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11.モルト・フィロス天空文明

いらっしゃい、よく来たね。ここはとある世界の酒場で語られた話の集う場所だ。勿論酒場としても機能している。ゆっくりしていってくれ。


未知の世界ってのはいつでも魅力的に見えるものだ。ロストテクノロジーともなればなおさら、な。私の知る世界における大航海時代ってのもそういったものへの興味から始まったものだ。そちらでもインドを目指した結果アメリカ大陸を見つけた、といった話があったはずだ。と、今回はそれにまつわる文明について触れるとしよう。


では、会話を向こうの席に再現するからもう少し待ってくれ・・・

セイナスの人々にとってヴァルカノン海域越えは古来から人類の夢とされていた。

貴族の間では炎の島や嵐が守るその大海を超えた先に天空都市が存在し、そこでは人々が幸せに暮らしていると言い伝えられている。

或いは未知の一端を与えられ、覇者になれるともな。


一方で天より現れた人間は時々地上に降りて争いの無意味さを説き、後に西の山脈に住処を下ろした、という話が市井では流行っていたらしい。

口伝でしか伝わっていない分いくつもの尾ひれが付いており、共通する部分を纏めるとこうなるというだけだ。

今の話にも尾ひれは付いているかもしれん。


西方ではこういった話がある。海を隔てた西方の大陸、山脈の天頂に天術を司る文明がある。そして、ドゥーマと同じ思想を持つ民が天空の力の流れや気象そのものを研究しているらしい、と。

そういった話から気象を読み、気象を操る民として彼らには定着している。それも、神話を劇にする際に彼らやその技術を元として演出することもあるくらいと聞く。


どの話においてもその文明は「モルト・フィロス天空文明」と呼ばれている。

イェドウス山脈の上に位置するその文明は話にある通り気象を研究し、そこに流れる魔力の流れを読むことを得意とする。

そして、彼らが住む土地の性質から最近になってドゥーマ教の人間と交流を持つようになり、彼らのことも色々と分かってきた次第だ。


彼らの口伝によれば彼らも元は山脈の麓、熱帯林の広がる地域に暮らす一部族に過ぎなかった。

ただ、環境が環境でな。

昔から弱肉強食の激しい地域となっていたそこでは気を抜けば肉食獣に村一つ壊滅させられる程に生きることが厳しい場所だ。


勿論、生き抜くためには試行錯誤は怠らない。


そこで目を付けたのがイェドウス山脈というわけだ。

彼らは部族屈指の魔法使いを筆頭として、山脈の開拓にのりだした。


ただ、学界ではイェドウス山脈は「天空のドゥーマ」と言われるほど影響力の強い場所と言われている。

ドゥーマが地脈を通じて思いが集う場所であるように、イェドウス山脈は天に昇った思いが溜まる場所であることが調査で判明しているのだ。

自然、山に足を踏み入れた彼らもそれに直面した。

彼らは持てる知識を総動員してそれらに立ち向かった。しかし、対立してはキリがないと気付いた彼らは、今度はそれらに馴染もうと研究をし、模索した。

…因みに、彼らが山に登った理由は「山は自分たちが暮らしていくに足る場所か調べる」という目的で結論が出れば降りて報告するとの約束だった。

しかし試練に立ち向かい、山と付き合っていく方法を模索するうちに彼らはついに一人も山を下りずに後の代に至ったという。

まぁ、今更戻るというのも無理な話ではあるだろうし、誰でも住めるという環境でもないだろうしな。


それに、モルト・フィロスはドゥーマとは違う部分がある。

ドゥーマのような対外的な影響力は持たず、あくまでモルト・フィロスは「思いがまる」のみにとどまっている。

まぁ、歴史上おもてに出ることがあまりなかったという背景もあるな。


ただ、あまり歴史に出ないってだけで外に出ないわけでは無いらしい。

時々山を下りては大陸の人々と交流することもあったそうだ。

セイナス市井に伝わる噂がまさにそういうことだな。

また、混乱期後期には魔王討伐に向け、大規模な派遣を行っていた。

彼らは天を操る者として対魔王連合軍の記録に残っている。その末裔は確かドゥーマ教の高官を務めていた…はずだ。


っと、長く話しすぎたかな?

まぁ、そういった経緯もあって最近では主にドゥーマ教の人間たちと交流しているらしい。

一部までなら一般公開もされていると聞く。

残念ながら浮遊島も含めた技術の一部に関しては今やロストテクノロジー、過去の遺産となってしまったみたいだがな。

…え、何で知ってるかって?あー…ほら、ロマンというか…

…そういうの、いいじゃん?調べたくならないかな?

まぁ、興味と言われればそうだな。

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