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クリとユキ(改)  作者: 鈴音
3/7

3.出会い(ユキの視点から)

「俺はクリ。じゃあこれからよろしくな」

そう言われたとき、とても嬉しかった。

お母さんから、ずっと話を聞いていた。

ユキが迷子になったとき、男の人が助けてくれたのだ、と。

ずっとどんな人なのか気になっていた。

今日初めて出会って、カッコいい人だ、と胸が高まった。

とにかく、家から離れたかった。

誰かに助けを求めたい気持ちがあった。

でも、誰に助けを求めたら良いかも分らなかった。こういうときに助けてくれる友達はいなかったし、親にも頼れない。

最後に思いついたのは、お母さんが昔言っていた「男の人」だった。

この人に頼るしかないと思った。

だから、「住み込みの家政婦としてならいい」と言われたとき、二つ返事でうなずいていた。

本当に神様かと思った。

私の思ったことを見透かしているんじゃないかと思ったくらい。

今更になって、「恩返しをしたい」と言って訪れたのには理由があった。


「どうして?」

私は目を見開いて固まる。

まさか。

まさか。

逃げたはずだったのに。

また同じなの?

「どうしてなの!?」

私は既視感のある光景にめまいがしそうになる。

この光景は・・・


最初は慣れない家事にあたふたしながらも、クリに教えてもらいながら、何とか生活していた。

「一人で出来るようになったじゃん。家政婦としてはまあまあだな」

一ヶ月たつころには、クリにそう言われるほど家事が上手くなった。

生活にもある程度慣れてきたころ、私はあることに気づいた。

クリは休日の夜、必ず出かけるということだ。

そして次の日の朝になるまで帰ってこない。

最初は、私は飲みに行っているのかと思っていた。

でもどうやら違うようだと気づいた。

帰ってくるとき、酔ってはいないからだ。

それについて聞いてみたことがあるが、「別に、お前には関係ないだろう」と、クリにそうそっけなく返された。

こうなったらひそやかに尾行して行こうと思った。

土曜日の夜、クリが出かける。

扉が閉まった後、ゆっくりと扉を開け、クリが気づかないか確認してから私も外に出る。私はクリを見失わないようにある程度の距離を保ったまま、尾行する。

駅のほうに向かっているようだった。

駅に着くと改札付近で立ち止まった。それからクリは時計を確認して、誰かを待っているようなそぶりを見せた。

10分ほど待っただろうか。一人の女性がクリに近づく。なにやら挨拶をしているようだった。

恋人なのかな、私はそう思った。その女性とクリは親しげに談笑し、改札の向こうに行く。

私も改札を通り、後を追った。


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