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コーヒー使い豆田のこだわりが世界を救うまで  作者: TKカフェ
第2章 タヌキおやじからの依頼
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アギト支部!ギミとの闘い。

 ダリを倒された怒りから、ギミはその姿を蜘蛛そのものに変えた。

 蜘蛛との唯一の違いはその脚が8本ではなく、4本である事だけだ。もう人の面影など何もない。


『ギエエエエエエエ!!』


 鳴き声のような叫び声を放ち。威嚇する。

 まだ倒されず残っていたクロスの部下たちは、足がすくんでガタガタ震える。


『お前たち!! 楽に死ねると思うなよ!!!!』


 その言葉を発するのと同時に、残像だけを残し、ギミは跳躍する。

 立ち竦んで動けないもの達が、次々とギミのカマの餌食になる。


「まめっち! 視界が開けた分、どこにいるかは分かるけど、速すぎる!!」

「何とかしないと、すぐに全滅だぞ!」


 クロスは照準を合わせ、狙い撃つが、着弾する頃にはギミはもうそこには居ない。


『能力持ちの二人!! お前たちは、後でいたぶってやる!! まずは雑魚どもだ!!』

「ぐわ!!」


 クロスの部下がドンドン戦闘不能になる。


『ははは!! いい気味だ!!』


 ギミは嘲笑う。

 残っていた最後の部下も大腿を切られ、その場にうずくまる。


『はは!! さー! 後はお前らだけだぞ!! この姿にさせた罪を償ってもらう!! 元の姿に3週間は戻れないんだぞ!』


 クロスに狙いを定めたギミは地面を蹴り、跳躍する。銃を構え応戦するクロス。


 しかし、銃弾はギミの残像に飲まれる。


「くっ! 素早い!! 全然当たらない!!」


 ギミがクロスの腹部を切り裂こうとした瞬間。先読みした豆田の弾丸がギミの頭部を狙う。


 ギミの6つある目の1つがその気配を感じ。ギリギリのところで弾丸を躱す。 そして、後退し距離をとる。


『またお前か!! お前にはこの姿になった私の恐ろしさを思い知らせてやる』


 ギミは大きく息を吸いこみいきむと、足にエネルギーを集約させる。 大腿は膨張する。


『このスピードならどうだ!!』


 地面を蹴り、疾走を開始する。至る所に残像を残し、的を絞らせない。


「しかし、3週間とは意外と短いな」


 豆田はボソリと呟く。それを受けてポロッポが、


「豆田さん。そうですね。てっきり一生戻れないかと思いましたよ」

「そうだよな」


 ギミはその言葉を耳にすると、高速移動をやめた。


『そこ! 聞こえているぞ!! なんだと?!』


 豆田を顔をギロリと睨んだ。


『お前ら、この姿のままで、3週間だぞ!!!!』

「んー。ま、私は嫌だがな!!」


 豆田がぼそりと呟く。


『そうだろ? 蜘蛛のままだぞ!! しかも3週間!!』

「まーな」

(まめっち? 何をする気だ?)


 豆田の言動をクロスは固唾を飲んで見守る。



「コーヒーに似合わないし、私は蜘蛛になるのはごめんだけどな」

『そうだろ?! 見ろ!! 蜘蛛だぞ!』

「まー。私なら、ショックだがな」

『そうだろ? 分かったか!! では、改めて皆殺しだ!!』


 ギミはカマを振り上げる。


「だがな。しかし」


 豆田は会話を続ける。


『だがな? だと?』

「お前は蜘蛛の『こだわリスト』だよな? 喜ばしい事ではないのか?」


 豆田の言葉にギミは思わず自問自答してしまう。


『え? え、え? あ。ああああああああ!』


 蜘蛛への『こだわり』に対して、一瞬だが疑心が生まれてしまった。


 それに反応して、ギミの体が変化し始める。ギミの全身を覆っていた『こだわりエネルギー』が煙のように抜け出し、散っていく。


 身体から離れるそれをギミは両手でかき集めようとするが、虚しいだけである。


「え? 違う違うの! 嬉しい! 蜘蛛になるのは嬉しい! うそ! 私は蜘蛛が好きなはずなの! いやーーーーーー!!!!!!」


 その言葉とは裏腹にギミの体がドンドン変化する。そして、ついにヒトの姿に戻ってしまった。


「え? 嘘。人に戻ってしまった……」

「お前の『こだわり』は、その程度だ!」

(まめっち!! まさかの『こだわりつぶし』!)

