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アナーキーフリータイム  作者: うにお
3/4

死闘

「うぉぉぉ!」

 腕を振り被り敵に向かって突っ込む、だが余裕そうに横にサッと避けられる。

「あらよっと」

 そのまま腹を蹴り上げられる。

「ぐふぅっ!」

 凄まじい痛みだ、昨日のあれは遊びだったのか、だが耐えられる痛み。

 幸太郎之助は体勢を立て直すために、横に跳ね距離を取る。

 だが敵の方が一枚上手だった。

「遅いんだよォ!」

 目の前には凄まじい速度でやってくる拳。だがそれは止まる、音も消えただ一人の時間、やって来たのだ超感覚が。

 スローになる拳を顔を傾け避ける、その瞬間時は戻り、顔の横を風を切りながら過ぎ去る必殺の拳。

 幸太郎之助は隙を見て一気に距離を取る。

「あァ?避けただと?あの完璧なコースを?」

 敵は納得がいかないのか顰めっ面をする、だが焦ってはいない、単なるマグレだと思っているのだろう。

「すげェじゃんかよ少年、結構本気でヤりに行ったんだけどよォまさか外すとは思わなかったぜ。昨日とは大違いだなァ、ひひひっ!」

 凄く怖い、だが何か糸口を見つけないと勝機はない。せめて一発でも食らわせることができれば。

「幸太郎之助くん!ガンバれ!ガンバれ!」

 彼女の必死な声援、これがあれば百人力だ。

 不恰好ながら拳を構える、体力が上がっていることはここに走ってくるまでに体感できた。喧嘩の仕方はテレビでしか見たことがないが、少しでも足しになるよう真似てみる。



 *



「応援されちゃってよォ羨ましいな少年、俺の能力を使えばあの阿婆擦れなんか簡単に引っぺがせるんだがなァ、ゆっくり犯すためにもまずテメェから甚振いたぶってやるよ」

 無秩序極まりない発言。

 男はフットワークをきかせ間を詰める、そして左ジャブをし幸太郎之助の視界を封じると本命の右ストレート。

 だが又しても紙一重で外す。

「ちッ!」

 次は腰を入れた回し蹴り、だがこれも後ろに跳ばれ外す。

「くそッ!」

 男は思っていた、これはマグレではないのかと、本当に見て避けているのではないかと。だが昨日のやられっぷりを見る限り、見て避けるという芸当ができるとは思えない。

 何度も攻撃して奴を観察しても避けるばかりで攻撃はしてこない。

 そこである仮説が立つ、奴はすでに能力者なのではないかと、それも避けることに特化した能力。

 男は奴が能力者ではないと思っていたから自分も能力を使わずに、ただの格闘で叩きのめそうとしていた、だがすでに能力者だと言うのなら話は別だ。

 こちらも能力を発現させてもらう。



 *



 幸太郎之助は防戦一方で全く手を出せない、攻撃しようにもタイミングが分からないのだ。しかもこの超感覚、自分が危機を感じた時にしか発現しないという厳しい条件つき、だが負けることはない。相手の体力が尽きるまで避けまくれば必ず勝機はある。

