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 俺は朝起きると、すぐ小依にリンク解除させた。これで今日から俺は、普通に寝ることができる。

 朝食を食べて生徒会長のマンションに行くと、俺たちは生徒会長の後ろから刑事が犯人を尾行するかのような動きで登校した。


「現れませんでしたね」

「そうだな」


 ――気がつくと放課後になってた。まあ、寝てたんだけど。

 さてと、俺はこっそり帰ろうとする小依を連れて生徒会室に向かった。


「生徒会長いる?」


 ドアを開けると、不機嫌な顔で副会長が眼鏡をくいっと指で上げた。奥には生徒会長がいた。


「今日はまだ帰れないわ」

「どうして?」

「貴様、これを見てわからないのか?」


 眉間にしわを寄せて副会長が俺を睨みながら、テーブルに山積みになっている書類を指さす。


「これが何?」

「貴様らのせいで、二人が生徒会をやめた。その二人分の仕事が残っている」


 ああ、そういうこと。最初からそう言えよ。


「会長を守るならそれなりに考えて行動しろ。無能が」


 副会長は俺の顔を見ながら吐き捨てるように言った。


「それなら私は補習にいきます。邪魔になってしまうので」


 丁寧にお辞儀をして生徒会室を出ようとする小依の襟を俺は掴んだ。


「だめだ。手伝ってやれ」

「えー」

「早く帰るためだ」


 俺が宇宙に。じゃない、不審者を捕まえるために。


「そんなことしなくていいわ。これは生徒会の仕事よ。もちろん、不審者を捕まえられなかったら、これから全部やってもらうけれど」


 生徒会長は鋭い瞳で俺を見た。自分が狙われてるかもしれないのに、この余裕。小依にはこういう態度を見習ってほしい。


「貴様らのような無能にできるわけないだろ」


 副会長はまた吐き捨てるように言った。こいつ、マジでむかつく野郎だな。眼鏡を上げる仕草もいらつくのに。

 むかついた俺は、これ見よがしに副会長の向いのソファに寝転んだ。


「私、補習にいってきます」

「気のせいだ」

「気のせいじゃないです」

「ここで勉強すればいい」

「えー? ここじゃ勉強できません。先生がいないと」

「大事なのは場所や先生じゃない。やる気だ」


 俺は自分の胸をトントンと叩いた……ちょっと恥ずかしいことをしてしまった。


「わかりました」


 小依はあっさり承諾した。スルーしてくれて良かった。きっと、ルルならツッコンできただろう。これからは少し気をつけるか。まあ、今はどうでもいいけど。

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