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「旦那、結構楽しかったですね!」
吉田のアパートを出て、空港に寄った帰り道。ようやく千葉県まで戻ってきた二人は、佐宗神社の石畳に降り立った。レッドドラゴンは翼を広げて、満足そうに口を開けている。
「まぁ、悪くはなかったな」
ラスタは適当に返事をして、大きなあくびをした。空港で買ったお土産で、リュックの中がやけにかさばる。サニーに文句を言われると面倒なので、ついつい多めに買ってしまった。
「……腹いっぱいになると、やっぱ眠くなるわ」
「旦那はいっつも寝不足ですからねー」
ラスタはドラゴンをその辺に離し、本殿の敷居をまたぐ。「帰ったぞー」と声を出すと、すぐさまフェンリルが寄ってきた。
「ラスタ! 紅いもタルトは? ちんすこうは?」
「あるある。ほらよ」
リュックからカラフルな箱を取り出すと、彼は「わーい!!」と言いながら廊下を 走る。
「サニー!! お土産が来たぞー!!」
「元気なやつだな」と思いながら畳に座ると、お勝手からルンシュが顔を覗かせた。その奥からは、香り高いコーヒーのにおいも漂ってくる。
「……コーヒー飲むか?」
「ああ、サンキュー」
そこまで言うと、ラスタは犬掛がいないことに気がついた。最近はこの時間に眠っている彼だが、確かおやつの時間は犬掛がお茶を淹れていたように思う。
「そう言えば、犬掛は?」
「あさひは今日忙しいって言ってたわよ」
フェンリルと仲良く姿を現したサニーが、「ありがとうね」と言いながら豪快に箱をこじ開ける。購入した側からすれば、もう少し配慮をしてほしいものだ。
「へー。ちんすこうって、色んな味があるのねぇ」
「おれ、チョコがいい!」
お盆を持ったルンシュが、ちゃぶ台にの上にマグカップを置く。ラスタは黒いカップに手を伸ばして、牛乳で割れてたコーヒーを飲んだ。このコーヒーという飲み物、元の世界でよく見掛けた朝の飲み物に味が似ている。
「……あさひは天界に出向いたらしい」
先ほどの疑問を聞いていたらしく、ルンシュがボソボソと補足をしてくれた。畳にちょこんと正座しながら、ちびちびとコーヒーに口をつけている。
「天界? 新メンバーの勧誘か?」
ラスタがそう言うと、彼は小さく頷いた。




