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左利きで悪かったな  作者: @
第一章 理不尽という必然のストーリー
11/20

気がついてないだろうけど今が一番幸せ

はい、猫探しというしょうもなさそうな話から一変しょうもなさそうな話に変わりますよ。はい、しょうもなさそうな話しかかけないんです。すみません。

のどかな日常。俺はこのやんわりとした雰囲気は好きだ。気分が落ち着くし、様々なことに打ち込める。予想外の決闘や規格外の猫探しなどをしたが、基本もう大きな行事はないので、このようなのどかな日常を俺は過ごしていた。

窓から降り注ぐ陽光がこの部屋を暖かく包んでいるようでとても居心地がいい。

だが、今回も誰かさんがこのような素晴らしい日常をぶち壊してきた。


全ては昨日の集会でカズマサが言った言葉だ。このたった一言でこの学校をガラリと変えてしまった。その言葉とは…


「文化祭をしましょう!!」


授業以外のカリキュラムはトップという生徒が全てを決めるこの学校。基本入学式や卒業式は例外的にやるとして、文化祭などトップが準備をしなければならないため、面倒くさい。先生の方も授業のスケジュールがずれるためやって欲しくない。

これを聞くとやらない方がいいと思うだろ?


だが、あいつは文化祭をすると言った。先生はトップに何も言えない。なぜなら、先生よりもトップの方が権力があるから。ならば、トップに何か意見できるのはトップのみ。俺はカズマサが文化祭をしようと言った瞬間に席を立ち上がり反対しようとした。だが…


「はい。というわけで文化祭をします。クラス別に…」


このセリフを言ったのはカズマサではない。カズマサの協力者であろう人物…ニーナだった。


俺はニーナに世話になってるし、なにか癇に障るようなことを言うと俺の黒歴史とか言ってしまいそうだ。


ふぅ、どうすればいい。この危機的状況を切り抜けるにはどうしたらいいんだ?文化祭の企画、準備、その他の雑用なんて気が進まない。むしろやりたくない


俺が脳をねじって一雫でもいいから何か知恵を絞ろうと思ったのだが、結局零れ落ちてきた一雫は諦めるという選択肢だけだった。


全く面倒くさいことになったものだ






〜専用教室〜


ということで文化祭をやることになったのだ。率直に今の感情を言わせてもらうと憂鬱だ。面倒くさい。何度も同じことを言っているようだが本当に面倒くさい。


俺はこの教室で毎日トレーニングをして、勉強して、帰るという生活を気に入っているんだ。あまりこの生活スタイルを崩したくはなかった。


「いえーい!やっと放課後だぜー。イェイイェイ!どーした?元気ないね。栄養ドリンク持ってるよ。飲む?」


そして、この陰鬱な気分の時にハイテンションなカヅキが入ってきた。


「どうしたんだ?テンション高すぎるぞ。若干イラついた」


「うわー、はっきり言うねー。まあ、別にいいけどさ。逆になんでシンはなんでそんなにテンション低いのさ」


「言うまでもない。文化祭だ。個人的にあまり好きな行事じゃないからな。準備が面倒臭いし、あれによって得られるものが見当たらない」


「えー、そんなことないよー。得られまくりだよ」


「ほぉ、ならば何が得られるんだ?」


すると、カヅキはウーンと指をこめかみに当てて俺を説得する言葉を選びだす。


「えーと、仲間との友情を育むことができる!」


「必要ない」


「新しい友達ができる!」


「必要ない」


「なんか楽しい!」


「主観的すぎて参考にならないな」


ガクッと床にひれ伏せ泣き始める。「そんなに言わなくても…」なんて呟いているが無視しよう。


俺はため息をついて椅子に深く座り、勉強を始める。定期テストも近づいているのだ。トップは一応定期テストだけは受けなければならないので授業がない分少し厳しい。幸い今日は暖かく集中できる環境だ。遅れを取り戻すために俺はペンをとった。


ガラッ!


だが、ペンをとっただけだ。唐突にドアが開けられ大きな声で話し始める失礼な奴が入ってきたからそれだけしかできなかった。


「おいシン!ニーナ先輩が呼んでるから行こうぜ!あ、ついでにカヅキも…」


「なにおぅ!私はついでっていうことなの」


まあ、言わずもがなその失礼は奴とはカズマサだ。


「ニーナ先輩のところに行く要件は?それによって行くかどうかを考える」


たまにあの先輩はくだらない用事で誰かを呼ぶことがあるからな


「いや、聞いてないからわかんないけど結構重要なことらしいぜ」


いや、あの先輩の重要と俺の重要は違う。アイス棒が三回連続当たり棒だったとかだったりしそうだ


「とにかく来いよ」


でも、たまに本当に重要なことを言ってくるから無視できないのも事実だ。少し考えた後やはり安全策を撮るのが一番だと判断した。


「仕方が無いな。おい、カヅキも行くぞ」







〜というわけでニーナ専用教室〜


やはり、ニーナの教室は工場のような感じだ。まあ、彼女の能力を考えると当たり前といえば当たり前だが。教室の中に入ると奥にある大型ディスプレイの前でニーナは足を組んで座っていた。そういえば前に来た時もあそこに座っていたな。お気に入りなのだろうか。

