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コーヒー使い豆田のこだわりが世界を救うまで  作者: TKカフェ
第2章 タヌキおやじからの依頼
44/75

決戦。アギト支部!

 グロアニア警察署本部の駐車場に今回の任務に参加する警察官や城の兵士たちが続々と集まってきた。

 鍛え抜かれた精鋭部隊を中心に選抜された130名。

 急遽、駐車場に設置された指令台の上にクロスが立ち声を張る。


「本日、9時よりアギト関連施設を襲撃する。鎮圧もしくは破壊を目的とする。敵の数は不明だが、施設の規模から大規模の戦闘が予想される。この作戦にグロアニアの未来がかかっていると言っても過言ではない! 皆の力を貸してくれ!」


 熱意のこもった声が響く。


「クロスさん! 俺たちはこの国の未来のために命をかけるぜ」

「おう! そうだそうだ!!」


 クロスの声に兵士の士気が高まるのを感じる。

 クロスは思わず目頭が熱くなり、目を押さえている。


「では。皆!! この国の未来の為に行くぞ!!」

「「「おーーーー!!!!」」」


 部隊は、雄叫びを上げた後、それぞれの移動車両に乗り込み、作戦決行場所に向かって出発しはじめた。豆田とシュガーはクロスと同じ車両に乗り込んだ。


「やあ。まめっち。よく来てくれたね。助かるよ」

「クロス。今回は流石に大規模だな」

「ああ。おそらく激しい戦いになるからね」


 クロスは、いつになく深妙な面持ち。窓の外に視線を向け、移動する部隊を見つめる。


「何名、生き残れるか」


 そう言うと豆田の方に振り返り、


「まめっち。警察からは手練れを用意しているけど、心許ないんだ。建物内部の制圧には、まめっちの力も借りたい」

「ああ。クロス。分かっている」


 豆田は帽子のツバを下げた。


「クロスさん。無事に終わったら、お祝いしましょうね」


 シュガーは重たい雰囲気に耐えきれず、そう明るく声をかけた。


「シュガーちゃん。ああ。もちろんだ!」


『パタパタ』


 シュガーの肩に1匹の鳩がとまる。


「シュガーさん! 今回も私が! この私めが頑張りますね!」

「あ、ポロッポ。来てくれたの?」

(あれ? まだポロッポって言ってますね? 本当は、私の名前、バルなんですが……)


 ポロッポは、訂正せず話を続ける。


「はい。王様から手伝うように言われ、この車の端っこに乗ってました」

「ポロッポか。 なるほど……」


 豆田はポロッポを見て、思考し始めた。


「やあ。君も参加してくれるんだね?」


 クロスはポロッポに向かって笑顔を向けた。


「クロスさん。この子はポロッポよ」

「ポロッポ? あれ? え? あー。ポロッポよろしく頼むね!」

「はい! このポロッポも頑張ります」


 クロスは空気を読んで名前の訂正はしなかった。

 豆田はポロッポの名前が定着したことに、ニヤリと、1人笑う。


***


 目的のアギト関連施設の工場は、コンクリートで外壁が覆われた箱型で、傍からみると通常の工場と何ら変わりない。


 2本ある煙突からはモクモクと煙が上がっており、現在も稼働していることが分かる。


 不自然なところがあるとするなら、敷地の周囲を取り巻く塀が異様に高いという事くらいか。


 クロス達は、アギトに気付かれぬように敷地から300メートルほど離れた四方に突撃部隊を配置する。みんな息を殺し、クロスからの突撃の合図を待っている。


「よし。そろそろコーヒーを用意し始める」


 クロスがいる本部隊の待機場所のすぐ横で、豆田はガスコンロに火をつけ、コーヒーの準備を始める。真剣そのものだ。


 本部隊の慌ただしさと反し、豆田の周りだけゆっくりとした時が流れる。


「豆田さん! 周囲の状況を飛んで偵察してきましょうか?」

「ん? ああ。ポロッポ頼む」

 

