第八章〜
遅くなりました。書きました。どうぞ宜しく御願い致します!
「オレ、こんな際どい服着て歩くの、初めてだよ。なんだか緊張してうまく歩けない。見られるのが恥ずかしい。変じゃないか?本当は男であるのがバレそうでないかな?」
欄馬が、夏美の耳元に唇を近づけて小声で訊いた。
喫茶店から出て、新宿通りをひたすら伊勢丹方面へ向けて歩いていた。以前より少なめの人通りだったが、それでも油断すれば人とぶつかってしまいそうだ。
欄馬は、夏美の身体を使ってるのに、だらしない、歩き方をしているような気がしてならなくて、申し訳無さでいっぱいだったのだ。
が、彼女は小さく首を降った。
「あまり気にしないほうがいいわきっと。へんに考えると余計ぎこちなくなる」
「あー、やっぱりぎこちなくて変ってことか。どうしよう」
「気にしないで。たぶん気にするから、よ」
それを聞いてやはり欄馬は困るしかなかった。
夏美の身体に恥を掻かせたくはなかったのだ。訊いた。
「なんか・・・、らしく見える歩き方のコツ、っていうか、ないかな?」
夏美は少し首を捻って考える素振りを見せた。
「ないわ。たぶん、そう考えると余計わからなくなるの」
「そうなんだ」
「そうだな。例えば、前を歩いてるお姉様の歩き方、参考にしてみて」
「なるほど」
欄馬は少し安心したように辺りを見回し、それらしい女性を見つけて真似をしてみた。で、
「あー、のんか照れ臭いわ。余計へんになってそう。自然にしとくか」
「でしょ。そんなものよ。よくわかんないけど」
欄馬である夏美は少し笑ったようだった。
「お互いの呼び方もチェンジしなきゃね。そのままだとおかしいわ。ね、夏美ちゃん?」
お飲みになっていただきまして誠にありがとうございました。