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戦いの後

「リル。心配かけてごめんね」

「ううん。大丈夫」


 アルルに抱きついたままのリルは首を横に振った。


「ここにいる。豆田さん達が助けてくれたの!!」


 リルの言葉をききアルルは、改めて豆田やシュガーを見た。


「私を助けて頂き、ありがとうございます」


 アルルは深々とお辞儀をした。


「元通りになって良かったわ」


 シュガーは優しい笑みをアルルに向けた。

 リルは満面の笑みを浮かべたままだ。


 その横で、豆田は考え込んでいる。


「あれ? 豆田まめお。どうしたの?」

「とりあえず、考えないといけないことが沢山だ」

「そうよね。リルちゃんとアルルちゃんの今後のこととか」

「ああ。それもそうだがまずこいつだ!」


 豆田は親指で司祭を指刺した。


「洗脳したままでも、全く使い道がない」

(使い道? 道具として??)

「掃除係として、持って帰るってもの考えたが、食費の方が高くつくしな」

(やっぱり、道具として考えてたのね)


 アルルは、豆田たちの様子をみつつ、


「あのー。ドグマ教と関わらないようにして、生かしときますか?」

「んー。そうだな。では、今後の問題は置いといて、とりあえずドグマ教のこと自体が分からないし、聞けるだけ聞いてみるか?」

「豆田まめお。そうね。あまりに危険な教団なら、クロスさんや王様に報告した方が良いしね」

「よし、質問していくし、シュガー。メモを取ってくれ!」

「分かったわ!!」

「リル。アルル。お前たちも聞きたいことがあれば教えてくれ」


 そういった豆田は、姿勢を正した。


「では、第1問。」

(第1問??)


 シュガーは、豆田の顔を直視する。


「あなたの好きな食べ物は何ですか?」

(あ。楽しんでるわ。これ)


 シュガーは、色々察した。


「豆田さん。そんなこと聞いてどうするんですか?!」

「リル。洗脳の確認だ」


 その言葉にリルは納得してしまう。


「ハ・イ。私の好きな食べ物は、豆大福です」

「「「豆大福!!」」」


 一同は、驚愕した。


「まさか、豆大福とは!!」


 豆田は天井を見上げた。


「では、第2問!!」


 リルが手を上げ、質問する。


「えーと。何歳ですか??」

「ワ・タ・シ。53歳です」


 一同(普通だ)と思う。


「第3問!!!」


 豆田達は、ドンドン司祭に質問をしていく。


----


「えーっと」


 シュガーは、小さく手を上げる。


「豆田まめお。いい? ここまでの回答をまとめるわね。司祭。名前はメモリー。豆大福好き。53歳。独身。子供の時、犬に追いかけられてから、犬が苦手。最近、膝が痛い。先週の金曜日、河原で食事中、鷹にサンドイッチを取られる。土曜日の朝は、果物だけを食べている」

「ははは。単なる自己紹介だな」

「皆んな、ここまでで気になることはある?」


 豆田は帽子を被り直しながら、全員の顔を見た。

 アルルと、リルは少し考えてから、


「やっぱり、名前のメモリーでしょうか」


 アゴに手を当てながら、アルルは真剣な顔で答えた。


「確かに! まさか、メモリーちゃんだとは」

「豆田さん。それに、豆大福!! 豆大福って、美味しいのですか?」

 

 リルは、豆大福を食べたことがないようだ。


(あ、みんな豆田まめおに引っ張られて、楽しくなってる)


 皆の楽しそうな顔を見てシュガーも少し楽しくなってきた。

 