 ポロッポは、小刻みに羽を羽ばたかせ上空に消えていった。

 豆田は、周りの緊迫した雰囲気はお構いなしで、コーヒーの香りを楽しんでいる。鼻歌もこぼれ、1人だけ別世界にいる。


「ねー。豆田まめお。聞いていい?」

「ん? 何だ?」

「今回の作戦には、風雷さんを呼ばなかったのよね? 何で呼ばなかったの?」

「あー。ま、大人数の戦闘になる事と、警察主導の作戦だと言うこともあるが、1番は……」

「1番は?」

「連絡先を知らない!」

「え? 聞いてないの?」

「あぁ。本人ももうすぐ死ぬと思っていただろうし、家もないんじゃないか?」

「そうなの? 豆田まめお。何とかしてあげないと」

「ん? そんな依頼は受けてないぞ?」

「依頼じゃなくてもよ! 私たち助けて貰ったじゃない!」

「殺されかけもしたがな」


 豆田は楽しそうに笑った。

 シュガーは、呆れながら溜め息をつくと、話を変えた。


「今回は、何か作戦があるの?」

「いや、今のところ何もないなー。クロスの邪魔にならない程度に、協力するつもりだ」

「大丈夫かしら?」

「ま、大丈夫だとは思うが、念の為にしっかり用意はしておこう」

「そうね。少なくとも子供達を寝たきりにした犯人がこの中にいるはずよね?」

「そうだな。薬物や睡眠の『こだわリスト』の可能性が高いな」

「豆田まめお。勝てそう?」

「どうだろうかな。『こだわりレベル』次第ではあるが……」


 そう言うと、豆田は黙って思考しながら、コーヒーの仕上げに入った。

 シュガーの顔に緊張が見える。


「シュガー。あと一つ言い忘れてたが、ポロッポの前では『純人』と言うことは黙っておこう」

「え? なんで?」

「アイツは、タヌキおやじの伝書鳩だ。ヤツには知られたくない」

「スパイ……。って事?」

「いや、ポロッポは、そんなに器用じゃない」

「じゃー。黙っといて貰えれば……」

「シュガー。ポロッポは鳩だぞ? 秘密にしていること自体を忘れる」

「あ、鳩だから……」

「そうだ。意図的でないにしろ、タヌキおやじには知られたくない」

「分かったわ。じゃ。どうするの?」

「そうだな……。今の手持ちは?」

「使える道具は、酸素濃度を上げる杖と、泡が壊れにくい石鹸ね」

「ガムシロップは?」

「あれは、一つ貰っただけだから、もう無いの」

「そうか……。では、雑貨の『こだわりリスト』って事にしておこうか」

「あ! それは良いわね。雑貨屋さん好き出し!」

「じゃー。そういう事で」


 そう言うと、豆田は上空を指差した。


『パタパタパタ』


 羽音と共に、ポロッポが偵察から帰ってきた。


「豆田さん。比較的、北の方の兵士が少なく手薄でした」

「なるほど。と、言うことは……。入口は南にあるようだな」


 豆田は、本部隊にいるクロスを手招きで呼んだ。


「まめっち。どうしたの?」

「クロス。ポロッポの情報から推測すると、入り口は南にあるようだ」

「南? 分かった。じゃー。それに合わせて襲撃メンバーを割り振るね。ありがとう!」

「ああ。こちらはもうすぐコーヒーを淹れ終わる。いつでも行けるぞ」


 クロスは頷くと、無線機に手をかけた。


『こちらクロス。敵のアジトの入り口は南側のようだ。よって部隊配置の変更を行う。プランDで作戦を開始する。各員敵に気付かれないように移動してくれ!』


 クロスからの連絡をうけ、兵士たちが慌ただしく動き始めた。北と西と東に、それぞれ25名づつ。残りは南側に移動する。


「豆田まめお。豆田ブレンド【近接戦闘用】? の準備は万端?」

「ああ。シュガー。オヤジは完璧な仕事をしてくれた。この極上のコク。依頼通りの一品だ」

「具体的には【近接戦闘用】って、今までと何が違うの?」

「んー。そうだな。まず弾丸のスピードと貫通力が上がり、ソードの切れ味が上がる。あとはコーヒー126杯分の『こだわりエネルギー』を戦闘に使えるようになる」

「126杯って。それは増えたの? 減ったの?」

「ハハ。今回は量より質が上がったと思って貰えばいいんじゃないか?」

「なるほど。つまり今までの能力の強化版なのね」

「ああ。コレを使われる相手が可哀想だ」


 と、豆田は悪い笑顔を浮かべた。


(可哀想だと、言う表情じゃないわね)


 と、思ったが、シュガーはあえてスルーした。


「豆田まめお。今回は無理しないように、充分に気を付けてね」

「ああ。大丈夫だ。わたしはやる時はやる! 任せておけ」


 豆田の表情は、いつになく真剣でキリッとしている。 シュガーは、いつもと違う真剣な眼差しの豆田に一瞬ドキッとする。


 コーヒーを淹れ終わり、コーヒーカップを片手に立ち上がる豆田。 の、ポケットから、ヒラヒラと何かが落ちる。シュガーは、それを拾った。


(何これ? え? インテリアショップのチラシ?)