 すると突然敵の攻撃の手が止まる、とりあえず一定の距離を取り観察する。

 うつむきブツブツ何かを呟いている、それは段々と大きくなり遂に耳に届く。

 その言葉を聞いた時思わずゾッとした。

 敵はこう言っていたのだ、犯す。

「犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す」

 気持ちが悪い、こんな奴が同じ人間だなんて信じらない、どうしたらこんな人間になるのか分からない。

 ただ嫌悪感がその時の思考を支配していた、そのために幸太郎之助は気づかなかった。

 すでに敵の攻撃が始まっていたと。



 *



 能力発現条件、それは「犯す」と連呼すること、男の欲求が能力の発現条件となったのだ。

 見ると奴はこちらにビビっている、今がチャンス。

「犯スゥゥゥ!」

 ここ一番の叫び、そして能力のお披露目。



 *



「犯スゥゥゥ!」

 狂った表情で狂った言葉を吐き出す、幸太郎之助は思わず硬直する。

 すると足元からコンクリートを突き破って出てくる物体、それは黒い手。

「なっ⁉︎」

 がっしりと足首を固定される、振り解こうにも鉄のように固くビクともしない。

 あの奇声のせいで足元までは注意していなかった、完全なる不覚。

「犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す」

 敵は連呼を続ける。

 精神攻撃のつもりなのだろうが決して幸太郎之助は屈しない、屈した瞬間に負ける、それはつまり佐野宮が奴の手に落ちるということ。絶対に負けられない。

 幸太郎之助はしゃがむと思いっきり黒い手を殴る。

 だがこちらの手が痛くなるだけ、しかし止めるわけにはいかない。

「うぉぉぉ!」

 連打連打連打。

 手が赤くなり血が滲む、だが解かれるまでどこまでも殴る。

「幸太郎之助くん!前!」

 佐野宮の報せにハッとする、だが時すでに遅し。

 しゃがむ幸太郎之助の顔に敵の鋭い蹴りが入る、視界が揺らぐ記憶が飛ぶ、幸太郎之助は遂に攻撃を受けてしまった。



 *



「幸太郎之助くん!」

 佐野宮は今にも泣き出しそう、目線の先の幸太郎之助は先ほどからずっとその場にうずくまり、あの変態男に蹴られている。

「犯っす!犯す犯す!犯すぅ!犯ァァス!」

 変態男は鬱憤を晴らすように、無抵抗の幸太郎之助を蹴り続けている。

 もう見ていられない、惨すぎる。

 佐野宮は後悔する。

 さっき自分がこの世界のことを教えなかったら、彼は何も知らずに帰っていたのに。

 昨日幸太郎之助が助けに来なかったら、彼はこんな世界とは無縁で過ごせたのに。

 自分のせいで、自分のせいでと己を卑下する。

「誰か幸太郎之助くんを助けてよ!」

 悲痛な叫びも誰にも届かない。

 なんて自分は無力なんだ、神なんて名だけじゃないか。

 その場に崩れる、自然と涙が溢れ落ちる、鼻水が出る。

 無様な姿だがそんなの気にならない、ただ幸太郎之助のことを思っていた。

「お願い…誰か助けてよ…」

「助けるのは貴女よ、お嬢ちゃん」

 聞いたことある声、顔を上げるとそこには。

「あ、あなたは…」



 *



 男の連呼の中に彼女の声が聞こえた、彼女はまだ自分を頼っているんだ、自分がこの場を何とかしなければいけない。

「犯〜スっ!犯す!犯す!犯す!犯す!犯す!」

 だが体を丸め攻撃に耐えることしかでかない、脇腹を蹴られ、顔を蹴られ、尻を蹴られ、あちこちが痛い、骨だって折れているかもしれない。

 それを感じられるほど幸太郎之助の感覚はもう正常ではない、ただチャンスを待ち我慢する肉の塊と化していた。

 せめて足の拘束が解ければ。

「おい!この変態露出狂!」

 この声は佐野宮、顔を上げると男の後方に立つ華奢な少女。

 顔が腫れ上がり目の前が見えにくくなっても分かる、体中が震え今にも崩れそうな彼女、だが顔だけはキッと敵を睨んでいる。

「逃げ…て…佐野宮…ぶふっ!」

 強烈な蹴りが頬に入る、口を盛大に切り血が溢れてくる。だが必死に彼女を見る。

「…はやく…」

「犯す?犯す犯す?」

 男は佐野宮の方を振り返ると歩み出す、それを阻止するために足にしがみつくが呆気なく蹴り飛ばされる。

「うぅ…」

「幸太郎之助くん!こんの変態!よくも!」

「ダメだ…佐野宮…」

 幸太郎之助は足を拘束されながらも、立ち上がり手を伸ばす、しかし無情にも奴には届かない。

「くそぅ…この足枷さえ…なかったら……」

 これさえなかったら今すぐにでも飛びかかれる距離にいる、だが一向に外れない、一体どうやったら解除できるんだ。

 すると突然、凄まじい閃光が発生する。

 何事かと思い光源の方を向くと、それは男と佐野宮の間で生じていることが分かった。

 まさか佐野宮がやられた…?

