清流キハリ
王様の別荘の横を流れる清流キハリは、澄んだ水が有名な川である。その上流にもなると、深い川底も綺麗に見える。
宴が開始するまでの間、豆田達は思い思いの時間を過ごす。
豆田は、コーヒーミルが我慢できないようで、倉庫の場所を聞き、探しに向かった。
王様は川辺に簡易王座を設置し、清流キハリを眺めている。その傍には護衛するリークの姿もある。
クロスは安全確認の為、別荘周囲を警戒しているようだ。
やる事が何もなくヒマになったポロッポとシュガーは、川辺に移動した。
「シュガーさん。ヒマですねー」
「そうねー。でも、このヒマなのも別荘に来た感があって、素敵じゃない?」
「そういうもんですかねー。私はすぐにでも飛び立って、あそこに光る魚を食べたいですけどねー」
ポロッポは、川底にいる魚を羽で差した。
「あ。あの魚?」
「ええ、プリプリしてて美味しそうでしょ?」
「そう? なんて言う魚?」
「あれは、アユですね!」
「へぇー。じゃー。あれは?」
「あれは、タイですね!」
「へぇー。あれ? タイって、海水魚じゃなかったかしら?」
「あれ? シュガーさん。そうですねー」
ポロッポとシュガーは首を傾げた。
「シュガーちゃん。ポロッポ。どうしたんだい?」
クロスが首を傾げる2人を見て、そばまでやってきた。
「あ、クロスさん。あのー。川なのに何故か海水魚がいるんです」
「へぇー。珍しいね。迷い込んだのかな?」
クロスは川底を眺める。
「シュガー! 見てくれ! このアンティークなコーヒーミルを! 中々、素晴らしい物だ! コーヒーを淹れるのが楽しみで仕方ない」
豆田は、倉庫からコーヒーミルを見つけ出したようだ。
「ふぉふぉふぉ。豆田くん。早速見つけたようじゃのぉー。喜んでくれて、何よりじゃ!」
「タヌキおやじの割に、良いものをくれた!」
豆田は珍しく王様に笑顔を向けた。
「貴様! 王様に失礼じゃないか!!」
「これリーク! 今日は豆田くんに無理を言って来てもらったのじゃ、お前は黙っておれ」
王様の眼光が鋭く光る。リークは、歯を食いしばり、怒りを抑える。
豆田はその様子を我関せず、シュガー達のもとに歩いて行った。
「シュガー! 見てくれ! 良いコーヒーミルだ!」
「豆田まめお。目的の物を貰えたのね! 良かったわね」
「ああ。早速コーヒーを淹れる必要がある。ん? クロス。どうかしたか?」
川底を見ながら、首を傾げるクロスの様子を見て、豆田はそう問いかけた。
「あ。まめっち。なぜか分からないんだけど、海水魚が泳いでるらしいんだ」
「ん? 川の水が海水にでもなったか?」
クロスは、その言葉にハッとして、川の水をすくい口につけた。
「ん? 塩っぽい。まめっち! 海水みたいだ」
その言葉を聞いた豆田は、眉間にしわを寄せた。
「クロス。BOX1を開けて、コーヒーを出してくれ」
「まめっち。どうして?」
「いいから、早く出してくれ!」
「? 分かった。BOX1オープン!」
クロスの手元に30センチ四方の箱が出現した。
その箱をクロスは開け、コーヒーを取り出し豆田に渡した。
「豆田まめお。どうしたの?」
コーヒーを急に取り出した豆田を心配し、シュガーはソバに駆け寄った。
「シュガー。どうやら……」
豆田が言葉を続けようとした瞬間、水面の一部が盛り上がりキラリと光る。
『バシャン!!』
飛沫と共に、細長い物体がシュガーを目指し、猛スピードで飛んでくる。トビウオだ。
「危ない! コーヒーソード!」
コーヒーカップから、『こだわりエネルギー』が浮き上がり剣になる。豆田の振り下ろす右手にすぐに収まり、斬撃を作り出す。
コーヒーソードは飛来したトビウオを真っ二つに切り裂いた。
「まめっち! シュガーちゃん! 大丈夫?!」
「ああ。大丈夫だ。クロス。敵のようだ。警戒を!」
クロスは、懐から銃を取り出し構える。
『バシャン!!』
先程とは違う場所から飛び出たトビウオが王様の喉元を狙う。クロスは銃口をそちらに向け、引き金を引くが、トビウオには当たらない。
「王様! 危ない! パラソルシールド!」
リークは帯刀していた剣に『こだわりエネルギー』を流しつつ、剣先を飛来するトビウオに向けた。
剣は瞬時にカラフルな傘に変わる。
リークはそれをすぐに開くと、素早く回転させた
。飛来したトビウオはそれに弾かれ、地面に落ちる。
「うわわわわー!!」
王様は大きな声をあげ、その場にへたり込んだ。
「王様! ご無事ですか?」
「リークよ! 良くやった! 引き続き、ワシを守るのじゃ!」
豆田は、その様子を横目で一瞬見るが、すぐさま視界を川辺にむける。
「クロス! 敵は水中だ!」
「だね。まめっち。どこから来るか分からないよ」
クロスは、銃を両手で持ち、周囲を警戒する。
豆田は、コーヒーソードを銃に持ち替えた。
「まめっち! あそこ!」
クロスが指差した先の水面が盛り上がり、その下から短い顎ヒゲの男が顔を出した。
ずぶ濡れの茶色いスーツを着た男は、濡れた身体を気にもせずに話は始める。
「やれやれ。私のトビウオを止めるとは、困った護衛ですね」
「お前は誰だ!」
クロスは、拳銃を顎ヒゲの男の方に向けた。
男は不適な笑みを浮かべた。
ご覧いただきありがとうございます!
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新頻度あがります!
どうぞよろしくお願いいたします!




