなちゃん部活入ってたっけ?」
やっぱそう来るよね。
「ん? 入ってないよ?」
あたしは上機嫌で答えた。
「え、はなちゃん、ちょっと意味わかんない……」
それはそうでしょ。あたしの偉大な計画は、きらりには想像もつかないに決まってる。
「部活に入ってたら、新しい部活作れないでしょ?
あたしはずっと、この部活を作ることを夢見て、いろんな部活からの勧誘を断り続けてきたんだよ!」
そう。今まで勧誘されて来た部活の数々。茶道部、華道部をはじめ……あと都市伝説研究会とか。
もちろん全部断った。都市伝説研究会なんて、単にネットで都市伝説探して、それをネタに二次創作小説書いてるだけだったし、このあたしを勧誘するなんて百万年早いし。
「そ、そうなんだ……。
で、何部を作るの? 今はない部活だよね……?」
よくぞ聞いてくれました!
きらりはあたしのテンションを上げるタイミングをほんと良く知ってる。そこだけは認めざるを得ない。
あたしはさらに上機嫌になって答えた。
「当然でしょ!
この学校はもちろん、多分日本中、いや世界中にもないと思う!
つまり、世界初の部活っていうわけ!
その名も……」
あたしはそこで、すこし焦らすように一息の間を開けた。そして。
「きもだめし部!」
はなちゃん派はブクマ!
きらり派は評価をお願いします!
あ、もちろん両方も可(笑)