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狙撃手豆田まめお

 南西の森に巨大なクレーターを刻んだドラゴン『ギース』は、重い体を地面に沈めると、翼を最大限に広げ、空気を捕まえる。


 その後、大きな翼を振り落とし、その反動で上空に加速する。暴風を受けた木々達はなぎ倒された。


 上空に舞い上がったギースは、方向を変え、山頂に向かって一気に加速する。


『あの忌々しい魔法壁め! 今日こそぶち破ってくれるわ!!』


 あっと言う間に、山頂に到着したギースは、その頂上にある一際大きな岩に降り立つ。


 そして、目を細め頭上を凝視する。視線を前方に戻し、大きく息を吸いこみ身体を固め、轟音と共に咆哮する。


『グガガガガーー!!』


 激しい叫び声が、島中に響き渡る。


 ギースは、頭を一度『ブン』と振ると、口を大きく開き、両翼を広げる。


『ヴーーーーン』


 と、低音が響く中、ギースの口の中に膨大なエネルギーが集束していくのが見える。景色を歪ませながら集束するエネルギーは真っ赤に燃える炎の弾に変化し、さらに熱量をあげる。


 はち切れんばかりのエネルギーを内包した炎の弾が形成されると、ギースは頭上を向き、魔法壁を睨む。


『ガアアアアアア!!!!』


 爆音と共に、炎の弾はギースから解き放たれ、頭上の魔法壁に向かって飛んだ。


『バコーーーーン!!!』


 炎の弾が魔法壁に直撃し、煙をあげる。空が大きく揺れ動く。


 ギースは、弾丸が直撃した結果を降り注ぐ煙の中で待つ。


『パスン!』


 ギースの耳元で、小さな音が響く。


『?』視界が揺れたギースは、何が起こったのか全く分からず思考を作り直す。


『パスン!』


 二度目の衝撃でギースは何かに撃たれた事を確信した。


『グオオオ!! 誰だ!!』


 ギースは、自身の視界が暗くなり、揺れて溶けて行くのを感じた。


***


 豆田は、この数日間ギースを観察し尽くしたことで、その癖と、ドラゴンの身体の特徴を把握していた。

 ギースは島中を飛びそこら中にブレス攻撃を放った後、決まって最後に山頂の大岩の上に舞い降りる。そして、空に向かって、最大限のエネルギーをこめたブレス攻撃を放つのだ。


