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コーヒー使い豆田のこだわりが世界を救うまで  作者: TKカフェ
第2章 タヌキおやじからの依頼
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アギト支部。ボス戦

「やー。誰かと思えば、君はクロス君だね」


 金髪オールバックの男は、不自然なほどゆっくりとした口調で話す 。


「僕のことを知っているのか!」


 クロスはいつでも男を撃ち抜けるよう準備をしている。そこに油断などない。


「ああ。もちろんだとも、散々私たちの組織の邪魔をしてくれたからね。豆田くん。君もだ」


 銃口を向けられていることなど気にもせず、ゆっくりとデスクに座る。 まるで自身に迫る脅威など無いかのように。


(広い空間にデスクだけ。なぜだ?)


 豆田は明らかに不自然なこの空間の観察を始める。


(大きなライトが8基。天井までの高さは4メートルほどか。 壁には不自然なほど大きな壁掛け時計。大きな振り子が揺れている。高い位置に窓? 嵌め殺しの窓か。嵌め殺し? 睡眠ガスを使うのか? と、言うことは時間稼ぎをするばす……)


『ギイイーー!! ガシン!』


 大きい音をたて扉が自動的に閉まった。

 扉の方を振り返る一同。豆田だけはボスから視線を外さない。


(やはり時間を稼ぐみたいだな……。おそらくヤツの必勝のパターンだな。コーヒー銃で撃ち抜くのは簡単だが、ここはそれにあえて乗って、情報を引き出すか……)


  豆田はさり気なくシュガーの横に移動し、小声で話しかける。


「シュガー。おそらく睡眠ガスを充満させる気だ。杖を使って、この辺りに酸素を」


 その言葉を聞いたシュガーは、ショルダーバッグから【酸素濃度を上げる杖】を取り出し、杖先を床に向けた。周辺の酸素濃度を上がっていく。


(コレで、しばらくは催眠ガスは防ぐ事が出来る)

「私はクロス君と、前々からゆっくり話がしたかったんだよ」

「話は署で聞かせて貰おう!!」


 クロスは引き金に力を込める。


「ふふふ。何を怯えているんだ? 私は一人。君たちは沢山いるのに、どうした?」

 

 ボスはデスクからフラリと立ち上がる。


「動くな!!」


 クロスの言葉に、ボスは大人しく従い両手を上げた。


「これで私は何もできない」


 ボスは不敵な笑みで語り続ける。クロスの額には汗がにじむ。


「クロス君。豆田君。君たちには本当に驚かされてばかりだ。あのキャンディーの秘密にたどり着き、まさか、ここにまで来ることになるとは思わなかったぞ」

「キャンディーに睡眠物質を入れて、何をしようとしてた?!」


 クロスの声は怒りで震えているようだ。


「ふふふ。私たちの大きな野望には大量の資金が必要でね。そこで思いついたんですよ。子供たちを寝たきりにした後、私たちがその子たちを目覚めさせれば良いと」

「自作自演? なぜそんなことをするの?」


 シュガーがクロスの背後から問う。

 ボスは呆れたように溜息をついた。


「はー。バカなんですか? 寝たきりの子供を大量に作り、その1人2人を私が目覚めさせてあげれば、あとは簡単。その噂を聞きつけた親や家族が大金を持って、私の元に集まりますよね?」


 ボスはシュガーを見下した。


「私は睡眠の力を使い。目覚めない子供を作り、大金を親から得て、その子を目覚めさせる!! これの繰り返しで、莫大な現金を集める予定でした」

(嘘は言っていない。ガスを充満させて攻撃してくるなら、そろそろのはずだ。でも、なんだ? この違和感は?)


 豆田は違和感の正体を探る。


「あなたは、なんてひどいことをするの!!」


 シュガーが叫んだ。


「何を言う! ひどいのはあなた達です!!!!!!」

 

 ボスは急に大声を張り上げた。


「私が何年も何年もかかった計画を!! あなた達は一瞬で!」

「言いたいことはそれだけか? あとは署で話を聞いてやる!!」


 クロスは銃を構えたままポケットから、手錠を取り出した。 しかし、ボスは相変わらず余裕の表情を浮かべている。


『ポサッ』


 シュガーの肩に乗っていたポロッポが地面に落下した。


(ポロッポが寝ただと?! 催眠ガスなら防げているはずだ。違う何かか?)


