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今日はここに決めた!!

 満腹になっているので気分はいいのだが、疲れが滲み出てきている。こうなってくると、いくら気持ちが勝っていてもだれてきてしまう。


「ああ、疲れた。早く宿見つからないかな」


 俺はなんの当てもないまま歩いているだけなので、そう簡単に見つかるのかと言われるとものすごく微妙な感じになってしまう。まあ、冒険者たちがみな自分の家を持っているとは考えづらいので、宿はきっとあるはずだ。


 そうこうしながら、さまよっていると、やっとそれらしい場所へたどり着いた。

 例によって名前は読めるが、どういう意味かわからない。しかしながら、外観が旅館のそれである。どうやら俺はついに宿が立ち並ぶ区域に到着したようだ。


 宿がいっぱいあるといっても大きい旅館から小さい民宿のようなものまで選り取り見取りだ。

 こうもいっぱいあると、どこに泊まるろうか悩んでしまって仕方ないな。お金が足りるかという心配もあるし、普通ぐらいのところに行くのがやはり無難なのだろうか? いや、それはちょっと芸がないってもんだよな。ここは思い切って一番豪華な旅館へ突ってみるのが乙ってもんだろ。


「そうと決まれば、どれが一番高そうかな。入ってみるのは自由だ。行ってやろうじゃないか」


 てくてく歩きながら、旅館を物色する。

 周囲と比べて大きいと感じる旅館を3つほど見つけたのだが、ここからが大変だ。3つのうちの一つに絞らなければならない。

 ただ大きいだけじゃなく、外装の豪華さにも注意して見るべきだよな。うーん……あそこにしようかな。


 俺は、一際輝く旅館に目をつけ、入口の前までやってきた。


 金が足りなかったら、謝って出ていけば済むだろうし、深く考えず行ってみよう。


 ガラガラっと引き戸を開け、中へと入った。


「いらっしゃいませ。ようこそ、ペリエールへ。お一人様でよろしいでしょうか?」


「はい、一人は一人でいいんですけど。ちょっと伺いたいことがあるんですがいいですか?」


「もちろんでございます。何なりとお申し付けくださいませ」


 これまた美人な女将さんが出迎えてくれた。いつお客さんが来てもいいようにいつも一人は玄関で待機しているのだろうか?


「すいません、この町に来たのは今日が初めてで値段がわからないんで教えてもらってもいいですか?」


「今日この町に到着したばかりということですか。それで当旅館を選んでいただけるとは、お客様はお目が高いですね。べリエールはこの町随一の旅館であると自負しております。お客様のことを一番に考えたサービスの数々是非ご堪能下さい。それでお値段の方なのですが、一番安いお部屋で銀貨5枚、最上級のお部屋ですと金貨2枚ほどになっております」


 わーお、想像したよりも大分高いな。まったくもって足りない。なんてこった、これはちょっと泊まってみたいな……行くか俺の交渉術の見せ所だ。


「手持ちが銀貨1枚と銅貨7枚しかないんですけど何とかなったりしませんか?」


「なりませんね。申し訳ないですが、本日はお引き取りください。今度は十分な金額を用意してからご来店ください」


 悩んだりする間もなかったぞ。これは取り付く島もないってやつか。いいや、まだだ。まだ俺は本気を出したわけじゃないからな。


「そこを何とかなりませんか? この通りです!!」


 必殺の土下座を披露し、再度頼み込んでみる。


「これ以上の迷惑行為を行うようでしたら、出禁にして、警備のものを呼びますが、どういたしましょうか?」


 女将さんと目があった。

 これはガチの目だ、冗談で言っているなんて生易しいものじゃない。これは早く撤退しないと通報される。


「すいませんでしたーー!!」


 俺は一目散にその場を後にした。





 やっぱりこの金では背伸びしすぎだったようだな。いいところに泊まるのは今後の楽しみとして取っておいて次は泊まれそうな場所を選んでから行こう。


 先ほど目をつけていた3つはひとまず除外し、見た目が普通の旅館を見つけた。


「ここなら、何とか泊まれるだろう。中に入ったら、豪華とかそういうのはやめてくれよ」


 今度こそはという思いで、俺は旅館の中へと入った。


 やった、中もシンプルで高級そうな感じはなさそうだ。

 それに、先ほどとは違い、女将さんが玄関で待機しているなんてこともない。


「すいませーーん」


 俺は声を張り、誰かいないか呼びかけてみた。


「はーい、少々お待ちください。すぐ行きます」


 可愛らしい声が奥のほうから返ってきた。

 少し待っていると、俺よりも少し年下くらいの女の子がやってきた。黒髪のショートカットで元気のよさそうな雰囲気が漂っている。


「待たせてしまってすいません。この時間はお母さんはいろいろと忙しくて変わりに私も……いえ、女将も忙しくて、私も店番を任されているんです」


「そうなんだ。一人だけど、いくらで泊まれる?」


 家族で経営しているのだろうか? ちょっとまだ不慣れな感じがかわいいな。


「一泊銅貨5枚です。お部屋もあいてますよ」


「お願いしてもいい。今日はもう疲れちゃって」


「ありがとうございます。それではお金はチェックアウトの時にいただきます。どうぞ、こちらへお部屋に案内しますね」


 ふう、やっとゆっくりできる。今日は疲れたし、すぐに寝ようかな。

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