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1.戦いに始まる種族 オーク

いらっしゃい、よく来たね。ここはとある世界の酒場で語られた話の集う場所だ。勿論酒場としても機能している。ゆっくりしていってくれ。



魔法が発展した世界と聞いて、君が思い浮かべる種族は何だい?ゴブリンかな?それともエルフかな?


こちらの世界には呼び方は違えどそういった種族も住んでいる。ただ、歴史を語るなら重要な位置にいるのはオーク族だな。力持ちで当然強くて、それでもって強さへの探求は忘れない。


体格?当然デカいさ!


もっと詳しいことは…そうだな。ここの会話が詳しそうかな?


…そういえばここのことを「話の集う場所」と言ったな。


話し手の許可を貰って保存していたりもするんだ。その中に丁度いいものがあったのでね。



では、会話を向こうの席に再現するからもう少し待ってくれ・・・

オークの連中は見た体格通り力自慢な種族で、その地で生き抜くために強さを追い求めてきた種族だ。そして俺たち人間と同じく共同体を形成し群れで動く。そうでもしなければ元々居た土地では生き残れなんてできやしねぇ、俺たち以上に弱肉強食の激しい世界の奴らだ。

だからだろうか、弱い奴を弱いからといってただで見捨てるような真似はしないのさ。

非情なイメージなんて嘘っぱちよ。

―ここいればこそいい戦友であり、飲み友達であるわけだがな、出会いたての頃はそうはいかなかったらしい。


世界史を少しでも学んでいりゃあ必ず問われる戦地の名としてここ、ノシスの地の事を聞くだろう。

お前ほどの身分となりゃあ耳にしたことはあるはずだ。先ずはその経緯から話しておくか。

事の発端は奴らがノシスに南下してきたところから始まる。

後から聞きけば森の向こう、彼らが住んでいた地で共同体同士が存亡を賭けた大合戦を起こしたらしくてな、その時に負けた奴らが住む地を追われ居場所を求めて来たらしい。

そんな奴らとかち合った人間、もっと言えばそこに住む部族はお世辞にもオークからしてみれば腕力で簡単にねじ伏せられそうな体格の多い連中だった。だがな、オークの奴らが住んでいた土地ほどではないにしろ仮にも安全とは無縁だった所に住む部族だ。

彼らにはその地で生き残れるだけの策と立ち回りに優れた戦士が十分ほど揃ってたのさ。


…オークの連中はそれに惹かれたのだろうよ。


考えてみろ。奴らにしてみれば、人間という見たことのない非力な種族が有利であるはずの自分たちに善戦して見せた。

勢力争いに負けた屈辱が残っていた連中は人間とやらの強さに驚き、妬み、或いは羨んでその秘密を探るために全力で人間に喧嘩を吹っかけた。

それに手段なんて選ばなかったから交配なんて手段も取ろうとしていたそうだ。

もっともこの辺は創作が有名になりつつあるから真偽のほどは地元の老人に聞くしかねぇがな。


まぁ、後はお前さんも知っての通りさ。そうして起こった戦争はかれこれ15年も続き、一人の旅学者『ロック・ロード』の仲介によって収められたと聞いている。

おっとそうだ、こいつはロックの伝記に載ってる話だがな。

…聞いて驚くなよ。争いのあとロックに従属し、最終的にゃ魔術師になった連中がいるらしいんだ。

そう、あの有名な「疑似兵士(ゴーレム)」を作ったとされている連中さ。

そして、そいつはマガス帝国を支えた魔導兵ってのも関わりがある…って、それで知られてるから驚くことでもないか。

まぁ、そういった例も含めて近世の戦術発展の大半はオークが関わっていると言ってもほぼ過言とはいえないさ。

今や娯楽などに生まれ変わった例もある。

バトルゲームだかの敵にやり応えを出すために本格的な…


悪ぃ、話が反れたな。えーとなんだ…あぁそうそう、そういったことの名残でこの辺りには戦の修行のためにうろついているオークがいるんだ。

だから、そいつらに「戦う者ではない」ってことを証明するためにあの関所で商人証が発行されるのさ。この土地で商売するなら覚えておいた方がいいぜ。


…酒代?気にするな、おごってやるよ。あんた行商は今日が初めてだろ?それに今日も俺達がそれぞれの故郷の飯を食えるのはひとえにお前達のおかげさ。

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