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いざ、実食

 これは確かにライスだわ。見たことあるような調理風景にも納得だ。しかし、この量はやばいだろ。この世界の人はこれを食べれるような大食いばかりなのか? 普通に考えて一人で食べられるような量じゃないぞ。


「おじさん、これはちょっと量が多すぎない?」


「いいんだ、兄ちゃん。もちろん、俺はメガライスの値段でメガトンスマッシュを提供してるんだから、赤字に決まってる。でもさ、そんなことは些細な問題だと思わないか? 兄ちゃんは俺の話を聞いてくれた、この事実だけでおつりが来るってもんだ」


 赤字提供してんの!? いや、気持ちはすっごいうれしいけど、そうじゃないんだ……おじさんには悪いが俺が心配してるのは自分の胃袋のことなんだよ……。


 おじさんも流石にこの量を一つのフライパンで作るのわそれ相応に疲れるのかやり切った感満載の顔でこちらを見ている。

 そんな顔で俺のことを見たところで、これは食えねぇよ。


「いや、おじさん。いやただ……ちょっと食べきれるか心配だなぁって」


「なに? まさか兄ちゃん俺の作ったライスを残そうとか考えてるんじゃないだろうな?」


 どうしたの急に? 顔がマジじゃんか。さっきまでの嬉しそうなおじさんはどこに行ったんだよ。


「そんな気は微塵もないけど、こんな量のライス食べたことなかったからさ。ふと心配になっただけだよ」


「まあ、うちのメガトンスマッシュライスは名のある大食いたちも苦戦した一品だからな。当然、全部食い終わるまで店から出さなかったぞ」


「……へぇ、そうなんだ。そいつらはライスの美味さをわかってないなぁ」


「そうなんだ。普通の奴らは美味いとしか感じずに全部たいらげれるはずなんだよ。まったく、バカ舌どもが」


 暴言吐いちゃってるよ。この感じだと大食いたちも普通に完食できずに無理やり全部食わされたようなもんだろ。一般人の俺には明らかに荷が勝ってしまっている。


「全くですね。いただきます」


「おう、召し上がれ!!」


 スプーンで一口すくって口へと運ぶ。

 口に入れた瞬間ご飯がパラパラと広がった。それと同時に今までのチャーハンはまるでゴミかのように思える程の美味さが口の中で爆発した。


「うめぇ!! やばいってこれおじさん。今まで食べたどんなものよりも美味いかもしれない」


「そうだろう。なんてったってうちの看板メニューだからな」


 信じられないほどの美味さに俺のスプーンは止まることがなかった。

 バクバクとチャーハンを食べ進める。なんだろう、この味は、濃すぎず、完璧に計算つくされたかのような味である。まさに究極のチャーハンだ。でもおじさん、看板メニューってこここれしかないじゃん。






 俺は無言で食べ続け、気が付けばありえないほどに盛られていたはずのチャーハンを完食してしまっていた。


「いい食べっぷりだったぞ、兄ちゃん。ほら? どうだ? こんな量なんて一瞬だったろ?」


「おじさん言う通りだったよ。最高だった。絶対また来るよ」


「おお、いつでも大歓迎だ。今度もメガトンライスくらいはサービスしてやるよ」


 なぜか程よい満腹感で、気持ちいい。どう考えてもあんな量を食べたら、速攻リバースしてるはずなのに……思いある節は特にない、いや、もしかしたら、これも女神さまが俺の体を強化してくれた恩恵なのかもしれないな。まさかこんなところで役に立つとは女神さまも想像していなかっただろう。


「メガライスは銅貨3枚だ。どうだ、値段も安いだろ?」


 銅貨3枚か、今の俺の所持金は銀貨2枚だから……1枚足りない。いや、焦るな。まだ焦る時じゃない俺。

 まさかの無銭飲食のピンチに冷や汗が吹き出す。これだけの恩を仇で返すことなんてできない!!

 ここは、異世界通貨の価値なんて俺は知らない。でも、こういう場合だと、単純な枚数じゃないはずだ。おそらくどちらかがより大きい通貨になっているはず。そして俺が今持っているのは銀貨、それも冒険者として薬草採取クエストをクリアして手に入れた報酬だ。まさか、チャーハン1杯も食えないなんてことは……ないはずだよな?


 足りるだろうと祈りを込めて俺は恐る恐る銀貨1枚おじさんに渡した。


「これでお願いします」


 できるだけ平静を装い、焦っているのがばれないように気をつける。普通に会計をすましているだけなのだから。

 

 どうかこれで足りてくれぇ!!


「銀貨1枚ね。それじゃあ、ほれ。お釣りの銅貨7枚だ」


「ありがとうございます。それじゃあ、また来ますから」


 やったー!! 足りた!! 心の中でガッツポーズをした。

 そして、銅貨7枚を受け取った俺は早足で店を後にした。


 助かったぁ。銀貨1枚でどうやら、銅貨10枚の価値があるようだ。そうだよな。普通に考えてクエスト報酬がそんな安いはずないよな。こういう知識がないといらないところで焦らされるんだな。この世界じゃ、通貨の価値なんて一般常識だし。


「はあ、緊張したら、一気に今日の疲れが……早く宿探そう」


 俺は残りの銀貨1枚と銅貨7枚を握りしめて宿を探し始めた。

 これで泊まれる宿はあるんだろうか? 今更ながら心配だな。もし足りないって言われたら、土下座して値切ろう。

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