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クエスト完了

 俺は冒険者カードを確認しながら、道を進んだ。

 今のところはみちから外れて、森の中へかき分けて行く必要がないのでかなり助かっている。虫嫌いな俺からしてみればそんな道でもないところは覚悟を決めなければ歩くことはできない危険地帯なのだ。


 しばらく道なりに進んでいると、分かれ道に看板が建っていた。

 冒険者カードによると、この看板が薬草の群生している場所の目印になっているらしい。看板自体はいたって普通の右に行けばウェイル、左に行けばバモルスっていうところに行くことを書いてある道案内板だ。


「やっと着いたか、かれこれ30分くらいは歩いたんじゃないか? 女神さまのくれたスキルのおかげで疲労感は不自然なほどないな。すごっ」


 これが今までの俺だったら、へばりきっていて使い物にならなくなっていたところだろう。ましてや今回は水分補給もしていなければ、かなり早歩きでもはや高校の強歩大会ばりのスピードだった。いや、あれは強歩大会とは名ばかりのマラソン大会だったな。普通に運動部のやつらは走ってたもんな。確かに俺は体力ないからほぼ歩いてたけど。

 いやいや、どうでもいいことを考えている時間なんてないぞ。早く薬草を採取してギルドに戻って換金しないと!!


 なんでも冒険者カードには収納魔法が込められているそうで、薬草は全部このカードにしまって持って帰れるらしい。それで、達成率も管理できている仕組みなんだと。便利すぎてまじで最高だこのカード。


「よっしゃ、気合い入れて集めるぞ!! どれが薬草かわからないから片っ端から引っこ抜きまくるぜ。草むしりは俺の得意分野だからな」


 誰もいないのをいいことに、ちょっと調子にのって叫んだりしてみた。

 やっぱりこうやって自分を鼓舞すると、やる気が湧いてくるよな。


「この雑草っぽいのがそうか? ちょっと収納して達成率が上がるか見てみるか」


 足元に生えていた校庭のグラウンドの隅によく生えているような草をむしり、冒険者カードの上にのせてみた。


 すると、先ほどまでカードの上にあったはずの草がすんっと消え、達成率が5パーセント上昇した。


「よかった、これで正解だったみたいだ。この調子でガンガン集めるぞ!!」


 運がいいのか、薬草採取なんて初心者向けのクエストはやり手が少ないからなのか、この周辺の至る所に薬草が生えていた。おかげであっという間に達成率が100パーセントに達した。


「もう終わりか。集中してたから気が付いたら終わってたな。急いで冒険者ギルドに戻るとするか」


 もう一度100パーセントに達しているのを確認し、もと来た道のほうを目指した。


 それにしても森の中なのにモンスターの一匹すら出くわさないなんてな。もしかして、思ってたよりもモンスターの数が少ないのか? いいや、こんな一般の人が通るような森のモンスターは危険だから冒険者たちが狩りつくしてるだけか。






 一度通った道なので、帰りはカードの地図を見ながら進むこともなく、行きよりも時間短縮できた。


「何とか日が沈むまでに帰ってこれたな。いくらモンスターが出てこないからって見知らぬ夜の森は流石に怖い。それに腹も減ってきたな。早く金をゲットして飯にしよ」


 飯といえばこの世界にはどんな料理があるんだろうか? 考えるだけで余計腹が減ってきた。楽しみが一つ増えたな。




 町へ帰り着いた俺は、ほかのものに場所には目もくれず、ギルドを目指した。


「大分人が減ってるな。列がすいててラッキー」


 昼間に比べ、冒険者たちの数は目に見えて減っていた。この時間は既にクエストを済ませている時間なのだろうか? それとも討伐クエストは一日で終わるようなもんじゃないってことかな。泊まりでとなると、この時間はギルドに戻っていないだろう。


「こんばんは。お姉さん、クエスト完了しました。報酬をお願いします」


「あら、早いですね。わかりました。カードを確認しますので提示お願いします」


 冒険者カードを渡すと、クエスト受注の時のように機械にかざし小さく光ったかと思うとカードはすぐに返してくれた。


「はい、薬草20個納品完了です。お疲れさまでした。報酬の銀貨二枚です。それと自己紹介をしてませんでしたが、私の名前はセイネといいます。これからもこの町の冒険者として活動されるのであれば毎日のように顔を合わせることになります。よろしくお願いしますマサタカさん」


「こちらこそよろしくお願いしますセイネさん。当分はこの町を拠点に活動すると思います。わからないことばかりで迷惑かけるかもしれないけど、大目に見てください」


「駆け出しの冒険者なんてわからないことだらけで当然ですよ。マサタカさんはなにやら不思議なオーラを感じますからきっと上手くやっていけますよ」


 ああ、本当にいい人だ。これからもこの町の冒険者としてやっていけそうだ。オーラっていうのはちょっと謎だが、セイネさんが持っているスキルの効果か何かなのだろう。


「ありがとうございます。俺頑張ります。それじゃまた」


 俺は冒険者ギルドを後にした。




 まずは飯だ。泊まるところは腹ごしらえしてからで問題ないだろう。そういえばこの町まったくなにがどこにあるかわからないな。困ったな。飯食おうにも飯屋がどこにあるかわからん。まあ人の流れについて行けば大丈夫か。


 俺は、いかにも大食いそうな巨体の男二人組の後をついていくことにした。この二人は俺の勘だが、これから飯を食いに行くに違いない。上手い飯に案内してもらおうじゃないか。

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