持論談話:若者と馬鹿の価値観
お、いらっしゃい…今日は兄ちゃんが休みなんだ、けど異世界とやらで語られた話の扱いは出来るからそれを期待してるなら安心していいぜ。まぁ、酒や肴目的でも大歓迎さ。
せっかくだから兄ちゃんが提供する歴史とは違った、寄り道的な話をしようと思う。
…「馬鹿」と聞いてお前は良い印象を持つかな?それとも悪い印象?
まぁ、普通は無知だの意識欠落だのを指して使うものだろうが、拡大解釈次第で割とどうとでもとれちゃうんだな。
…少なくとも俺は、な。
究極、意味の良し悪し問わず何にでも当てはめようと思えば当てはめられる気さえする言葉だと思ってる。
今から出す話は俺がそう考えるようになった切っ掛けになったものだ。
まぁ、考え方は人それぞれだから共感できるかどうかは別だがな。それでも聞いてくれるなら有難い。
…
じゃあ、もう少しで向こうの席に会話が再現出来るから待ってくれよ・・・
兄ちゃん、そんなに落ち込んでどうしたんだ?
…まぁ、つらい思いをしてまで言う必要はねぇよ。俺だって挫折くらいあるさ。さすがにどれだけショックが大きいのかは解らねぇし無意味に突っ込むつもりもねぇ。
が、お前は常日頃口にしてたことはあったろ?えーとなんだったか。‥‥そうそう、「もっと良い意味での馬鹿になる」だったか。
おいおい、否定するなよ、お前の信条だったはずだろ?
俺は名言だと思ってるぜ?そもそもお前が目指そうと考えていた「馬鹿」ってのはどういうことなのか説明できるか?
…分からん?っと悪い、答えなんて出せる状況じゃなかったか。
まぁ、俺がその言葉をどう受け取ったかだけでも聞いてけ。俺の解釈があってるのか確かめたいんだ。
つまるところ「馬鹿」は2つに区別出来て、一つは「何も知らない状態」って意味だ。
そしてもう一つ、こっちの方がお前の目指す馬鹿だと考えているんだが、ずばり「どう動くかのシミュレーションが出来てから、リスクに躓くことを恐れず突っ込むことが出来る状態」ってことだ。
…なんだお前、そんなこともはっきりせずに信条にしてたのか。
でも合ってたみたいでよかったぜ。ようやくいつものお前らしい顔に戻ってきたじゃねぇか。
まぁ、なんだ。失敗したからと言って取り返せない状況にあるとは限らねぇ。
それに若いうちの馬鹿なんてのは大人連中がどう言おうが俺達若者の特権だと胸張っとけば良いんだ。
―俺ぁ若者って言い張れる年じゃねぇからお前が言うんだよ。
ビクついてるくらいなら突っ込んで失敗するくらいがむしろ理想の若者ってもんさ。
そうやって身に染みついた知識が手に入るんだから捨てたもんじゃねぇってもんよ、失敗はな。
が、全部そうやっていたら今の時世、時間が足りなくなってくるから学ぶことだって重要だ。
分からなければ確かめりゃいい。そうして経験するからこそ「慎重」の正しい扱いが知れる、とも思ってる。
俺はな、年寄り連中は知るべきことを知っているから落ち着けると考えてるんだ。
そうでなければただリスクだけ見て足踏みするすることを「臆病」って呼ぶんだろうな。
臆病と慎重って隣同士の関係に見えて根底は全く違う境地なのだろうよ。
まぁなんだ、若いうちだからこそ今は「馬鹿」を目指しいりゃあいい。
あんたも経験に聞けばわかる年頃まで行ったら落ち着いておけばいいさ。
お前もまだ若いだろう?挫折なんて当たれば出てきても仕方ないイベントだ、そいつも経験だよ。
俺がいてやるから、その「挫折」てもんとゆっくり付き合っておけばいいさ。
…そういう俺も実はどうしたらいいか迷ってた所でね。今話してはっきりした。悪かったな、邪魔して。
今はゆっくり考えておけ。そしてまたいつもの妙に元気なお前に戻ればいいさ。