表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

7.魔導兵術士の政治談議2:疑似人格統治権期

いらっしゃい、よく来たね。ここはとある世界の酒場で語られた話の集う場所だ。勿論酒場としても機能している。ゆっくりしていってくれ。


昨日の話の続きになるから一つ前に戻って思い出してもらえれば今回の話はより分かりやすくなると思う。

…結局のところは方法よりも内容になると思うがね…っと。今の独り言は忘れて欲しい。


では、会話を向こうの席に再現するからもう少し待ってくれ・・・

さて、昨日の続きから話すか。

混乱期が終わった後だな。討伐された魔王ワーマーは魔石を遺し、それに目を付けた元マガス帝国所属の研究者が戦力排斥運動の目を逃れて研究していたそうだ。

平和利用がわかっていたからマガシアの元帝都では半ば公然の秘密だな。

噂では元話術研究チームの議員が尽力して国民に不安を残す情報を阻止していたらしく、研究が公表された当時もワーマーの魔石を使っているなんて情報は国民は知らなかったようだ。


その研究を生かすためにマガシアの学者がドゥーマに渡り、技術の利用方法について許可と模索を図った。魔石はドゥーマにて浄化が図られ、ドゥーマ教の監視のもと研究がつづけられた。

…あぁ、昨日と同じく政治に関係ある話さ。


動きに変化が出たのは3年後だな。


ドゥーマ郊外でとある街の建設が始まった。

人数を絞り条件を出して移民を募集し、2年後に実験が行われた。

街はドゥーマ教の管理という名目のもと、試作型の魔道具を使った統治が行われた。

住民の義務は混乱期国家が多く採用した魔力での税徴収だな。

まぁ、用途はたかが知れてるから混乱期ほど多くは徴収しなかったし厳重な管理と検証により不祥事もなく研究は進んだそうだ。

不祥事はないだけでちょっとした失敗はあったそうだがな。

…近代史習ってるお前なら知ってたな。そう、「プラクターバーグの実験」というやつだ。

数十年かけて改善が行われ方法が確立されてからはドゥーマ、特に実験が行われた「プラクターバーグ」という街に技術者を派遣してそれを取り入れようとする国が多く出た。

それが疑似人格王権の始まりだな。


余談だがプラクターバーグは現在は一応国として扱われている。

似た技術に惹かれるのか、魔導兵士ゴーレム技術をその存在の仕組みとして持つインターマーは大体プラクターバーグの国籍を取っていることが多いな。

有名なインターマーの闘士チーム「パールナイツ」のメンバーも全員がプラクターバーグ所属ということになっている。


話が逸れたので一旦戻そう。

当時期待された疑似人格王権形式のメリットとしては多様な意見を取り入れられることだ。

意見書のような的確なものでは無いにしろ、魔力徴収をする際に感じていた不満などを疑似人格は感じ取れ、それを元に的確な指示を送ることが出来る。

まぁ、デメリットとして年月が経つと人格は薄くなっていくから導入しなおす必要は出てくるな。

予備人格の形成も慎重にやらないと暴君になってしまいかねないのも難しい。

だからこそ疑似人格の情報共有は実装国同士で行っている。


…だからこそあの事件は衝撃的だったな。

何のことかって?世界中を震撼させたマリウス事件だよ。

あぁそうか、あの事件は後のゴタゴタばかりが話題になってるもんな。

事の発端となったアモレイ統治区だが、実はあそこも治安の回復を目的として統治用疑似人格を導入してたんだよ。

まぁ、疑似人格のシステム自体は普通だ。

だが、疑似人格統治を採用している所は殆どが復活させた議会をそのまま残し、不測の事態に備えて決定に対する議論を行っていた。

アモレイ統治区も例外ではなかったが議会内で癒着と不正が横行しており、予備人格管理も杜撰だった。

遂にはその人格更新にあろうことか実在の人物を使っていたことが発覚したんだよ。

よりにもよってかなりの有名人だ。

老衰による他界を嘆く人が多かっただけに非難も凄まじかったが、土地の性質上俗世のことには口出ししないはずのドゥーマが大激怒しちまったからな。

…やっぱり本当に来ちまうのかな、二次混乱期ってやつ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