第八十九章〜幻滅
おはようございます。遅くなってしまいましたが。させていただきました。意外だ 彼女の姿を目にすることに蘭馬なります。彼と彼女の心の葛藤はどのように終息していくのでしょうか。お楽しみいただけましたら幸いです!
誰もいないとある講義室の中で、蘭馬は乱れてしまった洋服を直し、汗を拭った。化粧をしていないからまだいいようなものだが、これでファンデーションなりアイシャドウなりチークなりを着けてていたら、お化粧は乱れるし 大変なんだろうなと思う。
━━そういえば お化粧の練習もしなくちゃな。
などとも思うのだ。本物の夏美は、メイクもやはり うまいものだと思われた。負けてはいられない。
ケリーバッグからスマホを取り出した。
未読通知が1件あった。LINEである。アプリを選択し、メッセージを開いた。
どういうこと?
という文字が最初に目に入った。続き…。井伏君から連絡入ったの。あなた、なんてことしてくれたの?彼、カンカンよ。一番の金づるだったのに。彼、モテないけどお金持ちなんだから!
彼女が怒っている姿が目に浮かんだ。それは蘭馬に良からぬ行為をしても良いという承諾のメッセージでもあるようだった。要するに体を売ってお金を儲けよ、という指令も含まれているように思えたのだ。
━━成る程、ビジネスライクだね。そっちが、その気ならこっちも好きにさせてもらうよ。
蘭馬も夏美に少し幻滅した。彼女自身が自分の体をそんな風に汚しているのだったら、几帳面にそれを守ってあげる必要もないのではないだろうか。それは蘭馬自身の自分への言い訳でもあったが正論でもあるように思えた。
結局、蘭馬は、講義に出る気もなくし、気分転換で街に出てみようかと思い立ったのである。時刻は午前10時少し前である。意外と 遅い東京の街の目醒めもそろそろであろう。
実際の夏美のイメージは、抱いていた 幻想的なものからは逸脱しているのかもしれなかった。それならもっと好きにしよう。そんな思いが湧き出てきたのが自分でもわかった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




