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枯れ木が花を咲かせます  作者: 藤泉都理
六巻 向暑の曙光
90/135

十一





















―――京都。梢の隠居邸にて。




「叔母様。叔母様!」



 闇に堕ちて行く梢に。



「叔母様!」



 しがみつく櫁の耳に届いたのは――。



「連れて行かないで!」

「櫁様!」



 傍らに居た岸哲は櫁の首に手刀を当てて気を失わせた。



「申し訳、ありません」



 岸哲は同じく傍らに居た閣玄に、闇から引きずり出した櫁を預けた。



「頼んだぞ」

「梢様はこのまま堕ちて行くことを望んでおられる」



 全身を黒い布で覆う閣玄は静かにそう告げた。



「分かっている!」



 再度、任せたぞと告げると、岸哲は梢を飲み込んだ漆黒の闇の中に身を投じた。



 その瞬間、闇は消え、梢の隠居部屋、元の長閑な風景に戻った。






地黄煎火じおうせんび、か」






 閣玄は一人ごちて、涙を流す櫁を床に下ろして後、布団を準備してそこに寝かせ、布で涙を拭った。






「希羅」






 耳に届いたのは何故か、彼女の名と。






『柳』






 梢自らが殺した希羅の父親の名。


























 叶わないなら、せめて。








 隠してほしいと願う。








 誰も見つけられない場所へと。








 そうすれば、この心は。








 救われる。



















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