 これは癖と言うか、日課なのだろう。この数日間、全く同じ行動を取っている。


 ドラゴンの身体は見るからに頑丈であった。全身を覆う鱗は、隙間なく埋め尽くされていて、一見隙がなさそうに見える。しかし、豆田の観察眼は鋭い。

 ギースが頭上に向かって、咆哮する瞬間にだけ、現れる喉元。その一部の鱗が薄い事を発見していたのである。


 つまり、狙撃できるタイミングは、ここ以外ない。幸いなことに、この喉元を見せる瞬間のギースの視界は、頭上を向いていて、下からの攻撃には完全に無防備である。


 豆田は、この瞬間に賭けて、そして、賭けに勝ったのだ。


 2度目の引き金を引き終わった豆田の顔には疲労が滲む。全神経を集中し、引金を引いたのだ。無理もない。


 血飛沫をあげ、意識を消失したギースが、山頂から落下する様子がみえた。豆田が自身の放った2発の弾丸が命中したのを確信した瞬間である。


『ズドーン』


 山頂から200メートルほど落下したギースは、地面にめり込み地響きをあげる。舞い上がる赤茶色の砂煙が、その落下の衝撃の大きさを物語っていた。


「豆田まめお!! やったのね!!」

「ああ。完璧だ!」


 カッコよく答える豆田は、マットレスに埋まったままで、なんともカッコ悪い。


「豆田まめお。これで終わり?」

「いや、睡眠弾で眠らせただけだ。念の為、とどめを刺す必要がある」


 そう言うと、マットレスから、ゆっくりと抜け出そうとする。


「あれ? 抜けない。シュガー。すまないが手を離してくれ」

「あ! そか!」


 シュガーがマットレスから手を離すと、マットレスは凹凸が無くなり、平らになった。


「よし! ドラゴンの元に急ぐぞ!」


 豆田は何事も無かったかのように、動き始める。


 山頂からギースが落下した時に舞い上がった砂煙は、幾分か減り、視界を取り戻しつつあった。


 豆田とシュガーは、薄っすらと残る砂煙の中、ギースが落下した場所まで急ぐことにした。


 谷のような場所にあった狙撃ポイントから移動し、なだらかな斜面を進むと、うっすらとドラゴンの姿が見えてきた。


「シュガー。あそこだ!」


 豆田は、前方を指さす。


「豆田まめお。大丈夫? ちゃんとドラゴンは寝てる?」

「ああ。熟睡しているようだ。動いている気配はないな」


 シュガーは、その言葉に若干安堵するが、豆田の後ろに隠れ、恐る恐る付いて行く。


 ドラゴン『ギース』は、落下した時の姿勢のまま微動だしていなかった。


 落下のダメージで、傷だらけになったドラゴンは浅い呼吸を繰り返す。その様子を見た豆田は勝利を確信し、ギースに近づいていく。


 倒れるギースの巨体は、地上から見上げていた時よりも間近で見ると、大きく見えた。


 例えるなら、一軒家のような大きさで、今まで見たどの生物より大きく、圧倒的な存在感を示していた。その頭だけでも豆田の身長より高い。背中を観察するなら、梯子が欲しいところである。


「かなりデカいな」


 そう言いながら、豆田はギースの鼻先まで歩く。


「豆田まめお。大きすぎるわ。こんなのが襲ってきたらと思うと……」


 シュガーは思わず身を屈めてしまう。


「はは。シュガー。もう大丈夫だ! なんて言ったって、あの『睡眠のこだわりエネルギー』が直撃したんだ。2時間は起きないだろう。ほら!」


 豆田は、ギースの頬をペチペチと叩く。


「豆田まめお。豆田まめお!!!!!」


 シュガーは顔面蒼白になり、目を大きく見開く。


「ん?」


 豆田は、シュガーの様子をみて、眉を上げる。


「ああああ!!!」


 シュガーは、ギースの方を指差す。その指は、おかしいほど震えていた。豆田は、バッ!とギースの方を振り返る。


 そこには、人の頭より大きな目玉が豆田を睨んでいた。


 緑とゴールドが混じった虹彩。瞳孔は縦に長く、猫の目を想像させるが、そこに可愛さなどない。


『グルルルル!!』


 ギースは虚ろな意識の中、低いうなり声をあげる。

 顔面から余裕は消えた豆田は、身体を反転し、地面を蹴り、走り出す。


「シュガー!!!! 逃げるぞ!!」


 シュガーは、硬直していた身体を動かし後方に向かって、必死に逃げる。


 ギースは虚ろな視界の中、人間族の2人が目前にいる事がかろうじて理解できた。


 この凄まじい眠気は、おそらくこいつらのせいであろう。


 と、いう事は、この睡魔に負ければ、我にとどめを刺すはずだ。ギースは、本能的にそう思った。


「豆田まめお!! 2時間は起きないっていったじゃない!!」


 シュガーは、全力で逃げながら、豆田に向かって叫んだ。

ご覧いただきありがとうございます!


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どうぞよろしくお願いいたします!


――――――――

人物紹介


・『豆田まめお』 

主人公。探偵。コーヒーの『こだわリスト』

コーヒーから『こだわりエネルギー』を抜き出し、自在に操る能力者。

コーヒー銃。コーヒーソード。コーヒー鍼。などを使う。中折れ帽子にシャツ姿。わがままで癖が強い。


・『シュガー』

ヒロイン。ココア色のロングヘアー。

世界を救うために、アルテミス国軍から脱走する。

『純人』。豆田まめおのアシスタント。純粋。


・『クロス』   

豆田の幼馴染。刑事。

箱の『こだわリスト』。金髪ショートボブの好青年。

天然ボケ。


・『ポロッポ』

ハト。王様に使える伝書鳩。

鳴き声の『こだわリスト』で、人の言葉も話せる。


用語説明


・『こだわリスト』

こだわることで不思議な能力を手に入れた人々。

戦闘に特化したタイプや、道具に不思議な能力を付ける職人タイプがいる。


・『純人』

純粋な心で物事をみる人々。

職人タイプの『こだわリスト』が作る道具を何でも扱える。


・『異界の者』

違う世界から現れたと言われる人々。

『こだわリスト』と『純人』にしかその姿は見えない。

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