~ 話 間 ~
リッチシティー中央区。
その区間はリッチシティーで暮らす住民でさえ立ち入ることが難しい区域である。
リッチシティーには円状近い形で囲まれた大都市国家となっており、それぞれ3つの区域が分かれている。
まず最初に東と北の大門にある区域をウルツァイト区。
リッチシティーの中では1番土地が広い区間であり、一般国民が多く住まう土地。 ここでは日常生活に関わる日用品や家電、他に農家などを主体として働く仕事が設けられている区域。
次に南と西の大門にある区域をロンズラー区。
リッチシティーの中で2番目に広い土地であり、ここでは魔法を専門的に研究する一般人が多く暮らしている。 魔道具の研究をウルツァイト区と共同で行っており一般人とは言え他国からすればエリートが暮らす土地として有名な区域だ。
そして最後にウルツァイト区とロンズラー区に囲まれるようにある中央区。 2つの区域に比べて狭い範囲で壁を建てられているが、ここはリッチシティーの中でもエリート中のエリート。 さらには貴族ともいえるほどお金に裕福な者が暮らす土地であり、大帝国都市リッチシティー現国王が暮らす土地。
―――その名をカルビン区と呼ばれている。
ここではウルツァイトやロンズラーのような強固に作られた壁だけでなく、その上に魔法で発動された結界術式が朝夜関係なく発動している。
さらにはこのカルビン区ではリッチシティーが誇る兵士の精鋭達が日々辛い訓練を行っている場所でもある。
そんな強固な壁に守られているカルビン区だが、昨夜から内区では密かに焦りと緊張の空気が漂っていた。
「まだ見つからないのか!!」
ダンッと机を殴りつけ目の前に立っている若い男性に怒鳴り上げる中年の男性の声が部屋に響き渡る。
「申し訳ありません。 今現在でも我々兵団騎士が全力をもって捜索中であります。」
「グヌヌヌッ!! き、貴様というものが居ながら何故こんな事にになったのだ!!」
中年の男性は整えていた髪が崩れるほどの焦りを部下の目の前で見せ目を血走らせている。
「はい。 今回の件が片付ければ、どんな罰も受け入れる覚悟でございます。 しかし総指令官。 今は勝手ながら自分のミスを補うチャンスをもらえないでしょうか。」
若い男性はゆっくりと総司令官と呼ぶ男性に深々と頭を下げる。
「・・・いや。 今回の件はすべてが貴様の責任ではない。 しかし、私達上層部は貴様がいると信頼してこの件の依頼を貴様に託したのだ。 その信頼が今、薄れている事だけは忘れるな。」
「ハッ。」
若い男性は右手を胸元へ添えて背筋を伸ばす。
「しかし今回の件をこのままにしておけばすぐにウルツァイト区の報道記者達が聞きつけるかも知れぬ。 そこでだ。」
総司令官は椅子から立ち上がり閉めていた窓のカーテンを開けて光り輝くリッチシティーを眺める。
「本来なら国全体の兵力をもって捜索するところだが・・・貴様に挽回のチャンスをやろう。」
総司令官はそう言って再び若い男性の方へ振り返り指を2本立てた。
「2日だ。 貴様は今日から2日間、1人であの方の安否確認、及び保護を貴様に命ずる。 見事この依頼をこなしてみせよ!!」
「ハッ!!」
若い男性はさらに敬礼の姿勢である右手を胸元へ置くとすぐに部屋を後にした。
カツンッカツンッと廊下を歩く足音が部屋から離れるほど徐々に早くなっている。 彼の横をすれ違う同じ兵士達はその彼の顔を見て思わず身を引かせている。
それほどの気迫があふれるほど、彼もまた焦っていた。
(どうか・・どうか無事でいてください。 姫様!)