第三十四章〜位置エネルギーを
久しぶりに書かせていただきました。申し訳ございません。こちらの作品を入線して書いていこうかと思います。よろしくお願い申し上げます。様々なエピソードを用意しておりますので是非お楽しみに。
「幸運を祈りましょう」
夏美の声であった。それは何の合図か、彼には分かっていたが、彼の方からは実行できなかった。恐怖がまだ勝っているのだ。あとキャビンにして3つ分で地上の降り口に到達するようであった。その時、である。突然夏美が狭いキャビンの中で1中腰になった。そして、蘭馬の両手を慈しむかのように取った。すぐにキャビンのドアを開けた。蘭馬の尻が、ストゥールから離れる。先に行動を起こしたのは やはり、夏美。彼女は蘭馬の両手をきつく握りしめたまま、ドアの外に出ようとした。
「おい、危ないぞ!何をしているんだ?」
地上にいる係員から怒号が飛んだ。
だが、夏美も蘭馬もそれは無視して良いものだと思えた。彼女らは飛翔していた。
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地上に着くまでに、3秒と掛からなかった。彼と彼女は一旦地上のアスファルトに脚をつき、そしてそのまま横転した。肩口をしたたか何かにぶつけた。
砂煙が上がったようだった。事の顛末 の詳細が分からないほどには濃い砂煙がしばらく立ち篭めた。
軽い脳震盪を起こしたかもしれなかった。
しかし、位置エネルギーが足りなかったか━━?それが気掛かりだった。入れ替わりは成功したのだろうか?
いったあ、痛い
先に口を開いたのは夏美だった。が、夏美は、夏美としての自我は持っていなかった。痛い痛い言っているのは、夏美であって、夏美ではなかった。それほ夏美のような蘭馬なのであった。
お読みになっていただけまして 誠にありがとうございました。次も書かせていただこうと思います。よろしくお願い申し上げます。