「佐野宮ァァァァ!」

 だが異変に気付く、よく見ると男が目を抑え悶えていたのだ。

「がぁぁぁぁ!目が!目ガァァァ!」

 すると幸太郎之助の祈りが通じたのか足の拘束が解かれる。

「幸太郎之助くん!やっちゃって!」

 これは佐野宮の声。そうか、佐野宮がチャンスを作ってくれたのか。

 正に神が与えし大チャンス、いや天使が与えし大チャンス。

 幸太郎之助は無防備な男に近寄る、体のそこら中が悲鳴を上げているが脳内麻薬とも言える麻痺からか、全く気にならなかった。

 そして大きく振り被り、精一杯の力を込めて全てを送り込む。

「うぉぉぉぉぉおぉぉ!」

 ミシミシと拳が敵の顔面に食い込む、そして有りったけの全力を叩き込むと遂に奴は、吹っ飛んだ。



 *



 こちらに吹っ飛んでくる変態男。

「きゃっ!」

 しゃがみ避ける、上を通り越しガゴッとコンクリートの上に落ちる。

 見ると口が血に染まり、ピクピクと伸びている。

 勝てたのだ、幸太郎之助は勝ったのだ。

「ヤッタァァァ!きゃぁぁ!勝ったよ!幸太郎之助くん!」

 嬉しさのあまり飛び跳ねる、そして勝機を与えてくれた彼女に心から感謝する。

 彼女とは他ならぬ変態男のパートナー、彼女は変態男の弱点を教えてくれたのだ。


『いい?お嬢ちゃん、あいつの能力は犯すって言葉を連呼しないと使えないの、だから一度でもそれを止めることができれば少年の足の拘束は解かれるわ』

『だけどどうやって』

『これを使って、閃光弾よ。あいつの気を引いてこれを使いなさい』

『でも…』

『大丈夫、貴女ならできるわ。私もあんな変態野郎とはサッサと別れたいしね』


 彼女の手助けがあってこその勝利、本当に感謝だ。

 だが佐野宮はまずは幸太郎之助の怪我をどうにかしようと、殴ったポーズのまま固まる彼の元に行こうと歩み出す。

 しかしこの世界はそんなに甘くなかった。

「オカァァァァァス?」

 背中からおぞましい声が聞こえる。

 まさか、まさかとは思い振り返るとそこには鼻から下を血で真っ赤に濡らした悪魔が。

「ひいィっ!」

 逃げようと駆ける、だが足が動かず前につんのめって倒れてしまう。

 擦りむいた膝をさらに傷めるも今はそれどころではない。

 見ると足にはコンクリートを突き破った黒い手ががっしりと掴んでいた。

 変態男の能力が発現したのだ。

「オカスオォカス、オカスオカスゥ」

 もう変態男は狂っている、今のこいつならきっと自分の欲求に従うに違いない。

 今こそ一番の危険ポイント、だが動けない。

「助けて!幸太郎之助くん!」



 *



 彼女の助けを求める声がする、だが体が硬直して動けない。

 重い、先ほどの一撃で全身の疲労がピークに達した。


(もう…ダメ…だ…佐野宮…ごめん…)


