いつもの日常…であって欲しかった
シンはクールに見えますけど、心の中は意外とカオスだったりといったキャラです。なので、多少キャラが崩れていてもそれもシンなのです
「あ、おはよう」
「ん、おはようカヅキ」
時は始業のチャイムがなる前、場所は校門。そこで俺はカヅキに挨拶された。
『君の笑顔を見ると世界が明るくなる』
なんて言葉があるがそれの信憑性を確かめることができた。寝起きの悪い俺は普段朝は不機嫌なのだが、そんなもの吹き飛ぶ。世界の全てが明るい。つまりこの言葉は信じてもいいということだ
まあ、そんなことは置いといて
「なんか、珍しいなこんなに早く来るなんて」
時は始業チャイム前と言ったが正確には始業チャイム1時間前だ。基本ダラダラしているカヅキには驚愕の登校時間で驚きを隠せない。
「ねぇ、今失礼なこと考えてない?無表情だから確証はないけど」
む、こんな時に限って勘の鋭い奴だ。
「いや、特にお前のことは考えていない」
「そばにいるんだから少しくらい私のこと考えろや!」
俺にどうしろというのだ。話をそらそう
「そういえば今日は授業受けるのか?それともこっちに来るのか?」
「うーん、シンについていくよ」
なぜ俺は今録音しなかったんだ。人生最大の落ち度と言ってもいい…
「じゃあ、行くぞ」
というわけで話をそらすことにも今日一日一緒に過ごすことにも成功した俺は少し誇らしげに教室に向かって歩き出した
〜俺の教室〜
↑この場所を表すやつ結構使える。場所が変わるたびにこれを使おう
俺のカヅキが教室に入ると中には長い美しい青い髪の毛の女性がいた。
「あの、どなたですか?」
カヅキがその女性に話しかける
「…………」
だが、返事はない。少しおかしく思った俺はその女性に近づく。前から見ると顔も整っており本当に美しい女性だ
「おい起きろ」
「…………」
反応なし、か。
「おい、カヅキ。釘バットもってこい」
「はいよーって何に使うの⁉︎」
「冗談だ」
「もーう驚かせないでよね」
本気でホッとしているようだ。俺はそんなに暴力的なやつに見えるのだろうか。
とりあえずその女性の手を取り脈を測ってみる
「死ん、でる…」
「うそーーー!」
「すまない。嘘だ」
「なに?どうしたの?シンは朝苦手なんじゃなかったってけ?絶好調じゃん」
「まあ、気にするな。頭を叩けば起きるだろ」
「はい、スリッパ」
「お、準備がいいな」
俺はそのスリッパを使って頭を叩く
「ギャーーーーーー!なんで本気で叩いてんの!」
「いや、逆になんで叩かないと思った」
「いや、だって相手は女の子だし…」
「関係ないな。それより起きるぞ」
俺が叩いた女性はもぞもぞした後に一つ大きなあくびをした。
「痛っ!」
そして、頭を押さえ始めた。なんか申し訳ない
「おい、大丈夫か?頭が痛むのか?」
まあ、俺のせいじゃないと装うのが俺なんだけどな
「いや、大丈夫です」
青髪美少女から美しい声が奏でられる。
「そうか、一つ言わせてもらうがここは俺の教室だ。お前がしていることは不法侵入と変わらないぞ?」
「すみません」
なかなか清々しい性格をしているな。こちらまで気分がよくなる
「まあ、不法侵入のことは許そう。で、寝る場所がなかったのか?無いなら俺が不動産屋の代わりをしてもいいが」
「いえ、違うんです。あの…頼み事があって…」
「頼み事?じゃあ、ええと…お前は川内って名前だよな。一年の」
「え!あ、はい」
生徒の名前をすでに俺はほとんど覚えている。この川内の詳細を言わせてもらうと、能力はただの炎の魔法というオーソドックスなものだが、その美貌と素晴らしい性格のおかげで学校の男子のみならず女子からも人気のある生徒だ。
「で、川内は俺に何のようなんだ?」
「ええと…詳しいことは放課後に話しますが今簡単に言うと探し物をして欲しいんです」
「探し物?何を探せって言うんだ?」
「それは…ってああ!もうこんな時間。あの、すみません。教室に戻らないと」
川内はかばんを持ち早足で廊下に出て行った
「なんだったんだ?」
探し物と言われてもどれを探すくらい言ってもらわないと困る。なんか忙しそうだったがそれと関係があるのだろうか?
