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入学式

ちょっと連載にしちゃいました。飽きるまで投稿してみたいです。

 ある、爽やかな風が靡く日。

 “学園”の校門には新入生のクラスが張り出されている。

 ベアトリスはその校門で立ち往生していた。

「ベアトリス様、おはようございます。貴女様と同じクラスになれるなんて光栄です。」

「ベアトリス様おはようございます!同じクラスにはなれませんでしたが今後とも仲良くしてくださいませ。」

「ベアトリス様、おはようございます。私はいつでも貴女様の元におりますわ。……ええ、例えクラスが違ったとしても、知ったことではありません」

 ──彼女に群がる令嬢によって。





 ベアトリス。

 彼女はミッドガルド王国第二王子の婚約者である。

 父親は王家の次に軍事力、経済力、発言力のある金獅子公。

 何不自由なく育ってきた彼女は我儘娘であった。

 しかし、王子の婚約者に相応しくあるため、努力を積んできた娘でもある。

 美貌、教養、マナー。総合的に見れば彼女に勝る同年代の娘はいないであろう。

 そのため、入学する前から、彼女のスペックの高さと公爵の名声でお友達とりまきはたくさんいた。

 隣のクラスには第二王子がいる。彼女の婚約者とは相思相愛、と有名だ。

 彼女は恵まれていた。







 ふぅっ、お友達がたくさんいるのも大変ね。挨拶だけで30分も使うなんて。余裕をもって入学式に来たのに、早く会場に行かないと間に合わないわ。

 私は、優雅に、典雅に、寛雅に小走りをした。後ろにワラワラとお友達がついてくる。

 ……あんまり令嬢らしくない走り方ね。もっと美しく走らないとお母様に怒られちゃうんじゃない?


 丁度席に座った頃、入学式が始まった。ナイスタイミング、私。

 司会の渋い声が式を粛々と進める。……あの声、なかなかいいわね。お父様、婚約者、執事のアルバートの次くらいに好みだわ。

 校長先生はげたおじさん理事長ふとったおじさんの話は適当に聞き流した。だって、つまんないんだもの。無駄に長いしね。


 ボーッとしていたが、司会の言葉で目が覚めた。

「それでは、次に新入生総代の言葉です。金獅子公令嬢ベアトリス様、お願いします」

 どーゆーことっ?!私、3度も断ったよね!めんどくさいからお父様にお断りのお願いしたよね!

 ちら、と司会を見ると半分恐る恐る、半分してやったり、という表情でこちらを見ていた。……絶対いつか報復してやるわ。声がいい、なんて撤回よ!

 仕方が無いので壇上に立った。お父様も知らなかったのだろう、苦虫を噛み潰した表情をしている。

 とりあえず、場を持たせればいいか、と適当な言葉を連ねることにした。

「ごきげん麗しゅう、皆さん。今日、この日、温かい眼差しで迎えてくださった先生方や先輩方だけでなく、木々は花を咲かせ、鳥は囀り、あらゆるものが私達を歓迎してくださりました。この良き日に入学出来ることを心から感謝いたします。──」

 上っ面の言葉を並べ立て、公爵に恥じない程度にまともな台詞をアドリブで終えた。

 お父様を見る。満足げだ。合格点だったみたいね。

 ほっとして、何気なく新入生を見る。目がキラッキラしている。ちょ、ちょっと、まさか感動とかしてないわよね?

 慌て気味に目を逸らすと、あの司会が目に入った。イイ笑顔してるじゃない。腹が立ったので睨んだ。笑顔が凍り付いた。ざまぁ。


 その後は先生の紹介とか事務連絡とか校歌斉唱とか色々あったけど、ストレスの溜まった私は適当に聞き流したから覚えてない。

 このストレス、どこで発散してくれようと考えてたら式が終わった。

 結局、ストレスは解消しないままHRになった。

 どうやら自己紹介とかするらしい。

 私はお友達と一緒に教室に向かった。貴族令嬢の半数以上が私のクラスに入る。

 ねぇ、貴女達のほとんどは私とクラス違うわよね?

