実話 『学校の伝説 2階からライダーキック』
体罰は良くない。
あたりまえ過ぎて、否定のしようもない話。
ただ、言わせてもらうが『先生が生徒を殴ることが普通だった時代』のボクらは、先生が嫌いだったかというと、そーでもない。
好きだったし、信頼もしてた。
例えば陸上部顧問の体育教師、W先生。
ボクらの間には伝説があって、『警察相手に生徒をかばった』って話だった。
真実は微妙。
盗んだバイクを乗り回してるところを警察に見つかった生徒が、バイクを乗り捨てて走って逃げた。
たまたまW先生の家の近くで、生徒は理由も言わずに先生の家に逃げ込んだ。
しばらくして警官たちが生徒が逃げ込んだ家を捜し出し、補導するために入る許可を求めた。
そこで初めて事情を知ったW先生は、警察にいろんなこと、脅しみたいなことも言われたけれど、断固として断ったらしい。
「まず、生徒から話を聞かせてほしい」
結局、警察に引き渡すことにはなるのだけれど、警察まで付き添い、一緒に頭を下げ、警察の判断が決まるまでずっと一緒にいてやったそうだ。
この先生のもう1つの伝説が、『2階からライダーキック』。
これは、真実からかなり遠い。
先生が2階の廊下を歩いていると、陸上部がハードル走の歩幅練習用のミニハードルを、コンクリートの上を引きずってダラダラと運んでるのが見えた。
大事な練習道具を粗末に扱っている。
激怒した先生は窓から庇の上、庇の上から地面へと飛び降りて駆け寄ってお説教。
その時に生徒の足を蹴ったらしい。
道具を大事にしないことに激怒する先生だ。
逆にどんなに怒っていたとしても、陸上部員の足を本気で蹴りはしない。
生徒は、一気に駆けつけてきた先生の様子にビックリしたのだ。
先生が2階から走ってきて怒られて蹴られた。
これが『2階からライダーキック』になったらしい。
この先生はみんなに慕われていて、陸上部だった友だちから、年賀状を毎年出してること、学校に時々会いにいってる話なんかをよく聞かされた。
ウチの先生たちの伝説は、他にもいろいろある。
『サッカー部顧問が、ドロップキックで部員を校庭の隅までぶっ飛ばした』なんて話もあった。
これも誇張。
真実は“ドロップキック”と“校庭の隅まで追い詰めた”まで。
ただ、ボクらの卒業後、この先生は体罰が問題になって、新聞記事にまでなったけど。
慕われていたかどうかは、知らない。
ラジオドラマも、2人の声優さんに語ってもらうことも忘れて、ただワードから思い浮かんだことを書いてみたエッセイ。
彩りとして、ちょっと変わった投稿もどうかな?と。
そーじゃなくても投稿作品が多くて読むのが大変なのに。
思い浮かんだら書かずにいられない。
そんな書き手の性が……。