「ねぇ、シン」
「なんだカヅキ。大体お前ずっと沈黙保ってたな。いきなり饒舌じゃなくなったのか?」
「いやぁ、私は饒舌だけど毒舌の間に入る隙がなかったんだよね」
「皮肉のつもりか?」
「そのつもり」
はぁ〜、と俺は大きなため息をつく。
「何も産まない口論はやめようか。で、カヅキ俺に何が言いたかったんだ?」
「ああ、それだけどね。シンのパソコンのデータだけじゃ限界があるだろうから情報を足してあげようと思って」
「なんだ?これ以上の情報なんていらないぞ。むしろ一人の人間を知りすぎると他の人間を忘れてしまう」
「まあ、そう言わずに」
カヅキはまるで社長に「給料上げてもらえませんかね?」といった風に言う
「まあ、しょうがないか。川内の行動は少し気になったしな。情報の提供を頼む」
カヅキはニッと勝ち誇ったような笑みを浮かべて口を開き始めた
「あの、川内さんなんだけど、さっき見た通り忙しいの。戦闘能力は低いけど学力の方ですごく優秀だからトップとは違った期待のされ方をしてる。さらに男女ともに人気で川内さん優しいから遊びに誘われたら断れない性格らしくていつも予定はびっしり。勉強もしなくちゃいけないから睡眠時間は激減。だから、ちょっとたいへんそうなんだよね」
俺はそんな自体に陥ったことないが、客観的に見ても大変そうだ。
「それはきつそうだな。ところで話は変わるが、どこでその情報を入手した?」
「え?普通に人脈で…」
普通に人脈で…だと?
「ふん!お前の人脈なんて俺の三分の一にも満たないだろうな」
「虚勢だね。謝って」
「ごめんなさい」
クッ今日はやけにカヅキに負ける日だ。大体なんでカヅキがここにいるんだ?付属品だからか。つーか他のトップの付属品なんて見たことないぞどうなってるんだ?
「おいカヅキ。他のトップの付属品どうなってるんだ?見たことなんてないぞ。どこに隠れているんだ?暗部の人間みたいな感じで怖いんだが。このままいくと『暗部編』できるぞ」
「え?ああ、私が付属品としているのはシンが高校一年生で精神的に未熟だから校長に任命されたの」
「え?皆いるって…お前…」
「嘘」
「俺が騙された」
なんか今日は敗北ばかりだ
「じゃあ、カズマサはどうなんだ?高校一年生だから付属品がつくんだろ?」
「カズマサにはニーナ先輩がついてるよ」
俺もニーナ先輩の方が良かったな
「今失礼なこと考えてなかった?」
「気のせいだ」
「いや、絶対なんか考えてた」
「気にするな」
「そんなこと言うと余計に気になるでしょーがー!」
「始業のチャイムがそろそろなるぞ。ここはトップの部屋とはいえ一生徒であることを忘れるな。ちゃんとソファに座れ」
「〜っ!もう!知らない!」
これぞ敗北の後に味わうことのできる最高に熟成された勝利の蜜だ。
〜放課後〜
別に昼は目立った問題などなかったので省略させてもらった。何かあったといえば授業中にやたらうるさい久田という生徒を注意したくらいだろうか
まあ、そんなことは置いといて、時は放課後。川内が俺たちを訪ねてくる時間だ。川内の探し物がどんなものかは分からないし、どれだけ重要なものかも分からないので俺たちにとっては割とどうでもいい事柄なのだが一応生徒が困ってるんだ。助けなければ
「あの〜、失礼しまーす」
不法侵入するほどの度胸の持ち主…川内が遠慮がちに教室のドアを開きながら顔だけ覗かせる
「どうぞ、ほら、一応依頼人だからソファに座らせてやろう」
その川内に俺はソファを勧める。その隙にカヅキはお茶を入れ始める
「あ、ありがとうございます。すみません」
ドアの前に立っていた川内は教室に入ると恐る恐るといった感じでソファに浅く腰掛ける
「よし、俺が聞きたいのは何を探して欲しいのかだ」
「はい…驚かないでくださいね」
「いや、俺は人生の中で驚くようなことが連続してるからな。今更何に驚くって言うんだ」
その言葉に安心したのか少し表情が緩くなり安心した様子でその探して欲しい物の実態を言う
「私が探して欲しいのは猫なんです」
その言葉に俺たちは驚きを隠せなかった
猫探し。頑張ってシン