『クラスは違っても私達の居場所はベアトリス様と同じ所ですわ!』

「……(絶句)」

 どうしましょう。慕って下さるのは嬉しいのだけど、ここまで来ると……。

 ガラガラッ

「お嬢様方?貴女方のクラスはここではありませんね。HR始めたいからさっさとカエレ」

 颯爽と登場し、私を助けたのは担任の先生か。しかし──

『クラスは違っても私達の居場所はベアトリス様と同じ所ですわ!』

「やかましわ!すぐさま戻らないならベアトリスを授業妨害で処分するぞ」

「そんなっ!ベアトリス様は何もしてないのに」

「そんなっ!ベアトリス様の傍にいたいだけなのに」

「そんなだから先生は結婚できないのよっ」

「そんなだから先生は不細工なのよっ」

「そんなだから先生は「ええいっ黙ってとっとと自分のクラスに戻れ!」」

『嫌ですわ!』

 私と先生は頭を抱えた。

 結局…… 

 私より一瞬早く立ち直った先生は叫んだ。

「反省文5枚書くか戻るか選びやがれっ!!」

『くっ……大人って汚いわ!』

 渋々みんな教室から出ていった。

 ……私が処分されるって言われても出て行かないのに反省文5枚って言われると出ていくのね。ちょっと寂しいわ……。


 どっと疲れたけど、HRはなんとか乗りこえた。

 とりあえずお家へ帰ろう。それで、お茶を飲みたい。

 私は教室から出ようとした。ドアを開ける。

 そこには、見知ったご令嬢がずらり。

『お待ちしておりました、ベアトリス様』

 軽い眩暈を覚えたのは仕方ないわよね。

「えっと、今日は早く帰ってお茶を飲みたいのだけれど」

「まぁ!お茶会をするのですね。それならば我が黒狼公爵宅にいらっしゃいませ。美味しいお菓子を用意しております!」

 婉曲な否定は一緒に帰る口実に早変わりした。

「その後ピアノのレッスンがあるのよ」

「なら、急いで参りましょう!私、用意をするので先に帰りますわね」

 更なる否定は断りづらい雰囲気を作り出してくれた。

「私、今日はとっても疲れたわ」

「あら、気持ちを落ち着かせるハーブティーを飲みたいのですね。お任せ下さい!」

 もうっ!ここまで裏目に出るなんてびっくりだわ?!


 みんなにあれよあれよと連れてかれました。

 みんな、悪意がないのは幸いです。

「ベアトリス様、こちらがハーブティーです。効果は抜群ですよ。」

「まぁ!良い香りですわね」

 ほんとに落ち着いた。

「ベアトリス様、南方の珍しいお菓子でございます。ぜひおひとつ召し上がってくださいな」

「もぐもぐ……香ばしくて、絶妙な甘味と酸味ですわね」

 ちょっとくせになるかも。おいしい!はむはむ。

「お気に召しましたなら、お土産としてもご用意いたしますわ」

「あら、嬉しいわ。ありがとう」

「いえいえ、ベアトリス様の笑顔が見られるなら何でもさせていただきます」

「お友達なんだからそこまで気を遣わなくていいのよ?」

「私の心からの望みですからお気になさらず」

「本当にありがとね」

 なんだかんだで楽しかった。

 さて、お茶会といったらお喋りよね。

「今日は皆さんお疲れ様でした。これからの学校生活も楽しみですわね」

「そうですね。ベアトリス様のお言葉、とっても感動しました!」

「いえ、私は練習や打ち合わせもなく急に呼ばれたものですから慌てていて……」

「さすがはベアトリス様!練習していないのにあの様な素晴らしいお話が出来るなんて尊敬します!」

 あ、あれ……?

 気づけば、みんなの目がキラッキラしている。……話題をまちがえたかしら。


 和気あいあいと会話していたが、お友達の1人の言葉がきっかけで私を凍りつかせた。

「そう言えばベアトリス様。今日、ベアトリス様の婚約者が同じクラスの女と親しげに言葉を交わしておりましたわ」

「あ、私も見ました。アーサー様ったらHRでも仲良くしてらっしゃいましたの」

 頭を殴られた様なショックを受けた。痛い!(心が)

「その女ってどなたかしら?」

 震えながら尋ねる。

「白羊伯のアリシアですわ!」

「アリシアって言うと、男を誑かすので有名な?」

「そうそう。確かに見た目は可愛い方かもだけど……」

「そういえば赤鹿伯のテルー様の婚約者も奪ったらしいわ」

「あぁ、騎士団長の長男ですよね。テルー様も可哀想ですわ」

 頭が真っ白になっていた。ま、まさかアーサー、ほんとに浮気してるのかしら……。

「ベアトリス様!これは由々しき問題です。アリシアを懲らしめねばなりませんわ」

 はっとした。そうよ!私はアリシアとかいう女を懲らしめなきゃ!アーサー様は私のものなんだから!

 ショックから立ち直れずボーッとした頭で、私は流されるままに報復を誓った。




 とは言え、さすがに自分で何も確認してないのに、懲らしめるって乗り込むのは失礼よね。噂話を鵜呑みにしてたらお母様に怒られちゃうわ

 とりあえず、明日から1週間くらいは様子を見ましょうか。

 夜になって、少し冷静さを取り戻した私はそう結論づけた。


ベアトリスは我侭娘のつもりだけど、マナーや教養によってかなり抑えられてます。

友達(とりまき)は、最初は公爵と繋がるために打算的に近づいたけど今はベアトリスに心酔してる設定です。


文章力ない私にお付き合いくださり、ありがとうございました。次話も読んでいただけると嬉しいです。

感想、評価等頂けると今後参考にします。

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