令嬢はゲームと現実の違いを思い知る
雨が続くと洗濯物乾かないね(´・ω・`)
自動洗濯物畳み機とかないのかな(´・ω・`)
ぼんやりとしていた意識がクリアになったのは3歳のとある日でした
なんの前触れもなく突然、視界が開けたような感覚におそわれたのです
今思えばちょうど物心がつく頃で、人が記憶として覚えていられる1番幼少の頃なのでしょうね
そしてそれがきっかけで現在より前の人としての記憶を持っていることに気づきました
前世を覚えているからなのかわたくしの性格は前世と変わっていないようでした
改めて見渡すと侍女と呼ばれる人がいたり、執事やコックまで家にいました
服装も中世ヨーロッパのようなドレスで家も豪邸というよりお城のような建物でした
前世のあの頃より未来なはずなのに未来感のなさに疑問に思いました
それから月日は流れ10歳になる頃、お父様と一緒に国王に呼ばれお城の中庭へ行ったとき更なる衝撃が待っていました
目の前に居たのは国王と王妃、そして2人の王子でした
その瞬間、また思い出したのです
2人の王子がある乙女ゲームのスチルで見たことのある人物だったと……
そう、ここは乙女ゲームの世界だったのです
♢♢♢♢♢♢
乙女ゲームだと思い出してから4年
ほぼ全ての貴族が通う学園にわたくしも入学しました
そしてここからゲームが始まるのです
思い出したゲームのあらすじは子爵令嬢のヒロインがいやがらせや様々な障害にも負けず攻略対象とハッピーエンドを迎えるとうありきたりなものです
わたくしはヒロイン……ではなく、所謂悪役令嬢
まぁ、なんとなくわかっていましたわ
ですが断罪されないようにとか、追放後のスローライフ!とか考えたことはありませんわ
元の性格の影響ですわね、なんとかなるんじゃない〜?と今を楽しく生きていますの
それに……ゲームが現実になると色々、キツイのですわ…
「お嬢様、ミヒャエル王子がいらっしゃいました」
「わかったわ。マリー、お茶の用意をお願い」
わざわざ王子がこのような一貴族の元へいらっしゃるなんて……暇なのかしら
確か、先週もいらしたわよね
それに突然の訪問はやめてほしいですわ
ため息が出そうになるのを堪え、応接間へ向かった
「失礼致します」
「やぁ、ローゼリア」
立ち上がって挨拶はいいのですけれど、なぜこちらに向かってきてるのかしら
「ローゼリア…」
やめて!何その甘い表情で頬に触れようとしてくるのやめて!
メインヒーローですもの、顔は整ってるし声もいいですわ
似たようなことをヒロインにしているスチルを見て悶えたこともありますわ
ですが!
それは2次元だからいいのですわ!
前世で「あ〜〜〜っ!こんなことイケメンにされてみたぁい!!」なんて思ったこと何度もありますわ
でも現実にそうなると悶えるとか以前に「うわ……」ってなってしまっても仕方ないと思いませんこと!?
いや、イケメンだから絵になってるのよ
なってるんだけど…リアルでそれマジでやってんの!?ww
みたいな心境ですわ
「……殿下、何かわたくしにご用でしょうか?」
「あ……ああ。これを」
そう言って渡してきたのは綺麗な花束
「庭で綺麗に咲いていたから、ローゼリアにも見せたくてね」
「…………」
いらねぇよ!
いやいやいや、見せたかった気持ちは有難いよ
でも花とか興味ないんだけど…
綺麗な花束持ったイケメンって破壊力あるけどキュンとするものじゃないんだなぁ……
「ふふっ、そんなに驚いて喜んでくれるなんて持ってきたかいがあったよ」
チュッ…
え……?
