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ギースとの戦い

「おかしい。何を間違えたんだ?」


 その言葉を聞いたシュガーは、豆田の方をチラッと振り返った。


 豆田越しにギースが動き始め、その巨体を地面から持ち上げるのが見えた。


『貴様ら!!!! 生きて返すと思うな!!!!』

 

 ギースは大声で叫ぶ。ドラゴン語が理解できない豆田とシュガーには、ただの咆哮に聞こえるが、怒り狂っている事は、十分に伝わってくる。


 ギースは、2本脚で立ち上がり、怒りのまま豆田達を追いかける。自身がおった傷など構わず、辺りに血飛沫を飛ばしながら、そこら中にブレス攻撃を仕掛ける。


『バゴーーーン』


 地面にめり込んだ炎の弾が爆音を鳴らす。


 豆田は、その荒れ狂うギースの様子を観察しながら、走る。


(こちらの事が見えていないのか? 睡眠弾が全く効いていない訳では無さそうだな。効果が足らないのか? 何故だ? 耐性があったのか?)


 ギースの口元に、再度エネルギーの集束が見える。


(この方向は危ない!)

「シュガー!! しゃがめ!!」

「きゃー!!!!」


 豆田の言葉に咄嗟にしゃがんだシュガーの頭上を炎の弾が通過した。


 直後、凄まじい熱風が駆け抜ける。顔が焼けるように熱い。直撃していれば、シュガーは消し炭になっていただろう。


 シュガーは、死を覚悟し、震える。足がいう事を聞かない。


「シュガー!! あきらめるな!!」


 シュガーは、豆田の言葉に反応し、足を自身の拳で素早く殴打する。その痛みで、再度動き出せた。前を向いて、走るシュガー。


 豆田とシュガーのすぐ後ろまで、怒り狂うギースは迫る。


「くそ! こんな事ならば、豆田ブレンド近接戦闘用も持ってくれば良かった!」


 豆田は、自分の言葉で、ハッとする。


「あ、シュガー」

「どうしたの?」


 シュガーは、全力で走りながら聞く。


「分かった!」

「何が?」

「カフェインだ! カフェインの弾のせいで、睡眠の力が弱まったんだ」

「……え……」


 シュガーは、絶句。


「ははは。すっかり忘れていたな」

「豆田まめお!! 忘れる才能をこんなところで発揮しないで!!」

「って事は、睡眠が効かないわけではないということか!」


 豆田は、そう納得しながら、試しに背負っていたライフルの銃口をギースに向け弾丸を放った。


『カキン』


 ギースの硬い鱗に弾かれ、傷もつかない。


「やはり、喉元以外は硬いか。シュガー!! さっきの狙撃ポイントまで戻るぞ!!」


 豆田とシュガーは、ブレス攻撃の嵐を搔い潜りながら、先ほどギースを狙撃した場所を目指し急ぐ。


「豆田まめお! 何か策があるの?」

「ああ。シュガー。睡眠の『こだわりエネルギー』の入ったガラス瓶を使う」

「どうやって?」

「直接投げつける! シュガー。私はここで奴の足止めをする! トランクの元に急げ!」


 シュガーは、頷きながら走る。


 狙撃した場所まで到着したシュガーは、一目散にトランクの元に駆け寄る。


 豆田は谷の手前で、ライフルを構え、ギースを迎え撃つ。


 ギースは、溶ける意識の中、自身を狙撃した敵を探す。もう何も見えていない視界の中、手当たり次第にブレス攻撃を仕掛ける。


『パン。パン』


 前方から、銃声が鳴り、ギースの身体に微かな衝撃を与えた。


 ギースは思わず、にやけてしまった。わざわざ敵が自分の位置を示したのだ。


『そこか!』


 すぐさまギースは、炎の弾をその方向に向かって放つ。

 炎の弾が線となり、銃弾が放たれた先を目指す。轟音と熱風が谷を埋める。


『バゴーーーン!!』


 炎の弾の軌道を先読みしていた豆田は、身を低くし、かろうじて回避する。


「シュガー!! まだか!」


 豆田は、最後の弾を撃ち終わると、シュガーの元に走る。


 ギースは、狭くなる道を物ともせず、鋭い爪で岩肌を切り裂きながら迫りくる。


「豆田まめお!! ゴメン! 手が震えて、トランクからガラス瓶が出せないの!!」

「シュガー!! トランクごとコッチに投げろ!!」

「分かった! えい!!」


