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目標を達成しましょう

血の滲むような研鑽を積み、ようやく戻ってこれた。

そして今日この日を迎えた。


目の前に立つのは過去に敗れた憎き相手。

漆黒の魔王は悠然と佇み私を見る。

その余裕を崩してみせよう。

敗者の意地を、どん底から這い上がった者の力を見せつけてやろう。









「はい賭けた!賭けた!賭けた!」

「今のところ魔王様が優勢だよ!」

「大穴は前魔王陛下だ!」

「酒~酒はいらんかね~」

「麦酒一杯くれ」

「俺は葡萄酒を」

「ツマミはないのか?」


ガヤガヤと観客が見守る中、戦いは幕を上げた。


両者は今までにないくらい真剣な目をして互いを睨み合う。


私はこの日の為に秘策をカイル様に伝授していた。

人間の狡猾さにカイル様は恐れおののいたが、そんなの関係ない。勝負に綺麗事などない。あるのは勝者か敗者の二つに一つのみ。


「魔王様には悪いですがこの勝負、カイル様に勝たせて頂きます」


私のケアプランは完璧であった。

そこにミスは存在しない。

後はカイル様次第だ。


魔王様が問題としていた魔力を魔素に還元する事は出来た。

カイル様は知らないが、私がたてたケアプランには全ての項目で魔力が消費されていた…………はず。


食事にわざと転がりやすい豆を用意させ、苛ついて体から魔力が滲み出すようにしたり。


備え付けられたトイレットペーパーを短く細工し、予備のトイレットペーパーを隠蔽して緊張感から魔力放出させた。


苛立ちと緊張感を発散させる為にカラオケをさせ高揚した魔力を消費し、新たな魔力消費型健康器具を購入させることも成功。そして極めつけが同窓会。高齢魔族達のはっちゃけに魔素が充満しすぎて魔界が崩壊しそうになる程の成果をあげた。


「ここまでしたからには特別報酬は確実に貰えるわね」


そして最後に、今まで貯めた給料の2/3をカイル様の勝利の掛け金へ。


信じてますよ、カイル様。









そして両者は動いた。


「「はぁぁあああぁぁぁぁぁあああ!!!」」


慟哭をあげながら両者は共に手を出した。

そこに後手はない。

正々堂々とした勝負がそこにはあった。


「「最初はグー!!じゃん拳ポンッ!!」」


カイル様が出された手に魔王様は困惑の声をあげた。


「!!!!なっ、何ぃっ!?」


魔王様はグー。

そしてカイル様は…………


「ふっ、これはチョキではない。この手は秘伝中の秘伝技………」


親指と人指し指以外は丸め、その手はピストルの形をしていた。


「グー、チョキ、パーではなく、それでいて全てを表す」


ピストルにした指で頭上に掲げる。


「その名も【無敵】」


カッと開眼し魔王様にそのピストル指を再度向けた。


「形に囚われ視野を狭くした己の敗因を知るがいい」


グーの形を保ったまま魔王様は膝を屈した。










こうして決闘はカイル様の勝利で幕を閉じた。




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