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始まりはいつだってチャイムから

世界はいつだって簡単に壊れる。

綺麗に整った校舎、笑顔を浮かべる貴族たち、煌びやかな制服――それらがどれほど脆い幻想か、誰も気づいていない。

「今日もまた、一つ駒が動く」

闇の中で微笑み、彼はゆっくりと幕を引き始めた。




***




眩しい朝日が、青空に輝いていた。

風は清々しく、花の香りがふんわりと鼻をくすぐる。アルカディア王立学園の門をくぐった瞬間、私は思わず目を見張った。

広がる美しい庭園。大理石の噴水がきらめき、優雅に行き交う生徒たちは、まるで絵本の中の登場人物のよう。煌びやかな制服に身を包み、笑顔で語り合う彼らは、遠い世界の存在だと思っていた。


(でも、私はここにいる…!)


胸の鼓動が速くなる。この場所で、私は新しい生活を始めるんだ。貴族しか学べない魔法を学び、このきらびやかな校舎に通う。夢のようだった。


(私はきっと…ここで夢を掴んでみせる!)


誰もが振り返るほどの美しさも、貴族の血筋もない。けれど、私はこの場所で夢を叶られるように願っている。


「あなたが…転校生の?」


澄んだ声に振り返ると、そこには黄金の髪が陽光に輝く少女が立っていた。その澄んだ青い瞳は優雅で、まるで絵画の中の聖女のような美しさ。


「は、はい!今日からこちらでお世話になります!」


思わず元気よく返事をすると、少女は微笑んだ。


「そう…私はエリュシア。エリュシア・ティサリーシュ。生徒会長を努めているわ。困ったことがあれば、いつでも相談してね。」


その笑顔に、私は安堵の息をついた。


(優しそうな人…良かった。きっと、ここで素敵な毎日が始まるんだ!)


これから始まる学校生活に胸を膨らませた…その時、不意に明るい声が響いた。


「おや、こんなところで立ち話かい?」


振り返ると、紅い髪を靡かせた少年が笑みを浮かべて立っていた。一人だけキラキラと輝く、宝石や黄金の装飾が施された豪奢な制服を身にまとった男に、周囲の生徒たちは即座に道を開ける。


「アレクサンドル様…」


エリュシア様が呟いた。

ざわめきが広がり、彼は自信たっぷりに近づいて来る。


「転校生さん、ようこそアルカディア王立学園へ。ダルクローズ王国の第二王子たるアレクサンドル・ド・ダルクローズが君を歓迎しよう。」


アレクサンドルの声は軽やかで、どこか計算された響きがあった。彼の真っ赤な瞳が転校生をじっと見据えている。


転校生は一瞬ひるんだが、すぐに明るく微笑み返した。

「ありがとうございます。ここで学べることを嬉しく思います」


その時、遠くから低い声が聞こえた。

「転校生だって?また生徒会の話題が増えそうだな」


振り返ると、レオンが遠巻きにその様子を見ていた。目に薄い疑念が浮かんでいる。彼は生徒会の権力争いに巻き込まれることを、まだ完全には理解していなかった。


エリュシアは微笑みを保ちながらも、鋭い目でアレクサンドルと転校生を見つめている。内心の嫉妬が彼女の冷静さを少しずつ蝕んでいくのを、誰も知らなかった。


「さて、これからが本当の学園生活の始まりだね」

アレクサンドルの声には、どこか甘く危険な響きが混じっていた。


だが、その笑顔の裏側で、暗い影が確実に動き始めていることを、まだ誰も知らない。

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