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左利きで悪かったな  作者: @
第一章 理不尽という必然のストーリー
19/20

必殺の交わり

はい、授業真面目で投稿遅いです。


前回のあらすじ


シンが情報で優勢!


カズマサの刀発狂!


互角!


どうなるこの勝負!

さて、妖刀とは何なのか。なぜ妖刀が癖の強い刀ばかりなのか。

この解は簡単だ。妖怪が刀に封印されている刀。略して妖刀。そして、どうして癖が強いのかは、そもそも妖怪が癖のあるやつばかりだからだ。だから妖刀は使いこなせば強いが使いこなせないのならば錆びた刀と変わらなくなる。さらに命の危険もある刀だ。中に入っている妖怪が必ずしも俺たちに友好的に接っしてくれるとは限らない。むしろ元が敵対関係にあるもの同士だ。そんな関係でこちらから一方的に使役しようとしても言うことを聞くわけがない。どころか持ち主をどうにかして殺して刀の外に出ようとする。

だから俺は妖刀を持っているやつを見たことがない。


「見たか!俺の力!」


いや、見たことがなかった。


「この、黒刀は名刀だ。万能バランス型。どんな状況でも使える俺に合った刀になっている。この刀自体に能力はない」


ペラペラと俺の刀のことを語る。自分の刀の詳細を伝えるなんて愚の骨頂だ。だが、知られたところでリスクは少ない。


「お前の刀のことも教えてくれ。フェアにやろう」


知られてリスクがあるのはカズマサの方だ。癖の強い刀は意表を突くようなトリッキーな能力を持っている…と聞いたことがある。それが分かれば、あの謎の攻撃も回避できるかもしれない。


「うーん?なんか無理矢理な感じだよなぁ。まあ、いいや。どうせ、教えなくても簡単に分析するんだろ。なら、先に話すよ」


刀を俺に突きつける。


「こいつの名前は『発狂刃(はっきょうば)』言わずもがな世にも珍しい妖刀だ。いい感じの時に刀を振れば発狂してすごいことになる」


説明下手か。だが、大体は把握できた。

やはり、カズマサらしくムラのある刀らしい。いい感じの時と言われても外見からはあまり分からない。多分高いモチベーションの時に刀を振れば発狂するといったところか。


俺は鞘に納めた黒刀を見る。


もう一度奴の刀の能力発現の条件を反復してみる。


高いモチベーションの時に刀を振れば…


刀を振れば…


振れば…


逆にいうと振らせなければ何もできない。


「なあ、戦闘中に呑気に会話なんてアホらしいことこの上ないが、ここは少し俺の会話に付き合ってくれ」


俺はその鞘に納めている刀を腰から取り外し右手で持つ。


「なんだよ」


「お前にとってこの箱は広いか?」


「あ?ああ、広いと思うぜ」


そりゃそうだろう、一辺500メートル、高さ30メートルもある場所を二人で陣取っているのを狭いと言うなんて贅沢な話だ。


「そうか…」


刀の柄に手をかける。


「俺はもっと広く感じる」


足に力を入れて後ろに大きく飛ぶ。しかし、箱という表現をするようにこの空間は無限に存在しない。大きく後ろに飛んだところで大きく距離が取れるわけでもなく、壁がそれを阻む。

いや、阻んでいい。それが狙いなのだから。


俺はその壁に立った。


カズマサはこの状況に唖然としている。


広く感じるというのは壁の面積も合わせたからだ。


こんなのトリックは至極簡単で壁に向かって必死に踏ん張っているだけだ。要するに力技。ついでに言うと移動もできる。なので、俺は一気に天井まで飛んで行きカズマサの真上まで到達した。

まだ、カズマサはポカンとしている。


俺は天井から落ちると言うよりも最早蹴って下まで行く。


カズマサに向かって急降下する。


空中で体制を整え足が地面を向く。


最初に地面についた足は右足だった。この右足は衝撃を緩和するように柔らかく動かす。

しかし、次に地面につく左足は違う、右足とは全くの逆。急降下の力を全て地面に伝える。それに加えて左足の力も地面に浸透させる。


(震脚…)


轟音が鳴り響き地面が震えた。とある場所で多くの人間がジャンプをすれば建物が揺れるという現象が起こる。それを俺は一人で引き起こしたのだ。


(この状況では刀も振れないだろう。攻めるなら今だ)


鞘に納めていた刀が刀身を覗かせる。


(…居合)