 そこにはデカデカと、


『明日まで40%オフ』と、書かれていた。


 シュガーは苦笑い。

 豆田は、チラシを落としたことに気付いてない様子。


「シュガー! 何としてでも、明日を迎えるぞ!」

(はいはい。セールの為ね。はー。かっこいいセリフが台無しだわ。ま、豆田まめおらしいけど)


 シュガーが呆れている時には、各部隊はクロスの指示通り配置についていた。作戦決行の時間が迫る。


***


 全部隊の配置が終わったのを確認したクロスは、無線を手にとった。


『皆。一斉にいくぞ!! この国の未来の為に!! 作戦開始!!』


 銃を構えた部下たちが無言のまま、一気に突撃する。

 クロスも拳銃を片手に南側の塀に向かった。


 細心の注意を払い。静かに距離を詰める。

 豆田はコーヒーをこぼさない様に、早歩きしながら、クロスにピタリと着いて行く。 シュガーはそれに続く。


「豆田まめお。コーヒー銃を作れば、こぼれないんじゃないの?」

「あ! シュガー。忘れていた! コーヒー銃!」

「流石、忘れる才能の持ち主ね」


 豆田はコーヒー銃を片手に走り出した。カップ内のコーヒーは固定され微動だにしない。


***


 工場の塀の四隅には、監視塔が置かれ、それぞれ監視員2名が24時間体制で周囲の警戒している。


 1人の男が時計を気にしながら、周囲を警戒していた。


「おい! あれだ! 敵襲だ!」

「情報通り、ノコノコとやって来やがったな! 全員に知らせろ! 迎え打つぞ!」


 監視員は通信機を使い内部に連絡する。


「敵襲です! 四方から来ます! 戦闘員は速やから迎撃に向かってください!」


 監視員は、そう告げた後、非常用ベルのスイッチを押した。


『カンカンカン』


 赤いライトが点滅し、敵の襲撃を伝える。


「もうバレたか?! 思ったより早い!」


 クロスは冷静にそう判断すると、部下に手で指示を送った。頷いた兵士は、監視塔に向かって銃撃を飛ばした。


 と、同時にクロス達に向かって、無数の銃撃が飛ぶ。


「もう反撃だって? みんな! 固まるな!」


 クロスの声を聞き、兵士達は散開すると、同時にアギトの戦闘員が、塀に点在する扉から、湧き出てきた。散開する兵士1人づつを戦闘員5名の分隊が追いかける。

 

 その総数2000名を超える。その戦闘員達が塀から湧き出て、雪崩のように一気に襲いかかってくる。

 予期せぬ反撃に兵士たちの統制が取れなくなってしまった。


「これは、情報が漏れた?」


 唖然とその光景をクロスは眺めた。辺りから兵士達の悲鳴が聞こえる。


「クロス! 危ない!」


 豆田は立ち尽くすクロスの前に入り、コーヒーシールドを展開した。クロスを狙ったライフルの弾がシールドに弾かれた。


「クロス! しっかりしろ!」

「まめっち! ゴメン。情報が漏れてたみたいだ」

「ああ。そのようだな」

「くそ! もう撤退しかないか!」


 クロスは悔しそうに歯を噛み締めた。


「クロス。この程度の敵なら造作もない!」

「え? まめっち。まさか策があるの?」

「ああ。この豆田ブレンド【近接戦闘用】を試す良い機会だ!」


 そう言うと、豆田は目をつぶり、銃口を下に向けながら、集中し始めた。


「よし。いける! コーヒー鍼!」


 コーヒーカップの周りを浮遊していた弾丸の一つが高速に回転し、鍼に形状を変えた。

 

