第十ニ章〜袋小路
時間がかかってしまいました。寝てみました。入れ替わりというタイトルにこだわろうと思います。どんな展開 か楽しみくださいませ。
欄馬が夏美に倣って財布を取り出す暇はなかった。
「つけとく。後で返して」
夏美がやはり小声で囁いた。どうやらこの公園に入るには料金が必要で、夏美が蘭馬の分まで払ってくれたようだ。無人の自動改札ゲートを通り抜けると、そこには広大な庭園が広がっていた。
夏美の身体を操る欄馬は、少し躊躇した。言う。
「ねえねえ。オレ、いや、あたし靴履いてないのよ。このまま路面を走ったら君の大事な足を傷つけてしまうかもしれない。それはいやだ」
と、夏美が足を止めた。
「うふふ。優しいんだね。でも今は緊急事態。さあ、行くわよ。喧嘩に勝つ自信がないなら逃げ切るしかないんだから」
蘭馬の身体を操る夏美は、精神的に余裕を持ち始めたようだ。
「こんな時によく笑っていられるぜ」
欄馬が悪態をついた。すると、後方から低い野獣のような声が聴こえてくるではないか。
「てめえら、待ちやがれ。逃げたって無駄だぜ。」
巨漢の男だった。もう、身体中を汗に濡らしているのが見て取れた。
「ヤバい。追いつかれるぞ。どうしよう?何か作戦があったんじゃないの?」
欄馬の声が恐怖のあまり、大きくなった。
「どんな公園なのかしらないけど、公園の中じゃ袋小路だよ。何の方策も考えてなかったのかい?」
夏美の身体を操る蘭馬が少し声を荒らげた。
「ないよ。最初、こっちの方向に走り出したのは、あなたでしょ?」
「んな!バカな!それじゃあどうすんのよ!奴はもうすぐそこだぞ」
欄馬が声を荒げると、公園をそれぞれ散策する入場者が、何事かと見てきた。
見た目夏美の欄馬が再び巨漢男の方を向いたその時であった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。に書きます。