「ああ。豆大福は旨い。今度食べに行こう。さー。遊びはこれくらいにして」

「豆田まめお!! 遊んでるって自覚あったのね!!」

「ははは。もちろんだ! こんな楽しいことはめったにないからな!」

「確かに」


 シュガーも笑う。


「さ、そろそろ本題と行こう! 第8問目!!」

「それは続くのね!」


 豆田は、頷く。


「ドグマ教の崇拝する神は??」

「ワ・タ・シ。崇拝するのは聖獣ギアスと教組ゼロム様です」

「聖獣? そんなのがいるの?」


 シュガーは驚きの声をあげた。


「ああ。シュガー。ここまでは先ほど光のドームの中で、メモリーちゃん本人が言っていたことだ。では、第9問!!」


 豆田の顔が少し真剣になる。


「ドグマ教は、現在、何を目的としている?」

「ハ・イ。現在の目標は、この世界でのドグマ教の布教です」

「この世界? ドグマ教は異世界の宗教なのか?」

(なぜ、この世界で布教する? 私達のように、自由に異世界と行き来できるという事か? 質問に工夫がいるな......)

「では、第10問!!」


 豆田は少し悩む仕草をして、


「このグロアニアでの布教の責任者は誰だ? 答えろ」

「ハ・イ。グロアニア王国での責任者はムザリ様です」

(つまり、違う国にもいるという事だな。ドグマ教はこの世界に根深く浸透しているのか??)


「第11問!!!」

「この国の信者は何人いるか答えろ」

「ハ・イ。現在、この国の信者は500名ほど」

「豆田まめお。結構いるのね」

「そうだな。悪いことをしなければ、問題ないんだが。アルルの件もあるしな」

「豆田さん! 絶対なにか企んでいるよ!!」


 リルが口を挟んだ。豆田は、ゆっくり頷く。


「では、第12問!」

「この世界にドグマ教を布教した後、何をするつもりだ??」


 豆田は疑惑の眼差しを司祭に向けた。


「布教したのち、信者の魂を使い......。ぐふ」


 司祭の胸元から突然血が流れだした。

 その奥に金属らしい輝きが覗く。


 ハッとした豆田は瞬時に行動する。


「みんな伏せろ!!」


 豆田の言葉をきき、一同は慌ててしゃがむ。

 豆田は反応の遅かったリルの服を持ち、その身体を地面に引き下ろした。


 その瞬間、司祭の方から、横一文字の斬撃が飛んでくる。斬撃は頭上ギリギリを通り過ぎる。通り抜けた斬撃は壁にぶつかると、屋根の一部を吹き飛ばした。


「くくく。まさかあなたの口から秘密がばれそうになるなんてね」


 豆田に洗脳されている司祭の背後に急に人影が現れた。


「ぐは!」


 司祭の顔面は青白くなり、その顔は苦しそうだ。


「ああ。もう死にかけですか。あんなに偉そうだったのに。あなたの方が洗脳されたのですね。くくく。私はあなたに死んで頂きたかったので良いですが......」

「お前は、どこから現れた?」

「おや、あなた達は、ドグマ教の秘密をお聞きですね? 仕方ない」


『バシュー!』


 男は斬撃を豆田に向かって飛ばした。


「コーヒーシールド!!」


 豆田はコーヒーカップからプレート状のシールドを作り出し、迫りくる斬撃に向かって突き出した。


『バキン!!』


 シールドに直撃した斬撃の軌道は逸れ壁に穴をあけた。豆田は攻撃を受けた反動で後方に滑る。


(く! まるで、風雷の斬撃じゃないか!)


 謎の男は、豆田を見下した目線を向けたあと、司祭の方を見て、


「メモリーさん。こんな弱そうなやつらに負けたのですか?」


 と、バカにしつつ軽蔑の眼差しを向けた。

 豆田は、自身から視線が外れた瞬間に動き出す。


「ポチ!!」

『ガルルルル』

 

 豆田は、ポチに指先で指示を送る。


『カッ!!!』


 ポチは大きく息を吸いこんだのち、謎の男に向かって高温のブレスを吐いた。

 謎の男は、そのブレスを難なく腕で弾いた。


「な、ポチのブレスを簡単に」

(これはまずい。確実に全滅だ。レベルが違いすぎる)