鞘を滑走路として鋭く速い斬撃をカズマサの胴体を狙って斬ろうとする。


「うぉぉわぁぁ!ってわぁぁ!」


だが、斬れなかった。まさかの震脚で引き起こした地震があまりにも強すぎたせいであいつは間抜けに後ろにこけたのだ。そんな滑稽な絵面でも当たらなかったのは事実だ。


(悪運の強い奴だ)


心の中で呆れと称賛の意味を重ねた言葉を思い描くが現実ではそのこけたという現象は過去のものになる。

カズマサは起き上がろうとする。そんなこと俺が許すわけもなく蹴りを入れようとする。流石に危機を感じたカズマサは足に一瞬電気を流し自分の力で後ろに吹き飛んだ。そのため俺の蹴りは虚しく空をないだだけになってしまった。


(震脚→居合のコンビネーションがかわされてしまった。あの技は力加減が難しいし疲れる。乱発は避けるべきだ。では、次の手に移るか)


しばらく刀に集中するとカシュンという軽い音と共に刀がナイフくらいのサイズになる。


どんな状況でも戦える。例えば竹林や小さな部屋の中など刀が十分に機能しない場所でもこの刀なら戦える。そういう風に無理矢理造ってある。


その短くなった刀を握ってカズマサにダッシュで接近する。カズマサは能力を使ったリスクでまだ怯んでいた。

チャンスだ。だからこそ気を抜かない。

必死で立ち上がり刀を構える。隙だらけな構えだった。疲労は目に見えている。

俺はその隙だらけな構えの間を通り、まずは右手で目を覆った。

さらに近づき鼻がつきそうなほどの距離になったところで短く速くナイフの刃で首を斬ろうとする。


(こいつは心臓を突き刺したところで死なないことは分かっている。狙うは頭。首は頭と体をつなぐ重要な接続部分だ。ここを斬れば流石に死ぬはずだ)


ナイフが近づく。吸い込まれるように。


「放電!」


それに抗う動きがあった。目を覆っていた右手は反射的にカズマサからはなしてしまう。首を狙っていた攻撃もしゃがむことで簡単にかわされてしまった。


「行くぞ発狂刃!」


バックステップで距離を取りつつ剣を縦に振るう。それを俺は横に軽くステップして攻撃を避けた。


(ふむ、今かなり気合を入れて刀を振るったはずなのにあの透明の攻撃は来なかった。かなりギャンブル性の高い刀だな)


バックステップで距離をとったカズマサに一直線に近づく。


(だからといって普通に戦ったら負けるだろう。一発逆転の希望のあるカズマサとその一発に怯えながら戦う俺。確率的にはこちらの方が有利なのにどうしても気持ちの面で負けてしまう。であれば、その一発の可能性をゼロにしてしまえば怯えることはない)


バックステップをするだけでも傷が広がるのか多少怯んでいるカズマサにまたもやほとんど密着するような位置まで近づく。


(刀はこの距離じゃ近すぎて振れない。対抗手段として獲物を捨てるという方法もあるがわざわざ希望を捨てるような真似はできないだろう)


バックステップでまたもや距離を開こうとしている。そんなさっきと同じ行動をしたら同じ対処法でなんとかなる。

バックステップの衝撃で怯んだところを接近して脇腹に浅い傷をつける。その痛みで一瞬硬直したため続けて右の拳で横腹を殴る。

そこで、やっとカズマサは距離をとろうとバックステップをした。


近すぎて反撃もできない。攻撃するには両手で持っている刀を手放すことだけ、でもそれをすれば勝ち目がなくなる。


だから、あいつはバックステップで距離を取ることしかできない。


しかし、その行動が俺にとって一番困るものだということを奴は知らない。


俺は接近する。刀はナイフの形にしてかなり時間が経っている。


カズマサの刀のリーチよりも内に入って横一直線にナイフを振るう。


このアクションはわざと大振りで振ったのであいつは焦る様子もなく後ろに軽くステップしてかわそうとした。


「なっ!」


でも、あいつは俺の攻撃で浅く胸に傷がついた。ところでなぜリーチの外でも当たったのか。それの理由は簡単でナイフが伸びたから。

いや、その表現は正確じゃない。ナイフは刀に戻ったのだ。


実はこれこそが刀を縮ませるリスクだ。この刀を作る時にニーナはこんな機能つけるつもりはなかった。でも、俺が少し無理を言ってつけてもらったのだ。こんな無理矢理つけた機能は十分に能力を発揮することができるわけがない。

