プロローグ
新作です。宜しく御願い申し上げます。
JR 新宿駅 東口。改札前の地下街から、東口広場の 向かいにあるアルタ・スタジオに向けて歩いていた。
渋谷 ハチ公前や新宿 紀伊国屋書店前と並んで 東京一アイコニックといってもいい建物のひとつに何故むかっていたのか。
それは、男友達との待ち合わせの為だった。
男友達とは、高校生の時からの知り合いであり、彼にとって一番親交の深い相手だと言ってよかった。
彼は急いでいた。友人と会う約束の時間まであと二分しかなかったのである。
新宿東口からの出口となる地上階に登る為の階段へ向かっているのは、相島蘭馬であった。
蘭馬は今年で十八歳、高校を卒業して間もないのである。
一方、待ち合わせの相手はといえば、牧島基である。
ふたりはアルタ前で待ち合わせ、一緒に書店に本を買いに行く約束だったのである。
さて。欄馬が地上への出口へと階段を速足で登っている途中、階段の中程まで登ったときなのであった。
ふと階段の上の方を見上げると、ミニスカートを履いているが為に、中身の下着が見えてしまいそう、という状況を意にも介してなさそうな女性が登ってゆくのが見えたのだ。
彼女は、ピンヒールの踵をこつこつと音響かせながら軽快に登ってゆくのであった。
ところが、その時、である。
上をゆく彼女があ、と叫んだかどうかは憶えていない。ただ、彼女のピンビールの踵が、つと階段の踏み板を踏み外す瞬間を、蘭馬は目撃してしまったのである。
途端に彼女の身體はバランスを崩し、落下し始めるのを眼の前で目撃してしまったのである。
有難う御座いました。