第四章〜定番
御早う御座います。遅くなりました。宜しく御願い申し上げます。
欄馬は、自分がキャミソールにカーディガンを羽織っているのに気付かされたのである。
そう。先程まで、頭上を歩いていた女性が着ていたような。しかも、そのバストにはたわわに実る揺れ動かんばかりに不安定な感のあるバストの存在までもが。
さらに下に目を遣ると、足元にすうすう風が通る原因を知るのである。
そう。欄馬の下半身には、膝上20センチの薄い布しか掛かっていなかったのである。
さらには、欄馬の眼の前には今まで欄馬のものだと思って疑わなかった肉体がある。
━━これ、って定番の?
欄馬は焦りながらおもった。
「入れ替わった!」
欄馬と女性の声が混じり合って同じ台詞を叫んだのだ。
「やだ、あたしの身体を返して!」
今の今まで欄馬だったはずの欄馬の身体に宿った女性が欄馬の顔で顔を赤くした。
「そ・・・そんなこと言ったって」
今の今まで女性の精神を宿らせていた女性の身体になった欄馬が女性の声で言い換えした。
欄馬の掌が欄馬である女性の頬を強く打った。
「ヘンタイ!」
「オレのせいじゃないよ!」
「あたしの身体に触っちゃ駄目よ!」
「さわんねーよ。いや。それはきっと無理だよ」
「なんでよ!?」
「だって、最低限、生きる為にはそうしなければならない時だってあるでしょ?たぶん」
欄馬も女性も非常に焦り、困惑しているのだった。
有り難う御座いました!