 

 その場で項垂れるギミ。しかし、歯を食いしばり、顔を上げる。


「それでも!! ダリのカタキ!」


 懐から銃を取り出し豆田に向ける。


「無駄だ」


 ギミは引き金を引こうとするが、指が動かない。


「コーヒー鍼を頸椎2番の下、深くに刺した。もう指一本も動かせはしない」

「くそ!!!!」

「『こだわり』を捨てた者には、勝利はない」


 ギミは心を砕かれ、放心する。


***


 戦闘を終えた豆田達はギミとダリを拘束した。

 重症の部下と、そのケアをする者をその場に待機させ、残った2名と豆田達は先を急ぐことにした。


「豆田まめお。まさか、こだわれなくして、蜘蛛の敵をやっつけるなんて! 作戦?」

「素朴な疑問を投げかけただけだ。まさか能力が無くなるなんて。ラッキーだったな。良いデータがとれた」


 豆田は満足げだ


「まだアギトのメンバーはいるのかしら?」

「そうだな。まだ睡眠を操る敵が出てきてないからな」

「まめっち。あそこ!」


 クロスは前方の扉を指差す。

 扉の下部から明かりが漏れ、敵の存在を予見させる。

 

***


『ギギギー』


 錆びた鉄の扉をスライドさせる。

 不用意にその奧の廊下に出ようとしたシュガーを豆田は静止させた。


「シュガー。ここは罠を張って待ち構えるには、ちょうど良い場所だ」


 そう言うと、豆田はポケットから銀貨一枚を廊下に投げる。


『『『バシバシバシ』』』


 銀貨を狙い複数の弾丸が飛ぶ。


「ほらな」


 豆田は得意気。シュガーは青ざめる。

 

「まめっち。どうする? 敵が多いみたいだね」

「コーヒーシールドで捌くか?」

「大丈夫かい?」

「ま、やってみよう。コーヒーシールド!」


 コーヒーは反応しない。


「あ。冷めている。クロス。BOX1だ」

「豆田まめお。ちょっと待って! ここで最後のコーヒーを使うのは危険じゃない?」

「しかし、それしかもう手がないぞ」


 シュガーは、豆田の顔を見てニコッと微笑んだ。


「クロスさん。何か使える火器はありますか?」

「シュガーちゃん。使えるのはもう、この手榴弾と、銃が二丁だけだね」


 シュガーは、少し悩んだ後、


「クロスさん。私が雑貨の『こだわリスト』の力を使うので、その後、廊下に手榴弾を投げて貰えません?」 

「え? 雑貨の……?」


 クロスは、視線を豆田に向けた。豆田は片眉を上げ、ポロッポをチラリとみた。


(あ、そう言うことか!)