 朦朧とする意識の中、彼の脳内ではある現象が起きていた。

 それは世界が一瞬でスローモーションになる彼の能力、超感覚。

 辺りの音はなくなり自分の脈さえも聞こえなくなる、正に極限の無音状態。

 なぜ今、超感覚が起こるのか。それは彼自身も分からない、だが現象が起こるのには必ず意味がある、それを今から体感する。


 彼の脳内では走馬灯のように今までの人生が巡っていた、生まれてから今のこの瞬間までの全ての人生。

 全ての記憶を呼び起こすのは一生をかけても終わらないと言う、だが今の彼の研ぎ澄まされた感覚、更に時間を超越する能力があればその不可能が可能になるのだ。

 そしてそれこそが、彼の本当の能力。超感覚とはその力の片鱗に過ぎないのだ。

 では、具体的にはどのような力なのか。

 それは人体の力を超えた超体験能力。

 発現方法はたった一発敵を殴ること、それだけで今までの自分と決別した新たな存在になる。

 今からそれをお見せしよう。



 *



「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」

 気持ちの悪い黒い手が手足を掴み、佐野宮を大の字に押さえつけている。

 女の子なら誰もが不安になるそのはしたない格好、何とか内股になろうと抵抗するも、新たな黒い手が出現し太腿も拘束される。

 この時の佐野宮は恐怖に支配されていた、これからこいつに犯されてしまうのだと、痛い思いをしてグチャグチャに物のように扱われるのだと。

 涙が止まらない、鼻水も止まらない、もう心が崩れそうだ。

 何度言ったか分からないセリフ、だが彼女にはこれしかない。

「助けて…幸太郎之助くん…私を…助けて…」

 掠れる声で呼ぶ、しかし無情にも変態男は待ってくれない。

「オカスゥ!オカスゥゥゥゥ!」

 恐怖でしかない床ドン、眼前には血をダラダラと垂らす悪魔、血が頬に落ちる、荒い息が口に迫る。

 もう終わったかと思った、だがヒーローは遅れてやって来た。


「止めろよ、クソ野郎」


 風を切る轟音の後に突風がやってくる、あまりの風量に服がなびく。

 そして気付くと目の前には茜に染まる暮れの空、先ほどまでの悪魔はいなくなっていた。

 手足の拘束も消えている。自分は助かったのだ、他ならぬヒーローのおかげで。

 震える足で立ち上がり彼を見る。

 佐野宮を守るように背を向け、拳を握り敵と対する幸太郎之助。

「幸太郎之助くん…」

 これまでに頼り甲斐のある背中はみたことがない、もう何も怖くない。

「佐野宮、戦いの邪魔だ、退け」

 口調が急に淡白になる、それだけ真剣なのだろう。

 佐野宮は「分かった」と伝えその場を離れる、彼の勝ちを神に願って。



 *



 一体どうなっている、訳が分からない。

 最早正常な思考を持っていない悪魔だが直感で分かる、奴は奴ではないと。

 顔は痛々しく腫れ上がっているも、そこから覗く瞳は奴のものではなかった。

 短時間で何かが奴を変えた、それを考察するようなことはしない、ただ奴を犯す。

 本能に従い狙いを定める。

「ガァァァ!オガァァォス!」

 コンクリートをえぐり、奴に向かって伸びる鋼鉄の黒手。

 完全にそれは心臓を貫いた——と思った。

「オ?カス?」

 実際奴は体を半身傾けるだけでそれを避けたのだ、まるで面白くもなさそうに。

 悪魔は伸びてゆく黒手を方向転換し、後ろから串刺しにしようと奴目掛けて伸ばす。

 だがそれすら半身で避ける、見もせずに。

 悪魔は戸惑う、なぜ攻撃が分かるのだ、不意を突けば当たるのではないのかと。

 ならば手数を増やすまで。

「オカッ!スゥ!」

 コンクリートからは長さ10メートルはありそうな無数の黒手が出現する、鞭のようにしなりながらも硬度は鋼鉄を保つ死の鞭。

 死の鞭は奴を叩き潰すために振り下ろされる、コンクリートを砕く圧倒的なパワー。

 煙が立ち込め視界が悪くなる。

 しかし油断はしない、どうせまだ生きている、こちらに向かって来た時を狙い打ちする。

 自分の近くにも死の鞭を出し迎え討つ準備は万端。

 しかしいつまでたっても奴は来ない、煙が晴れて先が見えるようになっても奴の姿はない。

 一体どこに消えた。


「後ろだよ、クソ野郎」


 その瞬間視界が揺れた、脳震盪を起こしたのだ。悪魔はその場に立っていられなり、足が崩れる。

「オ…オガァァォァァァァズゥゥ‼︎」

 だが最後の力を振り絞り全ての黒手を後ろに向かわせる、逃げ場を与えないまるで針鼠のような技。

 これで勝った、これで犯せる。そんな安心感幸福感が悪魔を包んだ。


「残念だったな、クソ野郎」


 その声を最後に悪魔の視界は途絶えた。



 *



「なんて戦い…これが神の力を得た者同士の戦い…」

 女性は物陰からこっそり二人の戦いを見ていた。

 変態男が一方的に攻撃しているようで、その実一方的だったのは少年の方だった。

 ありとあらゆる攻撃を先読みし行動している。コンクリートを砕いた強力なスタンプ攻撃の時も、彼は全てを見極め避けていた。

 その後は凄まじいダッシュで変態男の後ろ側まで回り込み、頭を高速で揺らした。

 それを迎撃しようとした針鼠攻撃すらも先読みしたかのように、スッと変態男の前に身を移すことで避けていた。

 最後は渾身の右ストレート。

 それは顎にクリーンヒットし、変態男は糸を失った人形のようにカクンと動かなくなった。

「凄すぎるわ…激しすぎるわ…」

 知らぬ内に胸の奥が熱くなり興奮していた。

 少年がやった脳を揺らす技、そして顎を殴り戦闘不能にする技、どれも熟練した技術がないとできない芸当だ。

 あの少年がまさかあんな短時間でこんなにも強くなるとは、一体彼の頭では何が起こっていたのだ。

 自分もこの世界にもっと浸かりたい、間近で力を体感してみたい。

 するといつの間にか、胸だけでなく下半身も熱くなっていた。

 とにかく今はこの場から逃げなくては、彼らには悪いと思うがこの状況は不味すぎる。

「それじゃあね少年、それとお嬢ちゃん」



 *



「幸太郎之助くん!」

 その場に棒立ちする彼。その足元には完全に気を失った変態男、口をだらしなく開け血がたまっている。

 だが怖い思いをした彼女はまだ安心できない。

「…勝ったの?」

 彼の背中に呼び掛ける、すると。

「無秩序な自由時間は終わった」

「え?」

 幸太郎之助は力を失ったように後ろに倒れこむ、佐野宮は慌てて彼を抱き止める。

 力がない人はこんなにも重いのか、だがとにかくこの場から離れないと。

 ガタガタになったコンクリートの上を何とかして歩む、だが幸太郎之助が重すぎて全然進まない。

 かなりヤバい、戦いが終わったのにまだこんな試練を残しているとは。自分の非力さを恨む。

 必死で彼を連れて行こうと頑張っているところに助け舟がやってくる。

「もう見てらんないわよ、ほら早く逃げるわよ」

 大人の女性、名前は分からないがピンチの時に助けてくれた神だ。

「あ、ありがとうお姉さん」

「さぁ、レッツゴーよ」

次回ラストです。

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