クラスメイトの訪問
不思議な少女と会って翌日の昼に驚くべき事が起きたのだ。
まず目の前に美少女がいる。どういう美少女かっていうと、孤羽みたいな大和撫子や佐愉みたいな元気っ子じゃなくて、マジモンの正統派ヒロイン。僕の偏見によるものだけど、これを正統派ヒロインと言わずしてなんと言う。髪はきれいな黒髪のショート、そして明らかに守ってあげたくなるような顔。
うむ、いい目の保養だ。そして彼女が居るだけで病室内の空気が彩られてる感じがする。そういえば名前を紹介してなかった。彼女の名前は佐藤愛理、クラスメイトだ。というかどう挨拶しよう?
「おはよう石弥君、お体は大丈夫ですか?」
僕がくだらないことを考えている間に彼女は首をかしげながら挨拶を先にしてくれた。
「おはよう佐藤さん、心配しなくても見ての通り大丈夫。あと数日で退院もできるしね」
僕がそう伝えると彼女は胸を撫で下ろすと僕が寝ているベッドの傍にある椅子に「失礼します」とストンと座る。
そして安心したように息を吐くとこちらに話かけてきた
「よかった。私を庇って事故に遭わせちゃったから心配してて」
彼女の言うとおりで僕は彼女に突っ込んできた車からかばって轢かれたのだ。その時に強く頭を打ちつけたせいか入院期間は延長。既に体に関しては万全だ。
「事故に関してはしょうがないよ。そんな事より佐藤さんは大丈夫?僕が突き飛ばしちゃったせいで膝とか打ちつけてない?」
僕は彼女を庇う際に突き飛ばしてしまった。その直後に轢かれたので彼女の様子はわからなかったけど心配だ。
「うん、少しすりむいちゃったけど大丈夫だよ。傷跡も残ってないし」
良かった。彼女に傷跡が残ってしまったらクラスの男子どもになにされるかわからない。想像しただけで寒気が走りそうだ。と考えて少し挙動不審になっていた僕の様子を見て、彼女は笑顔を浮かべながら
「石弥君は優しいね。私のせいで事故に遭ったのに私の心配してくれるなんて」
と言った直後、彼女は真剣な表情に切り替えて僕に言ってきた
「私を車から庇ってくれてありがとう」
お礼を言ってきた彼女を良く見れば、さっきまで落ち着いていたはずなのに彼女自身が少し震えている。
「ごめんね、事故の時の事思い出しちゃって」
彼女は自身の変化に気づいたのかこちらに謝罪をしてくる。
しょうがないとは思う。僕もクラスメイトが僕を庇い車に轢かれぐったりとして血まみれになってたら嫌にでも悪い意味で記憶に残る。しかも彼女にとっては僕があの場にいなければ自分が轢かれていたかもしれない。懸命に震えるのを堪えている姿は小さかった頃の妹の姿を幻視させた。彼女に怖い思いをさせてしまった僕がやってあげられる事はこれしかないと思う。
「少し、失礼するよ佐籐さん」
僕は少し離れた位置に座っている佐藤さんの頭に手を伸ばし、ゆっくりとなでる。
「大丈夫、君は大丈夫」
いきなりの僕の行動に驚いたのか、体を一瞬だけ震えさせたが悪意は無いとわかったのか、僕の手は無事受け入れられた。
逆にいうと、それほど親密では無い異性に頭を触られる事を悪意が無いからといって、受け入れてしまうほど佐藤さんはとても責任を感じてしまっているのだ。
出来るだけ穏やかに、一語一語をしっかりと聞いてくれるように優しくはっきりと、彼女が抱いている不安が吐き出せるように、その小さい体に溜め込んだ責任を下ろせるように僕は言葉を発する。
「君の事を恨んでもないし、体も無事だから、安心して」
僕の言葉に安心したのか糸が切れたかのように佐藤さんは僕にもたれながら嗚咽交じりに泣き出した。
「ヒグッ、、いきなり車が出てきて、、ウッ、、いきなり突き飛ばされて、、ヒゥ、、石弥君が血まみれになって、、ヒッグ、、倒れてて、、、」
今まで我慢してきた事を吐き出すかのように言う佐藤さん。僕はただ彼女が落ち着くまで撫でていた。しばらくすると泣き声が聞こえなくなっていたので佐藤さんの顔を見てみると
「スゥ、、スゥ、、」
幸せそうに寝ていた。病室に入って来た時から、無理してるように感じたけど、相当責任を感じちゃってたみたいだ。
悪い事したなぁ、庇ったのは僕の勝手な都合のせいなのに、、、とりあえず佐藤さんが起きるまで暢気に待つかなー、貴之が置いていった本でも読もうかな?その前にブランケット無いかな、病室内といってもこの季節だし風邪引く可能性もあるからなぁ。だけど佐藤さんは僕にもたれ掛かるようにして寝てるから流石に起こすに起こせないし、、、誰か来てくれー、、