ゆえに、このナイフの形状は30秒間しか持たない。そして、途中で刀に戻すことはできない。

つまり、一度ナイフの形にしてしまうと30秒間ずっとナイフのままで、それを過ぎると強制的に刀に戻るようになっている。刀に戻りナイフに戻すまでの数秒がこのナイフの弱点だ。俺たちの戦闘において一秒の隙とは起きな意味を持つ。俺は一秒あれば100メートル移動できるし、カズマサならば攻撃の動作が数回できる。


もし、先程の自分の意思で刀を元に戻したかのような不意をついた攻撃にまだ戸惑っていたのであればこの大きな隙を埋めることができる。


だが、あいつは一撃にかけている。この程度の奇策で戸惑うわけがない。どんな理由であれ俺にできた一瞬の隙を逃すはずないだろう。ここぞという場面で傷だらけの体に電気を流し血を流しながら接近してくる姿を容易に想像できた。


(おそらくカズマサは一撃に飢えている。こんな攻めにくい状況でできた一瞬の隙。喜んで飛びつくだろう。それも最速で。しかし、攻撃のタイミング、攻撃方法、そしてその対処法が分かれば簡単に回避ができる)


目の前からカズマサが消える。


事前の筋肉の動きから単発の上段からの攻撃と予測する。


何度も目に焼き付けてきたカズマサの動きに対応した返しの動作を取る。


(これで…この戦いは終了だ)


しかし衝撃は遅れてやってきた。


「ハッ!前と同じ攻撃は効かないんだろ」


(クッ!この最大のチャンスの時に、この最速で決めたい衝動に焚き付けられる時に、あいつは緩急をつけてきた。だから、思ったより遅く衝撃が来たのか)


かろうじてガードはできた。だがカズマサの強すぎる攻撃の威力を完全には殺せない。

大きく後ろに吹き飛ばされる。


空中では身動きが取れないため着地のことを考える。しかし、カズマサが俺の思考を一気に未来ではなく今に引き戻される。


(なんだ?あいつは何をしているんだ?どうして突きの構えなんてしているんだ?この空中は刀のリーチの外だぞ。いや、違う。あれなら。なの攻撃なら、届く。まさか…このタイミングで…)


「いけ!発狂刃!」


『ぎゃあああああああああああああ』


カズマサの突きの延長線上の俺に向かって、あいつの刀から透明なエネルギーが一直線に高速で飛んでくる。

凄まじいエネルギーを刀で受けようとするが、ここは空中だ。踏ん張れないので勢いを止めることすらできない。


一瞬で壁まで到達すると鋼材が破砕する音と微かに何か生々しい破砕音が一緒になって箱に響く。


向こうも発狂刃のエネルギー出した反動で少し吹き飛ばされて傷が広がりうずくまって痛みに耐えている。


二人ともボロボロの状態だ。


それでも両者刀を構える。内臓がぐちゃぐちゃな配置になっていたって、手足から尋常じゃないほどの血が流れていたって、戦える。


足の感覚はもうない。足に今力が入っているのかすら感じない。ただしっかりと足は前に動いてくれた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ」


気合を入れる俺に呼応するようにカズマサも俺に向かってくる。


そして、二本の刀が今交錯す…







さて、スイッチを切り替えようか。


俺はこの戦いで俺は何をしたかったのか。


それは『負けること』だ。


だから、今までの戦いの過程で作り上げられてきた最高のテンションのまま迎えたこのクライマックスの時に…その時だからこそ『勝つための俺』から『負けるための俺』に…スイッチを切り替えようか。





刀が交錯し、俺の手から簡単に刀が離れる。


素早い追撃を意識したカズマサは振り抜いた刀を捨て、コンパクトな動きで拳を振るう。多分この攻撃を食らえば俺は気を失ってしまうだろう。


で、あれば、この戦い俺の完敗で……完勝だ。


俺はかすかに笑う。


そして俺の顔面に凄まじい衝撃が伝わってきた。



発狂刃の説明


あの中には強力な妖怪が封印されている。普通敵の妖怪とカズマサはなんとか仲良くなってあの刀をなんとか使えるものにした。

だが欠点ざあって、その妖怪が気まぐれすぎてカズマサがその妖怪の力を引き出すには妖怪の意思が関わってくるようになった。

妖怪が出した能力の発動条件として出したのは

「最高の一振りをした瞬間力を貸してやるよ」

らしい。

ちなみに発狂刃の由来である発狂は妖怪のものである。

あの、透明のエネルギーも妖怪がやっている。ちなみに一振りでの攻撃回数は妖怪の気まぐれらしい

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