 クロスは豆田の思考を理解した。


「OK! じゃー。シュガーちゃん。任せるね」


 シュガーは頷くと、その場にしゃがみショルダーバッグから、石鹸と小さな杖を取り出した。


「シュガーさんも『こだわリスト』なんですねー」


 ポロッポは、お気楽にそう言った。


「そうよ! 雑貨の『こだわリスト』なの! 見ててね!」


 そう言うと、持参した小さな小瓶から水を取り出し、石鹸を泡立てた。その泡を手のひらに乗せると、シュガーは杖の先をそこにかざした。


 手のひらの泡は、ブクブクと泡立ち、沢山のシャボン玉が浮かぶ。シュガーはそこに再度杖をかざした。


 シャボン玉は優しい風に揺られ、廊下内に流れて行く。それを戦闘員が射撃し続ける。


 シュガーは、ドンドン泡からシャボン玉を作り、廊下に流して行く。やがて、銃撃が間に合わず、廊下はシャボン玉でいっぱいになった。


「クロスさん! 今です!」

「ここに投げ入れたら良いんだよね?」


 そう言いながら、クロスは手榴弾の安全ピンを外し、廊下内に投げ入れた。


「クロス! ぼーっとするな! 一気に燃えるぞ!」

「え? 燃えるの?」


 豆田はクロスの襟を後ろから引き、扉から離すと、扉に回し蹴りをする。勢いよく閉まった扉の奥で、凄まじい爆発音が聞こえた。


「えー!! 爆発凄くない?」

「シュガーの、力でシャボン玉内の酸素濃度を上げたんだ。その為に通常の数倍の爆発が起こった」

「シュガーちゃん! やるね!」

「クロス! 今のうちに一気に進むぞ!」

「そうだね。じゃー。しっかりついてきてね!」


 豆田が頷くと、クロスは扉を開き廊下に侵入した。先程の爆発の痕跡が壁中に残る。


 どうやら、廊下にいたアギトの戦闘員は、爆発によって、倒されたようだ。先程までの嵐のような銃撃はなく、静かだ。


 廊下の先には、明らかに他とは違う重厚な雰囲気の扉があった。焦げ茶色に塗装した鉄の扉。枠に刺々しい装飾がされ、威圧感を放っている。


 扉の前までたどり着いたクロスは、親指で扉を指差した。


「皆! この先からただならぬ気配を感じる! 覚悟を決めないとね!」

「「はっ!!」」


 クロスの言葉に部下2名は、拳を胸に当て姿勢を正す。


「この国の未来の為に!!」


 クロスは皆を鼓舞するつもりでそう言ったが、豆田のテンションは逆に下がってしまう。


「クロス! 私は人の為には頑張れない!」

「まめっち。ここはそう思ったとしても黙っててよ!」

「無理だ!」

「ねー。豆田まめお! ソファ! ね! その為に頑張るんでしょう?!」

「ん? ああ」


 豆田は味気ない返事をした。


「本革? それとも布?」


 その言葉が豆田の目に輝きを取り戻させた。


「シュガー! それは、もちろん。本革だ!! ついに本革のソファーだ!」


 豆田は心底嬉しそうに語る。


「シュガー! ありがとう。気合いが入った!」

「はは。まめっちらしいね。じゃ。行こうか!」

「待て。クロス。BOX1のコーヒーをくれ」

「そっか。戦闘の用意だね」

「いや、単純に濃厚なコーヒーが飲みたい」

「え?」

「早くしろ! クロス!」

「え? あ、BOX1。オープン」


 クロスは戸惑いながらもBOXを呼び出し、中から熱々のコーヒーを取り出した。


 豆田は嬉しそうに受け取ると、グビグビ飲んだ。


「豆田まめお。ヤケドしないの?」

「私は反猫舌だ! 問題ない!」

(反猫舌? 猫舌の反対ってこと?)


 シュガーはツッコミたい気持ちを全力で我慢した。豆田はコーヒーを半分ほど飲むと、満足そうに、


「素晴らしい一杯だ! さー。行こうか!」


 と、言うとすぐに扉を開いた。


「ちょっと、まめっち! 急過ぎだよ」


 重厚感漂う扉の奥は、だだっ広い空間にデスクが一つだけあり、その横に、金髪オールバックの男が立っていた。


「お前たちが侵入者か」


 静かな声だが、その奥に迫力を感じる。

 クロスとその部下は拳銃を取り出し、銃口をその男に向けた。


「大人しくしろ。あとはお前だけだ!!」


 と、叫んだ。しかし、そのセリフとは裏腹にクロスの顔にゆとりはない。

 男はその様子を嘲笑いながら見ていた。

ご覧いただきありがとうございます!


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新頻度あがります!


どうぞよろしくお願いいたします!


――――――――

人物紹介


・『豆田まめお』 

主人公。探偵。コーヒーの『こだわリスト』

コーヒーから『こだわりエネルギー』を抜き出し、自在に操る能力者。

コーヒー銃。コーヒーソード。コーヒー鍼。などを使う。中折れ帽子にシャツ姿。わがままで癖が強い。


・『シュガー』

ヒロイン。ココア色のロングヘアー。

世界を救うために、アルテミス国軍から脱走する。

『純人』。豆田まめおのアシスタント。純粋。


・『クロス』   

豆田の幼馴染。刑事。

箱の『こだわリスト』。金髪ショートボブの好青年。

天然ボケ。


・『ポロッポ』

ハト。王様に使える伝書鳩。

鳴き声の『こだわリスト』で、人の言葉も話せる。


用語説明


・『こだわリスト』

こだわることで不思議な能力を手に入れた人々。

戦闘に特化したタイプや、道具に不思議な能力を付ける職人タイプがいる。


・『純人』

純粋な心で物事をみる人々。

職人タイプの『こだわリスト』が作る道具を何でも扱える。


・『異界の者』

違う世界から現れたと言われる人々。

『こだわリスト』と『純人』にしかその姿は見えない。

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