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帰宅

「豆田さん。大丈夫かな......」

「リルちゃん。豆田はやるときはやる男だから大丈夫!」


 豆田探偵事務所のソファーに座るリルは、俯いて瞳に涙を溜めた。


「豆田さんに、何かあったら、僕のせいだ」

「リル。きっと大丈夫だ。あの方は私を洗脳から解放してくれたんだ。そう簡単にやられたりはしないさ」


 アルルは、リルの頭を優しく撫でた。リルは黙ったまま首を縦に振る。


(豆田まめお。大丈夫よね......)


 シュガーは、窓から暗くなった空を眺める。


『ギギギー』


 玄関の扉が開き、聞きなれた声が聞こえる。


「豆田まめお?」


 シュガーは、自身が気付いた時には、すでに立ち上がり階段に向かっていた。


「おっ! シュガー。無事だったか」

「豆田まめお!!」


 シュガーの瞳に涙が貯まり、視界が滲んでいく。

 豆田は全身の痛みに耐えながら、階段をゆっくりと上がる。その後ろから、ドラゴン『ポチ』とその頭に乗るポロッポが続く。


 階段を昇り終えた豆田は、大きく一呼吸すると、


「シュガー。ただいま。流石に死ぬかと思ったな」

「豆田まめお......」


 シュガーは、思わず豆田に抱き着いてしまう。


「豆田まめお。本当に無事でよかった」

「あれくらい大丈夫。と、言いたいところだが、今回はポロッポに助けられた」


 シュガーに抱き着かれたままの豆田は、ポロッポを親指で指差した。


「私のお手柄です!!」


 ポロッポはその鳩胸を目一杯張る。


「ポロッポ。ありがとう!!」


 シュガーは、感情が抑えられずボロボロ泣いている。

 アルルとリルも豆田に駆け寄った。


「みんな無事で良かった」

「豆田さん。無事で良かったー!! お姉ちゃんを助けてくれて、ありがとうございます」


 リルは涙を垂らし、鼻水をすすっている。

 そのまま豆田に抱き着こうとする。が、豆田はリルの頭を押さえ距離をとる。


 アルルは豆田の前に行き、


「豆田さん、改めて、ありがとうございます」

「堅苦しいのは、もういい! 折角だ。お祝いをしようか」


 シュガーはその言葉を聞き、ようやく泣き止んだ。豆田に飛び切りの笑顔を見せると、


「豆田まめお。すぐに何か用意するね!」


 と言い、キッチンに向かった。


ーーーー


 シュガーは、冷蔵庫に残る食材を使い手際よく料理を用意する。

 パスタや、唐揚げをはじめ、沢山の料理を仕上げた。


 ローテーブルやカウンターに所狭しと料理が並ぶ。それぞれが飲みたい物をグラスに注いだ。


 そして、


「アルル救出作戦、成功を祝して乾杯!!」


 豆田の言葉を合図に4人と2匹のパーティーが始まった。


「僕、こんなに美味しい物、こっちに来てから初めて食べるよ!」

「いや、リル。これだけの御馳走は『カクタリス』でも早々お目にかかれない」

「お姉ちゃん。確かに!」


 リルは口いっぱいにパスタを詰めながら話す。


「リルちゃん達の世界は『カクタリス』って言うの?」

「いや、『カクタリス』は、私の国の名前だ」


 アルルは、シュガーの問いに答える。


「ん? アルル。異世界にも沢山の国があるのか?」

「豆田さん。そうですね。こちらの世界と同じように沢山の国があります」

「ほう。例えば?」


 豆田は興味津々のようだ。片眉を上げ、アルルの方を見る。


「そうですね。私達エルフの国と、それに面したドワーフの国。あと、亜人の国。それにここの人達と同じような人種の国もあります」

「なるほど。流石、異世界だな」

「豆田さん。私達にとったら、ここが異世界ですよ」

「なるほど!」


 豆田は妙に納得したようだ。すると、ブツブツと声に出しながら、考え出したようだ。


「あの。豆田さん?」

「あー。アルルさん」

「あ、アルルでいい」

「じゃー。アルル。豆田はああなったら、しばらくはあのままだから、ほっておいていいわ。料理を取るわね。お皿かして」

「あ、はい」