と、趣味で特技である人間観察をしていると、ニーナの方がこちらに気がついてヘッドホンのようなものを外すとこちらに手を振ってきた。そういえばヘッドホンもこの前してたな。


「こんにちは。よく来たわね」


「はい、ちゃんとシンも連れてきましたよ」


「うん、ご苦労様。ところでさ…」


「えー!そうなんですか!でも…」


茶番とかいいから早く要件を言って欲しいものだ。

俺は相当イライラしているのだが、感情が表に出ないという癖のせいでなかなか茶番は終わらなかった。


「あの、ニーナ先輩要件とはなんです?」


とうとう抑えきれなくなった感情をふざけている二人にぶつける。


「早くしてください。俺には時間があまりないんです」


「「すみません」」


俺の威圧に押されて二人ともが謝ってきた。時間が特別惜しいというわけではないのだが、無駄な時間は過ごしたくない。まあ、これで要件とやらを話し出すだろう


「えーと、要件っていうのはアイス棒のことなの。実は…私三回連続で当たり棒が出たのよ!」


「帰ります」


「待ってぇぇ。行かないでぇぇぇ。冗談だからぁぁ!!」


クルリと回れ右をした俺の足を必死に掴み行かせないようにするニーナ。そこにもはや先輩の威厳などない。


「ふぅ、で、本当の要件とはなんなんですか?」


「なんだと思う?」


ほぉ、俺にそれを聞くのか。一体なんの挑戦か分からないが受ける気は毛頭ない。適当に答えるか。


「卒業式のことですか?ニーナ先輩のための送別会の準備は完璧なので気にしないでください」


「遠いわよ!卒業式ってだいぶん先の話じゃない!てか、うん。送別会してくれるのね。シンのことだからしてくれないのかと思ってたわよ」


どれだけ俺の印象は悪かったのかが分かったような気がするコメントだった。実のところ今考えて適当に言った言葉なのでもちろん送別会など予定にはない。


「ゴホン!えーと、カヅキはなんだと思う?」


すると、ボーっとしていたカヅキは突然の指名に驚きウーンと悩み始める


「えーと、文化祭のことですか?」


「正解!私は文化祭のことについて話すためにあなた達を呼んだの」


文化祭という単語を聞いた瞬間顔をしかめる。俺の文化祭に対するモチベーションは低い。だから、話題が文化祭である限り興味がない


「文化祭に関してのトップの立ち回りだけど、私たちはトップとして動かず、一般生徒としても振る舞うことになってるわ」


「ど、どういうことなんですか?」


ニーナの言葉にカズマサが反応する


「何かの行事があると運営とかをトップがしていることは知ってるわよね」


俺たち三人は肯定の意味で首を縦に振る


「それでね。トップはいつも運営ばかりしてきついだろうから文化祭委員会っていうのができてね。文化祭の間トップはトップじゃなくなるの」


「え?じゃあ、俺たちは文化祭の間何をすればいいですか?寮で寝てていいんですか?」


そのカズマサの意見にニーナはかすかに微笑んで答える


「いいわけないでしょ。あなたたちは一般生徒ということで普通にクラスに入るのよ。ついでにあなた達は1年1組に入ることになっているから。カヅキがいるクラスだから推薦しておいたの」


ほぉ、トップじゃなくなるのか。それにカヅキと同じクラスね。意外と有意義な情報が手に入った


「文化祭二週間前からトップじゃないから専用教室にも入っちゃダメよ。普通の教室に入るの。分かった?」


なん、だと…


「すみません、ニーナ先輩。それは授業を受けられるということですか?」


「え?ええ、そうよ」


これは嬉しい誤算だ。授業を聞けば定期テストも楽になる。追試の恐怖も減るはずだ。


「はい、というわけで話は終わり。文化祭二週間前になったら普通の教室っていうのを忘れないでね」


「「「はい」」」


というわけで解散だ。早く帰ろう。


「ちょっと、カズマサとカヅキだけ残って」


ん?ああ、俺は関係ないのか。


「では、お先に失礼します」


そう言って俺はニーナの教室を出た





〜ニーナ専用教室〜


どーもどーも!カヅキです。いや〜今回なんで私がこの教室に呼ばれたのか全然分からなかったし、トップ同士の話なんて正直興味がないからボーっとしてたんだけど、シンがこの教室から帰って私とカズマサだけが残った時私にとっての本題はこっちの話だと直感的にそう思ったよ。


「はい、というわけで、文化祭の話は業務連絡。今から私にとっての本題に入るわね」


ほら、やっぱりね。シンに隠すほどの要件とは一体なんなのだろうか


「そういえば、カヅキがシンのことが好きなのは知っているわよね?」


は?…いや、急に… は?ちょっと、ネタバレじゃね?