 豆田は、予期せぬ事態に思考を加速させる。


「な、なにをした!!」


 地面に落ちたポロッポを見たクロスは怒りのままボスに詰め寄り、眉間に銃を当て力を込めた。


「あれ? あの鳩は、どうされたのですかね? 私は何もしてませんよ」

「お前のせいだ......。ろ......」


 クロスは手で顔を拭う。極度の眠気がクロスを襲った。


『ドタッ』


 クロスはその場に崩れ落ちた。ボスは、鼻で笑うと、大きな壁掛け時計の前に移動した。クロスの部下の顔色が変わる。


「クロスさん!! 大丈夫ですか?! 貴様!!」


 部下の1人が銃を握り締め、狙いを定める。


「ふふふ。流石に催眠ガスが効かない事には、少し動揺しましたよ。どうやら、あなた達の周りにだけガスが届いていなかったようですね。豆田君の仕業ですか?」


 豆田はその言葉を無視する。


(クロスは、シュガーの杖の効果範囲から出た為に、催眠ガスにやられたのか……。では、ポロッポは別の何か?)


「ふふふ。無視ですか......。まー。無視してくれてもいいんですが......」


『ドサッ』


 ボスに銃口を向けていたクロスの部下が崩れ落ち、いびきをかく。


(何が原因だ? まさか!)

「シュガーと、そこのお前! 時計を見るな! その振り子を見ると寝るぞ!」


 豆田は、シュガーと残るクロスの部下にそう指示を出す。2人は視線を床に落とした。


「ほぅ。なるほど、流石の洞察力ですね。しかし、無駄ですね。私の睡眠の力は五感に働きかけるんですよ。キャンディーは味覚。ガスは嗅覚。そして、振り子時計は視覚」

「な! まさか、聴覚もか! しまった! ヤツの声に耳を傾けかけるな!」

「フハハ。もう遅い! 羊が1匹……」


 シュガーは慌てて耳を塞いだ。クロスの部下は、間に合わずその言葉を聞いてしまった。急激な眠気が襲う。


「羊が2匹……。羊が3匹……」


『ドサッ』


 クロスの部下は、朗らかな顔で眠ってしまった。


「で、どうします? そんな無防備で」


 その声に、顔を上げたシュガーの目前にボスは立っていた。


「スリーピーハンド!!」


 ボスの手がシュガーに触れた。シュガーは膝から崩れ落ちた。杖が手元から転がる。


「この杖で、催眠ガスを回避するしていましたか。と、言うことは、豆田くん。チェックメイトだ」

「くそ……」


 豆田に睡魔が襲いくる。


(眠る訳にはいか……ない……。最後に、こ…ひ……)


 豆田の視界は見る見るうちに狭くなっていく。膝に力が入らなくなり、右手に収まっていたコーヒー銃はコーヒーカップの上に浮遊する『こだわりエネルギー』の塊に戻ってしまった。