「まめっち!! ダメだ! その技は危険だ!」

「クロス! 大丈夫だ! あの後、研究し身体の一部だけ覚醒する技を見つけた。栄断流ではなく、豆田流だ!」

「ま、じゃー。任せても良いって事だよね?」

「ああ。敵の指揮官を一気に殲滅する。一般戦闘員は任せた」


 クロスは頷くと、無線を手に取った。


『今から、反撃のきっかけを作る。その後、敵の攻撃が乱れる。そこで一気に立て直してくれ』


 クロスの言葉に兵士の指揮が上がった。皆、必死にその時を待つ。


「まめっち! 頼んだよ」

「ああ。豆田流鍼灸、身体活性鍼。左太陽穴(ヒダリタイヨウケツ)!」


 浮遊するコーヒー鍼が、豆田の左目の横に刺さる。コーヒー鍼が体内に消えるのと同時に豆田の左目が琥珀色に光った。


「豆田まめお! 左目が琥珀色に!」

「シュガー。無事に成功したようだ。一気に行く!」


 豆田は右目をつぶり、左目だけで戦場を観察する。


(指揮官は、中央右、白い帽子のアイツ。左壁の上、ヒゲ。塀に設置された窓にいる女。そして、中央扉の銀髪。それに……)


 豆田の活性した左目は、この広い戦場の全てを把握する。


「クロス。把握した! コーヒー銃セカンド! いけ!」


 豆田は確認した指揮官に向かって、コーヒー弾丸を飛ばす。通常の倍速の弾丸は人の波をぬい、確実に指令官たちを撃ち抜く。凄まじい早撃ちに、バタバタとアギトの指揮官たちが倒れる。浮遊していた弾丸は次々と装填され、消費されていく。


「うわ! とんでもないヤツがいる!」

「ギミ様とダリ様に連絡を!!」

「ぐわわ!」


 取り乱すアギトの戦闘員を目撃した兵士は息を吹き返し、反撃に出る。


「まめっち。凄いよ! 一気に持ち直した!」

「クロス! この混乱に乗じて一気に突入する! 内部を制圧すれば外は静かになる!」

「そうだね! 分かった!」


 クロス達は、銃弾の嵐を搔い潜りながら、南の扉を目指す。 疾走するクロス達を次々と銃弾が襲うが、兵士達が盾となる。


「クロス様! あとは私たちが敵を食い止めます! どうぞお先に内部に向かってください!」


 数人の兵士がクロス達を守る形で、南の扉に無事到着した。鉄製の大きな扉が行く手を遮る。


「この扉を破らないと中には入れないね」


 扉は硬く閉ざされ、ビクともしない。


「クロス! どいてろ! コーヒーソードセカンド!」


 豆田の持つコーヒー銃はコーヒーソードに形状をかえた。豆田は瞬時に居合切りの構えをとり、扉を袈裟斬りした。


 鉄の扉は豆田によって、簡単に切り裂かれ、崩れ落ちた。扉の奧には薄暗い空間が広がっていた。


ご覧いただきありがとうございます!


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新頻度あがります!


どうぞよろしくお願いいたします!


――――――――

人物紹介


・『豆田まめお』 

主人公。探偵。コーヒーの『こだわリスト』

コーヒーから『こだわりエネルギー』を抜き出し、自在に操る能力者。

コーヒー銃。コーヒーソード。コーヒー鍼。などを使う。中折れ帽子にシャツ姿。わがままで癖が強い。


・『シュガー』

ヒロイン。ココア色のロングヘアー。

世界を救うために、アルテミス国軍から脱走する。

『純人』。豆田まめおのアシスタント。純粋。


・『クロス』   

豆田の幼馴染。刑事。

箱の『こだわリスト』。金髪ショートボブの好青年。

天然ボケ。


・『ポロッポ』

ハト。王様に使える伝書鳩。

鳴き声の『こだわリスト』で、人の言葉も話せる。


用語説明


・『こだわリスト』

こだわることで不思議な能力を手に入れた人々。

戦闘に特化したタイプや、道具に不思議な能力を付ける職人タイプがいる。


・『純人』

純粋な心で物事をみる人々。

職人タイプの『こだわリスト』が作る道具を何でも扱える。


・『異界の者』

違う世界から現れたと言われる人々。

『こだわリスト』と『純人』にしかその姿は見えない。

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