後日談 氷の王子の溺愛始まる
来ていただいてありがとうございます!
久しぶりに後日談を書いてみました。
お楽しみいただけましたら幸いです!
まだ雪の積もる冬の晴れた日、ハルカとリフィロの婚約の儀は滞りなく行われた。
フィリアの時と同様にあたたかく和やかな雰囲気の中、古王国の城のみんなに祝福されてハルカはとても幸せだった。森の精霊達も代わる代わるやって来て祝福の光をくれた。森の精霊王と湖水の精霊王も現れて特大の祝福の光と言葉を授けて帰っていった。
「来年の森の灯り祭りが待ちきれないな」
森の古王国の王族の結婚式は秋から冬に季節が移る頃に行われる森の灯り祭りとともに行われる。つまリフィロとハルカの結婚式は今から約一年後の事になる。
「婚礼の衣装も準備しないとね。忙しくなる」
楽しそうに、嬉しそうに話すリフィロの声をハルカは彼の膝の上で聞いていた。
婚礼の儀のその日からリフィロは一切の遠慮をしなくなった。寒いからと言ってやたらハルカにくっつき、ソファに座ればハルカを膝に乗せるのが常であったりした。
ハルカが自分の前から消えてしまうかもしれない。リフィロがそんな不安を抱えていることをハルカは知っていた。だからとても恥ずかしかったが、リフィロのそういう行動を拒否することができないでいた。でも、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「リフィロ、あ、あのね、隣に座ってもいい?これじゃリフィロの顔、見えないから……」
ハルカはリフィロの膝の上で言ってみた。実はフィリアに相談してアドバイスを貰っていたのだ。
「『あなたの顔が見えないのは寂しいの』とか言ってみたら?」
と。フィリアの少し面白がるような雰囲気は気になったが、ハルカは勇気を出して言ってみた。先輩の言葉は効果があったようで、ハルカの腰に回されていた腕が緩む。
ハルカはホッとして、リフィロの隣に座り直そうとしたが、何故だか今度は横抱きにされる。
「?!」
ソファに座ったままのお姫様抱っこの状態に、ハルカは軽くパニックを起こす。
「あ、あのリフィロ?」
「そうだね。これなら顔も良く見える。ハルカは頭が良いな」
無垢な笑顔でリフィロがハルカの耳元でささやいた。ついでに口づけも忘れない。
「リ、リフィロ……重いでしょ?そうじゃなくて、隣に座りたいんだけど……」
「全然重くない。それに隣はちょっと遠い……」
悲し気に微笑むリフィロ。
「遠いのっ?」
真っ赤になったハルカは、助けを求めるように部屋を見回したが、当然のように誰もいない。先程、エレが入れてくれた香りの良いお茶が湯気をたてるのみだ。そのエレも
「後はお二人で……」
とやたらにこやかに部屋を出ていってしまった。皆、気を利かせて二人きりにしてくれるのだ。精霊すら部屋の中には入って来ない。
(たぶん今だけだよね?これからはずっと一緒なんだもの。すぐに安心してくれるよね?私がいなくなったりしないって……。でも慣れて飽きられてしまったらどうしよう……)
この状況に困ってはいるものの、リフィロの興味が自分から逸れるのは嫌だな。そんな風に考えてしまう程にはハルカはリフィロを大好きだった。
(顔が近すぎて恥ずかしい……。でも嫌じゃない……)
ハルカはそっと体の力を抜き、リフィロに頭を預けた。
「あったかい……」
「うん」
「リフィ……っ」
頬を寄せられ、もう何度目になるか分からない口付けが降りてくる。リフィロからの愛情にまだ慣れることができないハルカは真っ赤になって目をギュッと閉じてしまう。唇が離れた後そんなハルカの可愛い顔を数瞬の間、眺めることがリフィロにとって今一番幸せな時間だった。
暖炉にくべられた薪がパチリと音を立ててはぜた。窓の外では雪が再び降り始めた。精霊の森を深く白く静かに雪が染めていく。冬はもう少し続きそうだ。
ここまでお読みいただいてありがとうございます!
以前のお話を手直ししつつ(内容に変更はありません)、いくつか考えていた後日談をぽつぽつ上げていこうかなと思っております。
よろしくお願いします。