「ふはははははは。全滅だ!! 気持ちいい!!」


 勝ちを確信したボスは倒れているクロスの元にいき、その身体を蹴り上げる。が、クロスは全く反応しない。


「まったく手こずらせやがって! またイチからだ!! くそ! このくそが!!」


 ボスは全く反応しないクロスを何度も蹴る。クロスの身体がその度に浮き上がる。


「モズーラ様に何と言えばよいのか。くそ! こいつだけは! 殺してやる」


 ボスは懐から銃を取り出し、クロスに銃口を向け引き金を引いた。


『パーーーン!!!』


 発砲音が室内に反響する。


『カシャカシャ』


 ボスの握っていた銃は何者かに打ち抜かれ、地面に転がった。


「そこまでだ!!」


 ボスは驚愕する。

 そこには眠っていたはずの男。豆田が立ち上がり、ボスに睨みをきかせている。


「な、なぜ。動いている!!」


 ボスはあたりを見渡す。


「まだこの空間は密閉されたままだぞ!! 催眠ガスでお前は眠ったはずだろ! くそ! 羊が一匹……。羊が……」


 豆田はコーヒー銃を構えたままボスとの距離を詰めていく。


「何だと! 嗅覚、聴覚がおかしいのか? コレならどうだ! スリーピーハンド!!」


 ボスは高速で移動し、豆田の背後に回る。そして、背中に触れた。


「フハハ。コレで終わった! 確実だ!」


『バコン!』


 豆田はコーヒー銃のグリップでボスの顔面を殴った。ボスの身体は、デスクまでぶっ飛ばされた。


「ひぇぇーー! なぜ睡眠が効かない! なぜ催眠ガスも羊も、ハンドも効かないだ?!」


 ボスは、自身の能力が全く通じない豆田に恐怖する。

 豆田は鼻で笑うと、


「あ―。それか……。倒れた瞬間、コーヒーの『こだわりエネルギー』を飲んだ。身体中の細胞隅々までカフェインが回った。よって、全く眠くない!」

「カフェインだと?! こちらは像でも寝る。睡眠の能力だぞ!」


 ボスは髪の毛をかきむしる。


「MAX集中したお陰か、はたまた『こだわりエネルギー』を飲んだお陰か分からんが、カフェインを全身の細胞に効率よく運びきる事に成功したようだ」

「な、なんなんだ。お前は。普通じゃない!!」

「はは。褒めて頂きありがとう」


 ボスはギリリと歯をかみしめ、叫ぶ。


「睡眠の力よ! 私の元に!!」


 するとボスに向かって風が吹く。

 ボスの右手に部屋中に拡散された睡眠の『こだわりエネルギー』が集まっていっているようだ。


「拡散してちた睡眠の力を集めた。この濃度なら、流石に寝るだろう。くらえ!!」

(右のつま先に重心。右三角筋前部繊維、深指屈筋の硬直。眼球の向き。銃か。来る!!)


 豆田の観察眼が冴えわたる。ボスの狙いを読み切り、迫りくる青い弾道を軽々と躱した。


「ま、まさか、私が睡眠銃を撃つのを知っていたのか?」

「何のことだ?」

「知っていようとも!!!」


 ボスは一際険しい表情。


(右の踵に重心。右三角筋と大胸筋の硬直。深指屈筋の硬直。先ほどより右)


 豆田の横を青い弾丸が通り過ぎる。


「あ、当たらないだと!! 俺の能力を誰に聞いた!!」


 ボスは睡眠銃を乱射する。


「いや、お前の体がそういっている」


 その攻撃をことごとく躱す豆田。

 

「はははー。分かったぞ。心を読んでいるのか?」

「身体だが?」


 豆田の指摘をボスは完全に無視する。


「これだけは使いたくなかったが!!」


 そういうと自分に銃口を向け放つ。


『バスン!!』


 睡眠銃に撃たれたボスの身体は、青い光に包まれた。


「これは、心を読む敵には効果的なんだが、勝利の瞬間を味わえないのが残念でね。ま、やられるよりは……ましか……」


 ボスは直立したまま深い眠りにつく。


『ぐーぐー』


 寝息を立てるボス。次の瞬間。豆田の視界からボスが消えた。

ご覧いただきありがとうございます!


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新頻度あがります!


どうぞよろしくお願いいたします!


――――――――

人物紹介


・『豆田まめお』 

主人公。探偵。コーヒーの『こだわリスト』

コーヒーから『こだわりエネルギー』を抜き出し、自在に操る能力者。

コーヒー銃。コーヒーソード。コーヒー鍼。などを使う。中折れ帽子にシャツ姿。わがままで癖が強い。


・『シュガー』

ヒロイン。ココア色のロングヘアー。

世界を救うために、アルテミス国軍から脱走する。

『純人』。豆田まめおのアシスタント。純粋。


・『クロス』   

豆田の幼馴染。刑事。

箱の『こだわリスト』。金髪ショートボブの好青年。

天然ボケ。


・『ポロッポ』

ハト。王様に使える伝書鳩。

鳴き声の『こだわリスト』で、人の言葉も話せる。


用語説明


・『こだわリスト』

こだわることで不思議な能力を手に入れた人々。

戦闘に特化したタイプや、道具に不思議な能力を付ける職人タイプがいる。


・『純人』

純粋な心で物事をみる人々。

職人タイプの『こだわリスト』が作る道具を何でも扱える。


・『異界の者』

違う世界から現れたと言われる人々。

『こだわリスト』と『純人』にしかその姿は見えない。

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