二十二
穏芽城、風霞。
悲鳴で飛び起きたら、夢の中だけではなく、現実でも発していたようだ。
心配する顔に、激しい動悸が治まるのを待たずに、大丈夫だと告げて立ち上がる。
蹲踞の姿勢を取り続ける岸哲。緊張を帯びながらも微かに笑う、櫁の表情の変化を具に見つめながら、次の言葉を待って。
「岸哲。一緒に来てくれる?」
「何処までも一緒に行きますよ、櫁様」
綺麗な微笑を贈り。
迷子が不安と安堵をない交ぜにさせながら、信頼できる者を見つけた時のように。
櫁が小さく頷いてから一変して厳しい表情になると、岸哲は素早く立ち上がった。
先に部屋を出た岸哲の後を素早く動きやすい着物に着替えて追いかけた櫁。長い廊下を歩きながら、応援はどうしますとの問いに、游山と朱儒、そして、海燕をお願いと答えるのであった。
殺せ
私たちの代わりに
あなたの役割は
私はずっとこのまま変わらないわ
あなたも目を背けても無駄よ肉体と魂からは逃れられない
明日とも言える寿命をこの子は使い切る
助ける為には
こんなことをして
すまないあの子を忘れてくれ
ぜってー忘れない何時か必ず
私はまた同じ過ちを
「大切な存在を忘れる為に僕と一緒に此処に居続けよう」