 豆田の額には汗が滲んだ。


「私が抑える!! みんな逃げろ!! ポチ!!」


 豆田は、シュガー達にそう言うと、再度ポチにブレス攻撃を仕掛けように指示を出す。

 謎の男は、その行動を鼻で笑うと、飛んできたブレス攻撃を先ほどと同様腕で振り払う。


「コーヒーゼリーランス!!」


 ポチの放ったブレスの射線上に隠れつつ距離を詰めた豆田は、コーヒーゼリーをランスに変え、男に向かって突き出した。ランスはブレスを弾き一瞬のスキができた謎の男の腹部を直撃した。

 

 ゼリーランスのバネに弾かれ、男は後方に吹っ飛んだ。


「リル!! 浮かせろ!!」


 リルはその言葉に瞬時に反応する。


「風の聖霊よ! 我に力を!! スピードウイング!!」


 リルの言葉に反応して出現した魔法は、自身の身体とアルル、シュガーの身体を浮かし、ひとまとめに集めた。


「豆田さん!!」

「リル! 偉いぞ! コーヒーゼリーランス!!」


 豆田は、リルたちの方に向かい走る。


「リル! 次はシールドだ!!

「ウイングシールド!!」

 

 緑色の球形のシールドが3人を包み込んだ。

 豆田は、コーヒーゼリーランスを持ち直すと、投擲の動作に入る。


「いっけーー!!!!」


 豆田に投げられたランスは、リルのシールドに当たる。

 コーヒーランスは、バネのように縮んだあと、一気に弾けた。

 

 ランスの反動を受け、リルたちの身体は加速する。破壊された天井の隙間から、飛び出し、あっという間に見えなくなった。


ーーーー


『ブワアアーーーーー!!!』

「凄いスピード!!」


 リルはシールドに魔法力を込め、空気抵抗を減らすように努める。


「豆田さんの邪魔にならないように、出来るだけ離れないと!!」


 球体に包まれたリルたちは、豆田たちからは見えなくなった。


ーーーー


「やれやれ、お仲間には逃げられましたか......。手間が増えますね」


 コーヒーランスによって弾かれた謎の男は、ゆっくりと立ち上がった。

 ランスによるダメージは全くないようで、誇りをパンパンと払うと、その視線を豆田に向けた。


「で、あなた一人とトカゲ一匹で、どうするつもりです?」


 豆田は、男を睨むと、居合切りの構えを取った。


(くそ。信者たちを傷つけない為に、普通のコーヒー豆で来てしまった。この居合切りでも、奴の身体に傷を付けれるかどうかだな......)


 豆田とポチに緊張が走る。


(やった! 私は数に入ってませんね。こっそり逃げますか)


 椅子の影に隠れたポロッポは、キョロキョロとあたりを見つつ、逃げ出す心構えをする。


「まーいい。とりあえず、あなた達を殺して、すぐに先ほどの3名を追いかけますか......。では、早々に死んで頂きますか!」

『バシューーーー!!』


 男は斬撃を豆田に向かって放った。

ご覧いただきありがとうございます!


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新頻度あがります!


どうぞよろしくお願いいたします!


――――――――

人物紹介


・『豆田まめお』 

主人公。探偵。コーヒーの『こだわリスト』

コーヒーから『こだわりエネルギー』を抜き出し、自在に操る能力者。

コーヒー銃。コーヒーソード。コーヒー鍼。などを使う。中折れ帽子にシャツ姿。わがままで癖が強い。


・『シュガー』

ヒロイン。ココア色のロングヘアー。

世界を救うために、アルテミス国軍から脱走する。

『純人』。豆田まめおのアシスタント。純粋。


・『クロス』   

豆田の幼馴染。刑事。

箱の『こだわリスト』。金髪ショートボブの好青年。

天然ボケ。


・『ポロッポ』

ハト。王様に使える伝書鳩。

鳴き声の『こだわリスト』で、人の言葉も話せる。


用語説明


・『こだわリスト』

こだわることで不思議な能力を手に入れた人々。

戦闘に特化したタイプや、道具に不思議な能力を付ける職人タイプがいる。


・『純人』

純粋な心で物事をみる人々。

職人タイプの『こだわリスト』が作る道具を何でも扱える。


・『異界の者』

違う世界から現れたと言われる人々。

『こだわリスト』と『純人』にしかその姿は見えない。

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