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到着

 眩しい光が徐々に薄れ、視界が戻ってきた。

 すると、まず目に入ったのは木の枝……なんで?

 反射的に下を向く。なぜだ? 本来あるべき大地がない。


「うわーーーーー!!」


 転生が完全に終了したのか、俺の落下が始まった。


 やばいやばい、このままだと地面に大激突して、まさかの魔王と戦わずしてのゲームオーバーになる!! 何かないか? なんかないのか俺。考えろ、考えろぉーー!!


 ドカーーーーン!!!!


 特に何をすることもできずに、激突してしまった。

 覚悟していたほどの痛みはない。まるで、距離感を謝って軽く足を机にぶつけてしまった時程度の痛みでしかない。


「あんまり痛くない? どうしてだ?」


 不自然な出来事に頭を抱えてしまう。

 ふと、俺が落ちてきたあたりを見上げる。目の前に木があるから、この真上に間違いないだろう。


「あれ? 思ったより高くない? いやそれでも2メートルくらいはあるよな。あそこから落ちてあ、イタッくらいで済むわけないだろ」


 なんか忘れているような気がする………首に何かかかってる? 紐に括られたカードのようなものがついているじゃないか。何か書いてあるぞ。


「えーと……なになに」


 一番上に俺の名前が書かれている。ということはこれは俺のものであることは確かだ。

 その下にはスキルと書かれた枠がある。その欄に【全能力向上】、【成長限界突破(無限)】と記載されていた。


 そうだ。これだよこれ。女神さまに勇者として魔王を討伐するためにスキルをもらったんだった。この感じだといきなり最強ってほどには強化されてはいないようだな。まあ、そんな簡単に魔王を倒せるほどに強くなれるんなら女神さまもここまで苦労してないだろう。

 右も左もわからない状況だが、この力があると思うとなんでもできそうな気さえしてくる。


「さてと、これからどうしようか?」


 謎の自信は湧いてくるが、それだけじゃ何にもならないな。

 ひとまず、この世界の情報を手に入れないとな。女神さまが教えてくれたことなんて、この世界に魔王が存在しているくらいなもんだ。どこにいるのかさえ今の俺にはわからないんだしな。あれ? 女神様は俺の町に転生させてくれるって言ってたような気が……。


 冷静になって周囲を見渡すと、右のほうは木が少なくなっているような気がする。

 もしかして、割と森の端っこなんじゃないだろうかここは。それなら、右に進めば森を抜けられるはずだ。そうと決まればダッシュだ、早く、この不安感を解消するんだ。


「だぁぁーーー!!」


 俺はプロアスリート顔負けの速度で木の合間をぬうように駆け抜けていく。

 

 体が、足が軽い!! これならいくらでも走れる。それに、スピード感が段違いだ、これもスキルの恩恵か。流石全能力向上だ。お? 明るくなってきた


「森を抜けたぞーー!!」


 大きく開けた視界の奥で町が見えた。


「おお、あれか。女神さまが言ってた町ってのは。よかった、これでひとまず何とかなりそうだ」


 別に森の中をさまよっていたわけじゃないけど、やっぱり自分の行くべきところが確認できるってのは安心できるな。このまま走って行ってもいいが、もう急ぐ必要もないし、まったり歩いて行くとするか。






「近づくと遠くで見るよりもでかいなぁ」


 遠くからでも大きかった町を取り囲んでいた壁が目の前にそびえ立っていた。

 これはモンスター対策なんだろうな。この壁に守られていたら安全ってわけか。


 途中から道に沿って歩いていたので、門らしき所にたどり着いた。

 そこには馬車や、荷車を押している商人らしき人や、防具をつけ武器をもった人たちが町に入るために列をなしていた。町に入るための検問でもあるみたいだ。


「おいおい、これ通行料とか取られたりしないだろうな。俺金なんて持ってないぞ」


 でも、この町にはいるにはここを通るしかないだろうし……女神さまもこれくらいは知ってるか、ただ怪しいやつを通さないようにするためのものに決まってるよな。うん、女神さまを信じてひとまず並んでみるか。


 こうして、俺は列の最後尾にスッと並んだ。


 少しずつ、列が進み、ついに俺の番がやってきた。


「次の方どうぞーー」


「はい」


「ミゼルスへは何をしに? 見たところ、商人でも冒険者でもなさそうですが?」


 きた!! ここで返答をミスれば俺は町に入れてもらえないだろう。焦るな、無難な受け答えをするだけでいいはずだ。


「観光に来ました。やっぱり、旅はいいものですよね。ウキウキしちゃってミゼルスにつく前からテンションアゲアゲですよ」


「観光ですか? 手ぶらで?」


 ほかの町から来たのに何も持ってないのは怪しいか、やばいぞ……そうだ!! モンスターに襲われて、荷物は捨ててにげてきたってのはどうだ? いやでも、ついさっき、テンションアゲアゲとか言ってたやつが荷物なくしてるとかおかしくないか? 


「必要なものは現地調達するようにして、できるだけ身軽に動けるようにする旅のスタイルなんで」


「はあ…。そういうことですか。それでは最後にスキルカードを見せてください」


 スキルカード? この首からかけてるこのカードか。


「どうぞ」


 俺は首からカードを外し、門番に手渡した。


「アンドウ マサタカさんですね。確認しました。スキルカードは個人情報になりますので、もう少し、きちんとしまった法がいいと思いますよ。紐にくくって首にかけるのはあまりに不用心かと」


「すいません、絶対になくさないようにしようと思ったら、こうするのが手っ取り早いかと思って、以後気を付けます


 少し怪しまれているような気もするが、何とか切り抜けられそうだ。


「どうぞ、もう大丈夫です。ごゆっくり観光を楽しんでいって下さい」


「ありがとうございます」


 ようやく町に入ることに成功した。まじで通行料とか取られなくてよかったな。

 よーし、これから……なにすればいいんだ?


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