あー……手にキスって……
いや…うん、イケメンだし様になってるよ
でもドキドキするっていうより何してんのこの人感のほうが大きいんだけど…
こういうのは2次元でスチルで見るから悶えるのね
♢♢♢♢♢♢♢
学園には騎士学科もあり騎士候補生はそこに在籍している
せっかくだし訓練見てみたいと思っても許されるわよね
迷ったフリして訓練場近くまで来れましたわ
あら?訓練している方が一人しかいませんわね
残念ですわ、また今度来てみましょう
ガサッ
「誰だっ!」
気を抜いてバレてしまいましたわ
「訓練をしているところ失礼しましたわ。迷ってしまい帰り道を探していたところですの」
バレてしまったなら仕方ありませんわ
最低限の礼をしてさっさと立ち去るのが1番ですわ
「…………」
どうして黙って見ているのかしら
不審者にでも見えているのかしら
「貴女は……」
「はい?」
「貴女はこのような場所、怖くはないのか?普通のご令嬢は嫌がるものなんだが……」
……どう答えればいいのかしら
・1 怖くありませんわ。この国を守る方達ですもの
・2 筋肉フェチだからむしろご褒美ですわ!
・3 とても怖いですわ
1はこれヒロインが言うべきセリフよね
2は変態だと思われるわよね
3は白々しいわよね
どのセリフもアウトですわ
って悩んでる間に近くまで来てますわ!
どうしましょう…何か言わないと…
「素敵だと思いますわ」
「……ふっ。そうか。お前、面白い女だな」
ゾワゾワゾワっ
いらねぇぇぇ!
面白い女評価いらねぇよ!
てか、リアルで聞くと笑えるね
どこに面白いと思うセリフあった?
貴方の頭のほうがよっぽど面白いと思うよ
「まぁ…女性に面白い女だなんて失礼ですわよ」
「ははっ!この俺にそんなこと言うなんてな。お前、俺の女にならないか?」
いやいやいや!
なに、薄ら寒いセリフキメ顔で言ってんの!?
顎クイとかいらねぇよ!
イケメンだけど寒気しかしねぇよ!
2次元でスチルなら悶えるのかもしれないけどリアルはないわぁ〜…
♢♢♢♢♢♢♢
あれは……
お忍びで来ている隣国の王子ですわね
知らないフリをして一生徒としての交流はしていますわ
「ガルシア、こんなこところで何をしていますの?」
「ん?ああ、ローゼリアか。本を読むのにいい場所はないかと探していたんだ」
「まぁ、そうでしたの。あちらの東屋がほとんど人も来なくて静かですわよ」
「……それならちょうどいいな」
「では、わたくしは失礼しますわね」
ガシッ
ん?どうして腕を掴まれているのかしら
「ローゼリアも一緒に行こう」
聞いているのではなくて決定なのね…
「ねぇ、ローゼリア。欲しいものが目の前にあってどうしても手に入れたい場合どうしたらいい?」
……oh......
これ確実にわたくしのことですわよね
ヒロインでしたら気づかないか普通の令嬢なら気づいても気づかないフリをするのでしょうね
この雰囲気とガルシアの表情で気づかないってありえないわよね
「そこまで欲しいものがありませんのでわかりませんわ」
答えとしては卑怯ですがこの話題から逃げますわ
欲しいものがないのは本当ですけども
「そうか…」
なぜ隣に座り直しますの?
近くに来ないで頂きたい
ん?肩?肩を抱き寄せるって婚約者でもないのに何してくれちゃってるのかしら
「お前を攫っていくから覚悟しておいて」
耳元で囁きながらそのセリフですか
破壊力抜群ですわね
ですが……
いらねぇよ!
何、犯罪予告していらっしゃいますの!?
わたくしも好きででも現実的には難しいロミオとジュリエットのような関係でしたらドッキドキなんでしょうね
でもわたくし、貴方に友人以上の好意はありませんわ!
なのにそんなこと言われたらドン引き以外の何ものでもないんですけど!?
♢♢♢♢♢♢
乙女ゲームの世界に転生したって気づいたときはヒャッハー!!状態でしたわ
あのスチルのあのボイスが!!なんて悶えてた頃のわたくしを殴ってやりたい
イエス2次元!ノータッチ!
ここはゲームではないんですわ
現実ですのね…
キッツイですわ!逃げたいですわ!
早くヒロイン様来て下さいませ!
そろそろ侯爵令嬢としてあるまじき暴言を攻略対象者に言ってしまいそうですわ……
逆ハーレムでも何でもして引き取って下さい
ヒロイン様、心よりお待ちしておりますわ
読んで頂きありがとうございました(´・ω・`)
イエス2次元!ノータッチ!(´・ω・`)