魔法 vs. AI(人工知能)野球で対決、どっちが強い?
AI、いわゆる「人工知能」で野球の戦略を展開する「天満宮工科大付属高等学校」が、3回戦の相手!
魔法は、人工知能に勝てるのか?
運命のプレイボール!
「エリカ、なんか気持ち悪くね?」
と架純は相手チームの3塁側ベンチを、視界に入れてエリカに
問いかけるが・・・・
エリカも全員がタブレットを持って、画面にタッチしている女子高生を
見て、普段のスマートフォンがひとまわり大きい「タブレット」に変わった
ように見えて・・・
「ながらタブレットは、するな!」と言いたいのをぐっとこらえて
架純に
「気にすることないわよ。タブレットで『野球』はできるわけないでしょ」
工科大付属の先攻で始まり、朝倉学院は高校野球の記念すべき「初先発」の
架純!
初めての硬球による野球で、人間界で初めて投げる等などと「初物づくし」で
架純は、流石に舞い上がっているようで・・・
見かねたエリカが、マウンド上に突っ立っている架純に駆け寄る。
「わたしに任せなさい。DVDで相手打線の『攻略法』は頭の中にインプット
してあるから・・・架純はわたしの指示に従ってミットめがけて投げれば
よくてよ」
エリカと同じように心配になったのか?キャプテンの小百合さんまで
マウンドに駆け寄り
「架純、あなたのバックには7人の野手たちが守っているの、わかる?
だからもし打球が飛んでも全員で、守って見せる。あなたは『ひとり』
じゃない!忘れないでね」
と架純を励ました。
それでようやく『平常心』になれたみたいで
「エリカ、キャプテン・・・心配かけてごめんなさい。
でも、もう大丈夫です」
するとエリカが
「架純にとっていい情報あるの・・・聞きたい?」
「聞きたいに決まってるじゃん!」
「工科大付属の野球は、データが大事なの。だけどね、架純の投球は
地上で初めてだからまったくデータがないわけ!だから取りあえず
投球パターンなんかのデータを人工知能に、ため込む必要があるってこと」
「じゃあ一回りは手を出してこないってこと?」
「たぶんね」
架純は得意げな眼差しをして、エリカにニコッと微笑んだ。
「よっしゃあ!この試合もらった」
と自分に言い聞かせて先頭バッターに
「ITだかAIだか知らないけど、甲子園に行くためには『人工知能』なんかに
負けるわけにはいかないのよ!」
と心の中の自分にささやいた。
主審が「プレイボール」と叫び【朝倉学院vs.工科大付属】3回戦は
始まった。
初夏の日差しが傾きかけた午後4時過ぎの「プレーボール」だった。
この「薄暮」における試合の難しさを試合の終盤に、両校とも思い知ら
されるのだが・・・・
今は目の前にいるバッターに、全力で腕を振り切ることしか考えていない
架純だった。
ようやくプレイボールですね!
さて『魔球』を投げる場面は、あるのか?