 アルルは、シュガーにお皿を渡した。

 食事を楽しむ3人と2匹。楽しい時が過ぎる。


ーーーー


「僕もうお腹いっぱい!」

「私もだ。リル。良かったな」

「うん!!!」


 満足気な2人を見て、シュガーは豆田に声をかける。


「ねー。豆田まめお。食後のコーヒーをお願いできない?」


 その言葉にハッとした豆田。


「シュガー。すぐに用意する。アルルとリルは、今日はカフェインレスにしよう」

「そうね。その方がいいわね」


 豆田は、キッチンの方に入っていった。


ーーーー


 コーヒーの香りがキッチンから漂ってくる。

 今日は、少し甘い匂いがする。


「3人とも。カウンターでいいかな? 一番の功労者のポロッポは特製ミルクでいいか?」

「豆田さん! 分かってますね! わたくし、功労者ですからね!」


 カウンターの笠木にとまったポロッポは、自慢げだ。


「で、ポチはコーヒー豆な」

『ガルル!』


 ポチは嬉しそうにコーヒー豆を口いっぱいに頬張る。


「では、これがカフェインレスのコーヒーだ」


 アルルと、リルの前に出されたコーヒーから、甘い匂いがたつ。


「豆田さん。ありがとう!」


 一口飲んだリルは満面の笑みを浮かべる。


 アルルは、コーヒーを一口飲んだあと、改まると、


「豆田さん。食べ終わったら、私たちはここを出ますね」

「え? ここにいたら良いわよ」


 シュガーは咄嗟にそう言った。


 アルルは首を横に振り、


「そんな、そこまでお世話になるわけには」

「僕はここにいたい!!」

「リル。無理を言ってはダメよ!」


 豆田は帽子を被り直す。


「アルル。行く当てはあるのか?」

「そ、それは......」

「考えなしに行くと、また危険な目にあうぞ」


 アルルは正論を言われ、うつむく。


「いいか? 今後の選択肢は2つだ。だが、どちらにも問題がある」

「2つですか?」

「ああ。まず1つ目。異界に帰る」


 アルルは驚いた顔。


「え? 帰れるんですか?」

「お姉ちゃん! そうだよ! あそこにゲートがあるの!」


 リルはロフトを指さす。


「え?」


 アルルは思考が追い付いていないようだ。


「アルル。ただ、ゲートの先が、ポチがいた島なんだ」

「え? あ、こちらのドラゴン? の、島?」


 アルルはポチを見る。


「え? もしかして深紅のドラゴン? ギース? 実在したの?」

「ポチ! 有名人だな! あ、有名ドラゴンか?」


『ガルルルウルル』


 ポロッポはポチの頭に乗り、その言葉を訳す。


『我は深紅のドラゴン!!』

「はいはい」


 豆田はポチを適当にあしらい話を続ける。


「で、2つ目の選択肢は、この町で暮らす」

「この町で?」

「ああ。『こだわリスト』達にはエルフが見えるからな。働けるところや住むところを探してやる」

「そっか。この町で......」

「ただ、一般人には姿が見えない分、過ごしにくい事は考えられる」

「なるほど......」


 アルルは、ほほに手をあて考える仕草。


「お姉ちゃんどうする?」

「アルル。リル。今日はもう遅い。それに急ぐことではないし、一晩寝て、ゆっくり考えてくれたらいい」

「豆田まめお。そうよね。今日は色々あったし、まずは休まないとね。寝巻用意するね」


 シュガーはアルルとリルに微笑みかける。


「リル。お言葉に甘えて、今日はここに泊まらせて頂こうか」

「賛成! もう僕はクタクタ」

「そうだな。クタクタだ」


 アルルとリルがコーヒーを飲みきったのを確認したシュガーは、2人をシャワー室に連れて行った。


 そのシュガーの嬉しそうな姿を見て、豆田は微笑んだ。


 今日も3つの月が空に輝く。

ご覧いただきありがとうございます!4章完結です。


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!


4章までの加筆、修正作業と、5章考案の為、しばらくお休みします。

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