「いや、まあ、薄々感じてはいました」


もしかして、私って分かりやすい⁉︎


「あの、ちょっと待ってくださいよ!なんで、今その話が話題に上がるんですか!」


私は必死に多分顔を赤らめながらニーナに向かって叫ぶ。

すると、ニーナは右手の人差し指をまっすぐ立て「フッフッフッ」と怪しく笑い始めた。


「もうすぐ文化祭が始まるわ。これだけ言えば私が何が言いたいのか分かるはずよ」


「いや、全然分かりません」


即答で答えた。確かにシンは私の教室に来るとか少々のイベントはあるけど、私の恋愛感情と何が関係あるのだろうか。


そんなことを考えているとニーナは大袈裟に見せつけるようにため息をついた。カズマサまで同じような動作をしている。


まあ後でカズマサはしばくとして、何がそんなにおかしいのだろうか


それをニーナに聞いてみると、またもや大袈裟にため息をつく。


「あのねぇ、文化祭といえば恋愛祭と言われれほど恋の実るチャンスなのよ」


「え?そうなんですか。初耳です」


新たな知識を得たことでそれを元に話の道筋を立てようとする。


まずは、シンが私の教室に来る。そして、カズマサに私の好きな人を告げる。からの文化祭は恋愛祭。


これらを繋げると…


「もしかして…私とシンを…」


すふと、ニーナは楽しくてしょうがないという顔をして


「ザッツライト!何のためにカズマサの文化祭を支持して、トップに仕事させないためにわざわざ文化祭委員会なんて作ったと思ってるの」


少し頭が痛い。一体どれだけ後輩思い(?)な先輩なんだ


「じゃあ、ラブラブ文化祭=恋愛祭作戦を開始するわよ。カズマサも手伝いなさい」


カズマサは適当に「え〜」なんて返事をしていたが放心状態の私には届くはずもない。


さて、どんな文化祭になるのやら想像もつかない…





〜シン専用教室〜


俺だ。この学校の七席で一年生であるシンだ。一人称が変わるから急に語り手が変わっても大丈夫だろう。

さて、俺はニーナ達と別れたわけだが、特に寂しいといった感情はない。そもそも、俺はそんなに人との繋がりに飢えてはいない。トイレに集団で行くなんて哀れだとさえ思う。

これをカヅキが聞くと『ひねくれてるね』なんていうのだろうが、自分を変えるつもりは毛頭ない。

そんなわけで、俺は一人でパソコンに向かっていた。勉強は今はしていない。それはなぜかと問われれば、授業が受けられるということで余裕ができたからと答えよう。

こういう素晴らしいシステムになったのは全て文化祭のおかげだ。というわけで俺は恩返しのつもりで文化祭について調べていた。


「ん?なんだこれは?」


そこで見つけた一つのページ。そこに書いてある内容を凝縮するとこんな内容だった


『文化祭とはすなわち恋愛祭。このイベントこそ恋が実るチャンス!』


なるほど、一理あるな。


文化祭の準備などでは男女の隔たりはかなり取り払われる。それに加えて行事によるテンションが上がり実りやすいということか。


そこまで考えたところで俺の頭の中にカヅキが手を振りながら出てくる…っていかんいかん。


俺は強制的にそのカヅキの横にカズマサを配置して平静を保った。


ところで、あの二人は付き合っているのだろうか。…いや、そんなはずはない。いくら幼馴染といっても高校生になってまだ時間が経っていない。そんなに早く付き合ってしまうのはビッチくらいのものだ。


文化祭は恋愛祭。恋が実るチャンス!…か。


フッ、くだらないとは思うが…まあ、この前カズマサには助けてもらった恩があるし、カヅキになんて迷惑をかけっぱなしだ。


つまり俺が今からやることは必然的に仕方なくやることだ


「ふぅ、ラブラブ文化祭=恋愛祭作戦を開始するか」


さて、今回の文化祭はどうなることやら想像がつかない…







俺たちにとって普通という言葉は存在しない。波乱万丈という言葉の方街合うだろう。

ねじれにねじれ曲がった互いの思惑の中で波乱万丈な文化祭が幕を開ける


というわけで始まりましたよ文化祭。もう、続きをかなり書いているわけですが面倒臭くてイライラしてます。くそぅ!なんで文化祭なんて書いたんだ!

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