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 放課後になり、早速、小依と一緒に生徒会室に向かった。


「はあ」


 小依は歩きながら何度も大きく息を吸ってため息をつく。


「大丈夫だ。出てきたところを捕まえればいいだけだ。簡単だろ」

「相手は不審者ですよ? 逆に私が襲われるかもしれないです」

「お前には俺の宇宙一強い力がある」

「でも、怖いです」

「陽向君、胡桃さん」


 生徒会室から生徒会長が出てきた。


「今帰りか? 俺たちも一緒に帰るぞ。と言っても後ろからついていくだけだが」


 当然のことだが、楽しくおしゃべりしながら一緒に並んで帰っても不審者が出るわけがない。


「後ろから? ああ、そういうことね。いいわよ」


 それだけで俺の考えがわかったようだ。さすが生徒会長。

 小依とは違うな。そんな小依はさっきから俺の制服の袖を引っ張っていた。


「何だよ?」

「すみません。実は私、今日、補習がありまして」

「気のせいだ」

「気のせいじゃないです」

「さっさといくぞ」


 俺は小依の後ろ襟を掴んでそのまま引っ張って歩いていく。

 ――生徒会長の住むマンションまでついていったが、今日は現れなかった。

 襲われた二人が倒れていたのは学校に通う道。もう大丈夫だろう。


「さてと、帰るか」

「ふう、良かったですね。何事もなくて」


 小依は、ほっと胸をなで下ろして安心する。まだ始まったばかりだぞ?

 まあ、それより


「お前って一人暮らし?」

「はい。今はそうです。ソラさんはどこに帰るんですか? もしかして宇宙船?」

「いや、小依の家」

「はい?」


 何を言ってるのかわからないというような顔で俺を見た。


「だから、小依の家に行く。いや、これから一緒に住む」

「えー? 嫌です! ソラさんは宇宙人だけど男の人……一つ屋根の下で住むなんて、犯罪ですよ」


 聞いたことない犯罪だな。


「私、その、心の準備が。初めては好きな人と一緒に……ずっと決めてるから」


 頬を赤らめて俺から視線を外した。

 だから、お前は一体何を考えてるんだよ。


「仕方ないだろ? 地球を征服するまで帰れないんだ。何もしないから、頼む」

「ほ、本当に何もしないんですか?」


 じっと見つめてくる小依。


「ああ」

「本当に何もしてくれないんですか?」 

「ああ、ん?」


 ちょっと待て。今のおかしくないか? してくれない? どういうことだ? 俺に何かしてほしいように聞こえたが。


「本当に、何も?」

「あ、ああ、本当だ。だから頼む」


 頼む? 頼んではいるけど、何か話の流れがおかしいような――


「一回だけとか言わないんですか?」

「言うか!」


 上目遣いで俺を見るな。お前はやっぱり何かしてほしいのか? いいだろう。マジでしてやろうか?


「でも、そう言って男の人は家に上がり込むと態度が急変して――」

「さあ、お前の家はどこだ?」


 俺は小依の襟を掴むと歩き出した。

 ――小依の住む二階建ての家に到着すると部屋に入った。


「一軒家なのに一人暮らしなのか?」

「両親は仕事で海外に住んでます。ちょっと待ってください。着替えてきますね」

「ああ、わかった」


 俺はリビングのソファに寝転んでそのまま目を閉じた。本当なら今頃、征服も終わって、自分の家でこうしてる頃だったはず。まあ、そんなこと考えても仕方がない。今はできるることをやっていくしかないんだ。

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