ドラゴンの卵
自宅のロフトにあるゲートから帰宅した豆田とシュガーは、互いの顔を見合い安堵の表情を浮かべた。
「豆田まめお。何とか無事帰ってこれたわね」
「ああ。ま、とりあえず、シャワーと食事だな」
ドラゴンの卵をロフトに置いて、リビングに降りようとすると、『コツコツ』窓ガラスを叩く音が聞こえた。
豆田は、コツコツの先をギロリと睨むと、一気に駆け寄る。
『ガラッ!』
豆田は、窓を素早く開け、コツコツの元を握る。
「豆田様!! わたしです!」
豆田は、掴んだ物体を目視で確認。うなずく。そして、遠くに投げようと振りかぶる。
「豆田まめお!!」
シュガーの声に反応し、豆田は、一瞬止まる。
掴まれた物体は、焦りながら訴える。
「私です!! ポロッポです!!」
「知ってる」
その言葉に安堵したポロッポ。
しかし、次の瞬間、彼は上空に消えていった。
「豆田様―――!!!」
声がドンドン遠のく。
「豆田まめお!」
「ん? シュガー! この家にはコツコツはいらない!」
少し呆れた様子のシュガーだが、いつもの事か、と、頭を切り替える。
「はいはい。コツコツはいらないわね。じゃ、私は先にシャワー入るわね」
「どうぞ」
シュガーは、キッチンの裏に有るシャワー室に向かいドラゴンの血で汚れた体を綺麗に洗う。
***
バスタオルを頭に巻き、スッキリした表情のシュガーは、部屋着を纏い、浴室から出てきた。
「豆田まめお。お先に」
豆田は、カウンターチェアーに座り、血だらけの服装のまま、もうコーヒーを飲んでいる。
『ギィー』
豆田ハウスの扉が開く鈍い音がする。
豆田は、その音に反応し、一瞬だけ鋭い眼光になったが、すぐに表情を戻して、コーヒーに口をつけた。
シュガーは、扉を開く音がしたのに、階段を昇る音がいつまでもしない事を不思議に思ったが原因はすぐに分かった。
「はじめからそうしたら良いんだ。」
豆田は階段に向かって言葉を投げる。
「豆田様。今日は500メートル以上飛びましたよ!!」
階段からパタパタ羽ばたきながら現れたポロッポは、少し怒っている。
「はははー。記録更新だな!」
その無邪気な笑みを浮かべる豆田を見て、怒っても無駄だとポロッポはすぐに悟った。
「ポロッポ。今日はどうしたの? 何か用事?」
バスタオルで髪を拭きながらシュガーは、ポロッポに疑問を投げかける。
「シュガーさん。私はパトロールを兼ねて、町を飛んで回ってたんですよ。で、豆田さんの家の前にきたら、家の中がパッと光ったので、心配で見に来たんですよ」
「あ……」(ゲートを通った時の光ね)
「あー。ポロッポ。異界に行ってきた帰りでね」
「え? 自宅から異界へ? そんな非現実な!!!」
「非現実の塊が何を言う!」
「確かに!!」
シュガーは納得の相槌を打つ
「豆田様。泣きますよ」
「ははは。ま、とりあえず見てみるか?」
豆田達は、ポロッポを連れて、ロフトに上がる。
「すいません。豆田様」
「ん? これがゲートだ」
豆田は、紫と黒の渦巻きを指差す。
「あのー。ゲートも気になるんですが、この大きな卵は何ですか?」
「あ。それはドラゴンの卵よ!!」
シュガーは自慢げに言う。
「え――!! ドラゴン!!! そんな物が現実にいるんですか!!」
「ああー。ポロッポ。ドラゴンを退治したら、卵になった」
「退治。わたくし心底ビックリです!」
ポロッポは、 驚愕の表情を浮かべた。
「はは。ビックリの塊が何を言う!!」
「豆田様!!!!」
怒るポロッポ。
「でね。手に入れたのは良いけど、どうするか悩んでてー」
「ま、生まれて暴れたら困るし、食べようと思うんだが」
「豆田様。食べるんですか?」
ポロッポは、露骨に嫌そうな顔をする。
「豆田様。とりあえず、王様に相談されてはどうですか?」
「あのタヌキおやじはダメだ」
「では、どうしたもんですかね?」
ポロッポは、腕を組み考えこむ。
「んー。豆田様。困りましたね。私たち鳥類でしたら、すりこみの法則があるので、大丈夫なんですけどね」
豆田は、その言葉にハッとする。
「なるほど! じゃー大丈夫だな!!」
「豆田様。何がです?」
「良し! ポロッポ!! 任せた!!」
そう言うと豆田はポロッポの身体をガシッと掴み、ドラゴンの卵の上に乗せる。
「豆田様! サイズ的にもおかしいです。卵が、はみだしまくりです」
「発案者よ! 頼む!」
「お願いね!」
「豆田様。それにシュガー様までー!」
豆田達はポロッポを残し、ゲートに消えていった。
残されたポロッポは、豆鉄砲をくらった鳩の顔。
「え――!! このまま放置ですか!!」
律儀に卵の上に乗ったまま途方にくれるポロッポ。
豆田とシュガーは、すぐにゲートから戻ってきた。
「豆田様。このまま1人きりになるかと思いましたよー」
「ははは」
「豆田まめお。シャワー浴びてきて。ご飯にしましょう!」
「ああ」
卵の上で羽を広げたままのポロッポは、移動する豆田達を視線で追う。
「あの私はいつまでこのままですか?」
「とりあえず、豆田まめおが、どうするか決めるまで宜しくね! じゃー。わたしご飯の用意してくる」
そう言い残し、ロフトから降りるシュガー。
豆田も服の匂いを気にしながら、シャワー室に向かった。
残されたポロッポは、訴える事を諦めた。
(どうしよう? ま。この格好しっくりくるし、しばらくこのままで良いかー)
豆田はシャワーを浴び終え、リビングでは食事が始まったようだ。
ポロッポは、ドラゴンの卵の上でウトウトし始めた。
『われの上で寝ているのはだれだー-!!」
ポロッポは、その声にハッとした。
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人物紹介
・『豆田まめお』
主人公。探偵。コーヒーの『こだわリスト』
コーヒーから『こだわりエネルギー』を抜き出し、自在に操る能力者。
コーヒー銃。コーヒーソード。コーヒー鍼。などを使う。中折れ帽子にシャツ姿。わがままで癖が強い。
・『シュガー』
ヒロイン。ココア色のロングヘアー。
世界を救うために、アルテミス国軍から脱走する。
『純人』。豆田まめおのアシスタント。純粋。
・『クロス』
豆田の幼馴染。刑事。
箱の『こだわリスト』。金髪ショートボブの好青年。
天然ボケ。
・『ポロッポ』
ハト。王様に使える伝書鳩。
鳴き声の『こだわリスト』で、人の言葉も話せる。
用語説明
・『こだわリスト』
こだわることで不思議な能力を手に入れた人々。
戦闘に特化したタイプや、道具に不思議な能力を付ける職人タイプがいる。
・『純人』
純粋な心で物事をみる人々。
職人タイプの『こだわリスト』が作る道具を何でも扱える。
・『異界の者』
違う世界から現れたと言われる人々。
『こだわリスト』と『純人』にしかその姿は見えない。




