表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/14

ワンツーの力だ!!

「ギギィ!! ギャ!!」


 目があっていたゴブリンが鳴き声を発し、威嚇するような行動をしてきた。


 待ってくれよ。シャドーボクシングでビビって逃げたんじゃなかったのか? もう少し、そこで様子を見てくれ。まだ俺の心の準備が完了していない。このまま戦闘になったら、緊張で本気の時の半分程度の実力しか出せないかもしれない。


 ゴブリンはまだこちらの様子をうかがっているようだがこの調子だといつ襲ってきてもおかしくなさそうだ。

 俺も睨みを利かせ、ゴブリンにこいつには勝てないと思い知らせようと頑張る。覚醒しろ、俺の目力!! おら、ゴブリン。お前じゃ俺の相手にはならないぞ。


「ギャッギャ? ギギギャ!!」


 一旦、動くのをやめたかに思えたゴブリンがこちらに向かって駆け出した。


 大したスピードではないのだが、初のモンスターに怯んでしまう。

 おいおい、何いきなり突進してきてるんだよ。ちょっと俺の目力に怯んでただろうが。


 ゴブリンは接近してくると、右手に持っていたこん棒を振り下ろした。


「うわ!!」


 反応が遅れた俺は、紙一重で回避する。

 今のは本当に危なかった。もう少し反応が遅れていたら、俺の頭にゴブリンのこん棒が直撃していたことだろう。女神さまにもらったスキルのおかげで能力が向上していなかったら今の一撃で最悪死んでいた可能性もある。舞い上がっている場合じゃない。本気でやらなきゃやられる。


「ギィ?」


 まるでさっきの一撃で俺がやられていないのが不思議かのように首を傾げ、こちらを見てくる。


 なめられたもんだぜ。こっちは女神様に魔王討伐指令をもらっている転生者だぞ。雑魚モンスターでしかないゴブリンに簡単にやられてたまるもんかよ。よっしゃ、次はこっちの番だ。ここまで鍛えた俺のコンビネーションでノックアウトしてやるよ。


「おらぁーー!!」


 シュシュッ。 ドカドカ!!


 俺のワンツーがゴブリンの顔面を撃ちぬいた。右、左と順番に撃ち込まれたパンチの衝撃で首が交互にねじれた。

 決まった。これはかなりのダメージが入ったんじゃないか。これ以上ないくらい完璧にヒットしたぞ。


 ゴブリンは吹っ飛ばされたままピクリとも動かない。


 こんな簡単に倒せていいのかよ。脳が揺れてちょっと気絶しちまったのか? 近づいて様子を見てみるか。


 大の字に伸びてしまっているゴブリンに近づいてみる。すると、首がねじれてしまって本来上を向いていないとおかしい体制なのにも関わらず、見えるのは後頭部だった。


「グロッ、これは完全に首の骨が折れて死んでるな。まさかワンツー一回で仕留めてしまうなんて」


 もう立ち上がることのないゴブリンを見て、なんだか感慨深い気持ちにさせられた。

 ついこの前までは戦うなんてこととは縁もない世界で生きていた俺が、今はモンスターの命を奪っているのだ。この世界で生き抜いていくためにはしょうがないことなんだと割り切るにはまだ時間が足りていないようだ。


「ああ、モンスター相手に同情しても無意味だよな。魔王だっていつかは討伐しなくちゃ行けないんだ。こんなところで躓いている暇なんて俺にはない!!」


 気を取り直して、ゴブリンの死体をカードに吸収させるために冒険者カードを取り出そうとした瞬間。カードとゴブリンが発光し、光となりゴブリンがカードへと吸い込まれた。


「なんだなんだ? ゴブリンの死体が消えたぞ?」


 急いでカードを確認してみると、ゴブリン討伐数が1へと変化していた。それと獲得アイテムにゴブリンの牙が記載されていた。

 このカードモンスターを倒したら勝手に吸収してアイテムへ変換してしまうのか? いくら何でも便利すぎるだろ。もしかしてこのカード転生者の誰かのスキルの恩恵を受けてできてたりしないか? ちょっといろいろすごすぎて俺には理解が追いつかない。


「ギャ!! ギャギャ!!」


 先ほどのゴブリンの鳴き声につられたのか、三体のゴブリンが茂みから姿をあらわした。


「3匹も一気に来るなよ。こういう時は一体ずつ倒していくのがセオリーなんじゃ……」


 突然の数の暴力に少し驚いたが、冷静に考えてみればワンツーを3回当ててしまえば全滅させることができるだけのモンスターでしかないはずだ。思い切ってこっちから仕掛けてやろうか。


「おらおらおらぁーーー!!!!」


 シュシュ!! シュシュ!! シュシュ!!


 続けざまに三匹のゴブリンの顔面を撃ち抜く。俺のスピードについてこられていうなかったゴブリンたちは反応すらすることができずにぶっ飛んだ。


「しゃーー!! 3匹一気に屠ってやったぜ!!」


 先ほど前で複雑な気持ちになっていたのも今の爽快感がすべて吹き飛ばしてしまっていた。

 こんな調子ならコボルトも行けたんじゃないのか? いや、すぐに調子に乗ってしまうのは悪い癖だ。ここは堅実にクエストをクリアしていってきっと正解だ。


 ぶっ飛んで行った3匹のゴブリンたちも光へと変わり、カードへと吸い込まれていった。どうやら、今の一撃で仕留め切れていたらしい。


 今回の討伐クエストでは目標数が3匹に設定されていたので1匹オーバーの4匹でフィニッシュだ。

 これは報酬も少し大目にくれたりするんじゃないか。


 俺は気分をよくしながら、帰路へついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