 シュガーは、トランクの取手を持つと遠心力で加速させてから、豆田に向かって放り投げる。


 優しい放物線を描きながら宙を舞うトランクの落下地点に豆田は入り、腕を伸ばす。


 が、ちょうどその瞬間ギースの放った炎の弾が豆田に向かって、一直線に伸びる。


「豆田まめおーーーー!!!!」


 シュガーの悲痛な叫び声が響く。


『ドカーン!』


 豆田は、シュガーの声に反応し、間一髪のところで、炎の弾を回避できたが、トランクは直撃を受け、蒸発した。


「しまった!!」


 豆田達の唯一の希望であったトランクは消え、もうなすすべが無くなってしまった。


 手元のコーヒーカップにも粉塵が入り、すっかり冷めてしまっている。もう飲めたものではない。


 荒れ狂うギースの勢いは止まらず、岩肌を砕き、地面をえぐりながら、豆田の目前まで迫ってきている。ギースもダメージを受けているはずだが、その勢いは全く衰える事はなく、豆田達に絶望を運んでくる。


「シュガー。すまない」


 豆田は、観念した様子でギースに向かって立ち尽くす。


「豆田まめお。私もすぐ後を追うわ」


 シュガーも覚悟を決めた表情を浮かべた。

 豆田は、片手をポケットに入れ、コーヒーカップを掲げ、シュガーに『サヨナラ』の合図を送る。


 それを見たシュガーの視界は一気に滲む。


「あ!!」


 豆田は、何かに驚き声をあげる。


「シュガー!! ガラス瓶! ポケットの中にあった!」


 そう言うと、シュガーが『つっこむ』より素早くガラス瓶をポケットから取り出し。蓋を開け、ギースに向かって投げつけた。


 大口を開け、再度ブレス攻撃を仕掛けようとしていたギースの牙にガラス瓶は命中し、『睡眠のこだわりエネルギー』が入った液体が口内にこぼれる。


 気化した『睡眠のこだわりエネルギー』を一気に吸い込んだギースに凄まじい眠気が迫る。


『グオーーーー!!』


 と、大声で咆え、ギースは眠気に抗うが、瞼が閉じて行く。


 奥歯を噛みしめ、天を仰ぎ踏ん張るが、力尽き、


『ドスン!』


 と、頭を落下させた。


 ギースは、どんどん遠退く意識の中、自らの死を悟ってしまった。

 敗北を悟ったその瞬間。ギースの身体全体が白く発光しはじめ、やがて、無数の光の粒へと変化した。


「何だ? 何が起きてる?」


 豆田は、呆然と立ち尽くし、その様子を見守る事しかできない。


 ドラゴンの形をした光の粒たちは、その巨体の中心に向かって、渦を巻きながら集まる。


「豆田まめお。あれは?」


 シュガーは、豆田の腕を掴み光の中心を指差す。


 発光は次第に収まり、その中心には、大きな大きな卵が現れた。

ご覧いただきありがとうございます!


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新頻度あがります!


どうぞよろしくお願いいたします!


――――――――

人物紹介


・『豆田まめお』 

主人公。探偵。コーヒーの『こだわリスト』

コーヒーから『こだわりエネルギー』を抜き出し、自在に操る能力者。

コーヒー銃。コーヒーソード。コーヒー鍼。などを使う。中折れ帽子にシャツ姿。わがままで癖が強い。


・『シュガー』

ヒロイン。ココア色のロングヘアー。

世界を救うために、アルテミス国軍から脱走する。

『純人』。豆田まめおのアシスタント。純粋。


・『クロス』   

豆田の幼馴染。刑事。

箱の『こだわリスト』。金髪ショートボブの好青年。

天然ボケ。


・『ポロッポ』

ハト。王様に使える伝書鳩。

鳴き声の『こだわリスト』で、人の言葉も話せる。


用語説明


・『こだわリスト』

こだわることで不思議な能力を手に入れた人々。

戦闘に特化したタイプや、道具に不思議な能力を付ける職人タイプがいる。


・『純人』

純粋な心で物事をみる人々。

職人タイプの『こだわリスト』が作る道具を何でも扱える。


・『異界の者』

違う世界から現れたと言われる人々。

『こだわリスト』と『純人』にしかその姿は見えない。

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